独居老人が抱える生活の不安とは?|軽減する取り組みを解説

超高齢化社会と言われる現代は、独居老人や孤独死が社会問題となっています。

ですが、一人で暮らす高齢者も生きがいを持って、老後を楽しく過ごしてほしいものですね。

しかし独居生活ならではの生活には、不安がつきものです。

地域や行政、そして見守る私たちや近隣住民にもできることはあるでしょうか?

この記事では、独居老人が抱える生活不安には何があり、その不安をどのように軽減できるのかを考えていきたいと思います。

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目次

独居老人とは?

独居老人は、65歳以上で、誰とも一緒に暮らしておらず、一人で日常生活を送る高齢者のことをいいます。

令和4年時点で、日本の総人口1億2,495万人のうち、65歳以上の人口は3,624万人です。

「令和4年版高齢社会白書」では、令和元年で65歳以上の高齢者がいる世帯のうち、単独世帯が736万9,000世帯で、割合は28.8%となっていました。

この結果から将来の高齢化現象を考えると、令和18年には高齢化率は33.3%、令和47年には38.4%、3人に一人が高齢者という事態が予想されます。

そのなかで独居老人の割合も増加の一途をたどることは明白です。独居老人が抱える生活の不安は、けっして他人事ではないのです。

今から独居老人に寄り添い、生活における不安の軽減を一緒に考えていきましょう。

独居老人が抱いている生活の不安の実態

独居老人が抱いている生活する上での不安とは具体的にどんなものがあるでしょうか?

  1. 孤独と孤立感が及ぼす影響
  2. 健康や病気のこと認知症の可能性
  3. 日常生活で生じる不便
  4. 自然災害(地震など)
  5. 生活の困窮
  6. 詐欺や犯罪
  7. 孤独死

孤独と孤立感が及ぼす影響

孤独で気の合う友人がおらず話し相手がいない状態が長く続くと、生活意欲まで失ってしまい、身づくろいがおろそかになっていきます。

さらに、誰とも会話がなく近所づきあいもなく、頼れる人もいない孤立感は、生きる意欲を損ない、独居生活を送るうえでの不安は大きいといえます。

そして、うつ状態を引き起こし、眠れなくなり食欲も失い、心身の健康を損なっていきます。

ですから孤独や孤立は深刻な生活不安の問題点といえるでしょう。

健康や病気のこと認知症の可能性

健康や病気、認知症のことは、独居老人が生活する上で一番不安に感じる要素となっています。

老化による影響は避けられないため、病気にかかりやすく、一度かかると慢性化しやすいなどの不安が挙げられます。

また一人暮らしの傾向として、同じものを食べ続けて栄養が偏ったり、手軽なインスタント食品で済ませて栄養不良になる場合もあるでしょう。

そして、老化現象として、喉の渇きや自分の体調の変化に気づきにくいため、病気が進行してしまう事態が生じます。

さらに、ときどきニュースで報じられますが、猛暑でもクーラーを入れず熱中症になる危険も懸念されています。

認知症の初期は本人の自覚もなく症状があらわれ、かなり進行してから周囲が変化に気づくというケースも考えられるでしょう。

日常生活で生じる不便

自宅に古くからある段差も、若いころは何ともなかったのに、歳を取ると足を踏み外す危険が生じます。

買い物もあまり重いものは持てなくなり、通院したくとも距離や電車の乗り継ぎの不便さがあり億劫になってきます。

電球の交換や高い場所の掃除も脚立に上がるのは、落ちる危険があり無理して行うとケガすることになるでしょう。

高齢者の一人暮らしは、日常生活を普通に送りたくても、不便なものに変えてしまい不安になりますね。

自然災害(地震など)

台風、大雨による浸水、地震などの自然災害が起きたとき、避難が遅れて自宅に取り残されたり、災害の影響をもろに受けてしまったりする可能性があります。

近年、異常気象でゲリラ豪雨で道路や家が冠水することも多発しています。また地震の多い日本では、地震が起きた時のことを考えると特に不安です。

生活の困窮

衣食住に不安のない暮らしは、心身のバランスを保ち幸福感を抱くのに欠かせません。

しかし近年の生活費の高騰は、国民生活を圧迫しています。

年金暮らしが多い高齢者にとっては、なおさら困窮に至るケースもあるでしょう。

『2024年7月5日、厚生労働省が発表した「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」によると、年金生活をしている高齢者世帯の58.3%が、年金のみで暮らせないと訴えています。』

生活の困窮は独居老人にとって、生活の不安を一層大きくしダメージを与える要素です。

詐欺や犯罪

独居老人の多くは孤立していたり孤独感を抱いていることが多く、親切を装って近づいてくる人への警戒心が薄れ、犯罪に巻き込まれやすい傾向があります。

『内閣府が発表した「令和4年版高齢社会白書」【特殊詐欺の認知件数・被害総額の推移(平成24~令和3年)】によると、特殊詐欺の被害者の約9割が65歳以上の高齢者であり、その手口はオレオレ詐欺や預貯金詐欺となっています。』

高齢者の三大不安とよばれる「お金」「健康」「孤独」をあおって、親身になっている振りをして言葉巧みに、大切な資産を奪おうとする卑劣な犯罪が横行しています。

孤独死

孤独死とは誰にも看取られることなく、たった一人で亡くなる悲惨なことです。

高齢化社会が進むにつれ年々増加傾向にあり、社会問題となっています。

とくに地域や人とのつながりが薄かったり、生活が困窮していたりすると、孤独死の危険は大きくなります。

また核家族が増え、離婚や死別で独居老人になってしまうと、孤独死の不安はいつも付きまとうことでしょう。

独居老人の生活不安を軽減する地域包括支援センターの活用

地域包括支援センターは、市町村に一つ設置されており、介護や病気など福祉全般の相談にのってくれる総合窓口で頼もしい存在です。

そして、介護事業所や行政機関、病院への橋渡しをしてくれる地域主体の高齢者にとって重要な機関です。

また生活の困りごとや生活の困窮といった状況にも相談にのり、必要なサービスを提供してくれる事業所などを紹介してくれます。

「えっ?こんなことまで相談できるの?」という、きめの細かい内容も受け付けていますので、ぜひ相談に行き活用しましょう。

ただ、独居老人本人が頑なで、サービスの利用をどうしても嫌がる場合が想定されます。とくに人とのつながりを拒否する傾向は男性に多いといわれています。

それでも地域包括支援センターに相談に行くことは、生活の不安を軽減するため必須ですので、少しづつ態度が和らぐように、家族や近隣住民が助けられるでしょう。

下記に受けられるサービスを2つ紹介します。

介護サービス

介護認定を受ける必要がありますが、介護保険によって、いろいろな介護サービスが受けられます。

訪問看護で健康状態の確認や見守り、ヘルパー派遣によって、食事や家事などの日常生活を支援します。

またデサービスに通うことで、人と会話して孤独を軽減し、入浴や運動などのサービスも利用できるので助かりますね。

民生委員の訪問による安否確認

自治体を通じて民生委員からの安否確認、見守り、声かけが受けられます。

民生委員は、独居老人を気遣い、実際に家に訪問したり電話連絡をしたりし、犯罪に巻き込まれていないかの確認も行い、独居老人を見守る大切な役割を担っています。

ですから孤独死の不安の軽減になるでしょう。

独居老人の生活の質を向上させて不安を軽減する

支援サービスを活用することで、独居老人の生活の質の向上が期待できます。

なぜなら、孤独感に陥り自分の内にこもりがちな傾向から抜け出せ、生活に張り合いができるので、不安が軽減されるからです。

人とのコミュニケーションを取ることで、認知症の初期でも気づいてもらいやすいメリットがあります。

下記の点で、独居老人の生活の質が向上し不安がどのように軽減されるのかを説明していきます。

  1. 健康と日常生活の工夫
  2. 栄養バランスを考えた食事で健康維持
  3. ボランティアや地域のコミュニティ活動への参加
  4. 自然災害の備え

日常生活の工夫

健康上の問題を抱えることの多い高齢者が一番困るのが「ゴミ出し」です。

ゴミの重さは、筋力が落ち関節痛がある高齢者にとって、ばかにはできないからです。

また、買い物も重い場合がありますし、一人分の食事を準備するのが億劫になることもあります。

介護ヘルパーさんに日常生活の家事を助けてもらえば、そうした不安や悩みから解放されるでしょう。

さらに介護保険の利用によって、日常生活を工夫して自宅を居心地よくできます。

たとえば、スロープや手すりの設置、転倒防止のためバリアフリー仕様にして段差をなくすなどの工夫をこらし、日常生活の不安を軽減し、生活の質の向上を目指せます。

栄養バランスを考えた食事で健康維持

食事管理は生活の質を向上させ健康に欠かせません。

前述しましたが、ヘルバーさんの支援で、甘い菓子パンやカップラーメンなどですませず、栄養バランスの取れた食事を3食取ることで健康維持をはかれます。

調理もやわらかさに気を付け、飲み込みやすいよう細かく刻むなどの工夫で、高齢者が食べやすい食事に気を付けてくれるでしょう。

また市町村や民間が主体の高齢者向け宅配弁当サービスの利用も考えられます。

栄養に気を使った食事が定期的に訪問して届き、そして独居老人の安否確認につながりますので一石二鳥です。

ボランティアや地域のコミュニティ活動への参加

独居生活でほとんど人に合うこともなかった高齢者も、それまで考えもしなかったボランティア活動への道が開かれることがあります。

自分の殻を破るように段階を通じて、コミュニティ活動の輪を広げていけます。

ボランティア活動を通じてのコミニュケーションは孤独をやわらげ、孤独死を防ぐ有効な手段です。

そこでみつけた友人や趣味を同じくする人たちは、高齢者の生活にはりあいと生きがいをもたらし、生活の質を向上させるのに役立つことでしょう。

自然災害の備え

独居老人の生活の質が向上していくと、意欲的になり自然災害が起きた時に備えるよう促されるでしょう。

災害が起こった時の避難経路の確認や、自宅での備蓄などを行っておくと不安は軽減します。

また地域との連携を日ごろから取ることで、非常災害時にも忘れられず、避難が必要な場合に助けを差し伸べてもらえます。

手軽な見守りサービスを紹介

見守りサービスもさまざま存在しています。

  • ペンダント型
    日ごろから首から下げておき、緊急時にボタンを押すとサービス会社に通報されます。
  • カメラ
    いつも動きを見守っています。緊急時に通知したり会話できるものもあります。

    しかし風呂場など設置できない場所があり、導入や月々のコストが高く、高齢者にとっても常に監視されている気がするなどのデメリットがあります。
  • スマホアプリ
    ダウンロードは無料で手軽ですが、操作しにくい点や高齢者もスマホを操作できる必要があり、見守り範囲に限界があります。
  • 専用センサー
    自宅に設置し、一定の時間動きが感知できないと異常とみなし、緊急連絡先に通報してくれます。

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まとめ

独居老人は高齢化が進んでいく現代では対処しなければいけない社会問題です。

一人で暮らしている高齢者には、生活の不安をかかえていることが多く見られます。

この記事では7つほどの不安要素をとりあげ、不安を軽減するために地域との連携が不可欠なことを説明しました。

そして、独居老人が生活の不安を取り除き生活の質を向上させ、誰も取り残されず、生きがいやはりあいを持って生きられる社会になるための一助として参考にしていただけることを願っています。

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この記事を書いた人

電球型高齢者見守りサービス「ハローライト」の開発・販売を行っています。見守りサービスに関する基礎知識からサービスの選び方までわかりやすく解説。自社サービスに偏ることなく中立な立場から記事を執筆いたします。

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