高齢者が寒がりな理由は?問題点や具体的な対策方法を紹介!

「高齢者が夏でも寒がるのはなぜ?」

「久しぶりに高齢者の家族に会いに行ったらエアコンも付けずに窓を閉め切っていた」

高齢者の寒がりに関して、上記のような疑問を持っている方も多いでしょう。

特に暑い季節に寒がりの高齢者を見ると、熱中症を心配してしまいますよね。

実際にエアコンをつけていないことで、熱中症になり死亡している方も少なくありません。

高齢者が寒がる理由を理解して、対策を行うことが重要です。

本記事では、高齢者が寒がる理由や問題点、具体的な対策方法を解説していきます。

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目次

高齢者が寒がる理由とは

高齢者の方に「寒い」と言われて対応に困った経験がある方も多いでしょう。

高齢者が寒がる原因には、以下のようにさまざまなものがあります。

  • 体温調節ができていない
  • 自律神経の働きが鈍る
  • 筋肉量の減少
  • 認知症などによる判断力の低下

高齢者が寒がる理由を知っておくことで、適切な対応ができるようになります。

環境省の「高齢者と子どもの注意事項」をもとにしながら詳しく解説していくので、参考にしてください。

体温調節ができていない

年を取るにつれて、皮膚にある温度センサーが鈍くなります。

通常時は、皮膚にある温度センサーが暑いと判断すると、血管を拡張したり、汗を出したりして体温を調節します。

しかし、高齢者は皮膚の温度センサーの感度が鈍くなっているため、体温調整がうまくできていません。

実際に夏の暑い日は、高齢者の居室の温度が高いという調査結果が出ています。

高齢者の居室の温度の高さは、7月~9月の間に顕著に表れており、若年者の室温より2度ほど高い31~32度です。

室温が高い状態に気付かないと、熱中症になってしまうリスクがあるため、高齢者の居室に温度計を設置するなどの対策がおすすめです。

自律神経の働きが鈍る

高齢になると、自律神経の働きが鈍っていきます。

先ほどの体温調節でも紹介したように、皮膚の温度センサーが判断して、血管や汗を調節する自律神経が働きます。

しかし、高齢者の場合は、皮膚の温度センサーが鈍っているため、発汗や血管の拡張までに時間がかかることが問題点です。

寒がりの高齢者は、夏の暑い時期でも厚着をしている場合がありますが、自律神経の働きが鈍っているため、身体の熱を放出するタイミングが遅れてしまいます。

そのため、高齢者が「暑い」と感じる頃には、すでに体温が高くなってしまっているケースも少なくありません。

高齢者が暑いと感じ始めるまでに、エアコンをつけるなどの対策を講じることが重要です。

筋肉量の減少

加齢とともに筋肉量が減少していくことが原因で、高齢者が寒がりになっている可能性もあります。

筋肉は身体を動かすだけではなく、寒いときに身体を震わせて体温を調整するなどの役割も持っている組織です。

年を取ることで、日常的な活動量が減っていき、さらに筋肉量が減少していきます。

高齢者は筋肉量が減少し、発熱量が少なくなることで、結果的に寒がりになってしまいます。

筋肉量を維持するために、軽い運動や筋力トレーニングなどを取り入れてみるなどの工夫をしてみましょう。

認知症などによる判断力の低下

年を取ると、認知症などの認知機能・判断力に影響を及ぼす病気になる方も少なくありません。

認知症患者における体感温度調査」によると、認知症患者の3分の1に、寒がりの傾向があるということが分かっています。

これに対して、暑がりになる認知症患者は全体の0.8%です。

この調査結果から、高齢者の認知症によって、寒がりになるケースは一般的であるといえます。

具体的には、「5月や6月でもこたつに入っている」「暑いのに窓を閉め切っている」「何枚も重ね着をしている」など、さまざまな寒がりの症状がみられています。

認知症の高齢者の方は、寒がりの傾向があることで体温調整が上手くできていない恐れがあるため、熱中症予防のためにも室温調整などを行うことが大切です。

また、親が認知症で困っている方は、以下の記事で紹介しているサービスを検討してみることもおすすめです。

夏でも高齢者が寒がりなことで起きる問題点

高齢者が夏になっても寒がりでいると、熱中症になるリスクが高まります。

寒がりの高齢者は、暑い日でもクーラーをつけずに窓を閉め切っていたり、重ね着をしたりしているため、熱中症の危険性があります。

また、暑さを感じづらいことで、水分の補給量が減少することも熱中症になりやすい原因の1つです。

高齢者になると、喉の渇きを感じづらかったり、腎機能が低下したりすることによって、体液量が減少します。

身体の中の水分量が減少すると、血流量・発汗量が少なくなり、こもった熱を体外に放出できなくなります。

このように、さまざまな原因が重なり、高齢者の熱中症が起きているのが現状です。

実際に「平成27年我が国の人口動態」によると、熱中症で死亡した方のうち77.3%が65歳以上の高齢者となっています。

高齢者の熱中症による死亡者数はかなり多いため、夏でも高齢者が寒がりでいることは、大きな問題点であるといえます。

高齢者が夏に寒がる場合の対策

高齢者が夏でも寒がっていると、熱中症を引き起こす可能性が高まるため、対策をすることが大切です。

高齢者が夏でも寒がる場合は、以下のような対策を行いましょう。

  • 目につく場所に温度計を設置する
  • エアコンを使用する
  • 水分補給を欠かさない
  • 運動を促す

実践しやすいものから採用していき、少しずつ対策を進めておくことがおすすめです。

目につく場所に温度計を設置する

高齢者は、温度感覚が鈍っているため、温度変化を実感しづらいです。

そのため、現在の室温が分かるように、目につく場所に温度計を設置することがおすすめです。

目で見て室温を判断できるため、寒がりの高齢者でも室温が高いことに気付けるようになります。

エアコンを使用する

寒がりの高齢者は、エアコンを使用していないケースが多くあります。

高齢者のための熱中症対策」によると、東京都23区の熱中症死亡者の約8割が65歳以上の高齢者です。

さらに、屋内での死亡者のうち、約9割がエアコンを使用していませんでした。

エアコンを使用していないことにより、室内での熱中症死亡者がかなり多くいます。

特に寒がりの高齢者は、エアコンを使用しない傾向が高いため、温度計が30度を超えたらエアコンをつけるなどのルールを決めておくなどの対策しておくことが大切です。

また、エアコンをつけていると高齢者の方に「寒い」と言われる場合もあるかもしれません。

その場合は、エアコンを消さずに、高齢者の方に厚着をしてもらいましょう。

少し分厚い靴下やネックウォーマーなどを活用して、首・手首・足首などを温めるのが効果的です。

そのほか、エアコンの風向を調節して、直接冷気が当たらないようにする方法もおすすめです。

水分補給を欠かさない

高齢者は、喉の渇きを感じづらかったり、体液量が減少していたりすることで、熱中症になりやすいです。

熱中症を防止するためにも、こまめな水分補給を行うように促してあげましょう。

特に寒がりの高齢者は、暑さを感じずに喉の渇きを実感しづらいため、喉が渇く前に水分補給をすることがおすすめです。

具体的には、2時間ごとにコップ1杯の水を飲むなど、わかりやすいルールを決めておく方法があります。

運動を促す

高齢者が寒がる原因として、筋肉量の減少がありました。

筋肉量を増やすためにも、高齢者の方に運動を促すことで、寒がりへの対策が可能です。

また、高齢者の方でも日常的に運動をしており、若い方と変わらないレベルの体力がある場合は、発汗能力なども正常だということが分かっています。

運動の直後30分以内に牛乳を1杯~2杯飲むことで、血液量を増加させて、体内の熱を放出する力が高まるという報告がされています。

高齢者が鈍っている体温調節能力を改善できる効果的な方法であるため、少しずつ日常生活に運動を取り入れていきましょう。

高齢者の寒がりの理由を知って適切な対策をしよう

本記事では、高齢者が寒がる原因や対策方法について解説しました。

高齢者は、体温調節機能・筋力・体液量などの減少に加えて、認知症が寒がりの原因になる場合があります。

さらに夏の暑い時期には、熱中症になるリスクが高まるため、適切な対策をすることが重要です。

本記事で紹介した高齢者の寒がり対策のなかから、実践しやすいものを取り入れてみましょう。

運動習慣を身に付けることで、夏だけではなく冬の寒がりの対策にもなるのでおすすめです。

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この記事を書いた人

電球型高齢者見守りサービス「ハローライト」の開発・販売を行っています。見守りサービスに関する基礎知識からサービスの選び方までわかりやすく解説。自社サービスに偏ることなく中立な立場から記事を執筆いたします。

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