田舎の車の運転は何歳まで？3つの判断基準と高齢者への対応方法も紹介

田舎暮らしの高齢者は、車を使った生活を送っている方が多く、運転をやめることに抵抗を感じている方も少なくありません。

しかし、高齢者の運転が危ないと感じて「田舎の場合は何歳まで車の運転ができる？」と疑問を抱いている方も多いでしょう。

結論、認知機能や身体機能の状態によって異なるため、田舎暮らしの高齢者が何歳まで運転をできるのかを明確に線引きすることはできません。

本記事では、田舎暮らしの車の運転は何歳までなのかについて詳しく解説していきます。

年齢で明確に分けることはできませんが、運転をやめるかどうかの判断基準を紹介しているので、参考にしてください。

また、一般的には80歳を境に運転をやめる決断をする方が多いです。

80歳を超えた高齢者の運転のやめさせ方が気になる方は、以下の記事もご覧ください。

田舎暮らしで車の運転をやめづらい理由3選

田舎暮らしで車の運転をやめづらい理由として、以下の3つが挙げられます。

• 生活がしづらくなる
• 仕事をできなくなる可能性がある
• 運転の楽しみがなくなる

それぞれの理由を詳しく解説していきます。

車の運転をやめてもらう前に、なぜ運転をやめられないのかを理解してあげることで、相手の気持ちに寄り添った提案ができるようになります。

生活がしづらくなる

田舎暮らしで車の運転をやめづらい理由の1つ目は、生活がしづらくなることが原因として考えられます。

都心部であれば車がない状態でも快適に過ごせますが、田舎の場合はスーパーマーケットや病院、市役所まで距離がある場合も少なくありません。

片道5km以上の距離がある場合は、徒歩や自転車での移動は難しくなるでしょう。

特に買い物をして、重い袋を持ったまま移動することは高齢者にとって大きな負担になります。

快適に公共交通機関が利用できる田舎なら問題ありませんが、バスや電車の本数が少なかったり最寄りの駅やバス停が遠かったりすると生活しづらくなるかもしれません。

タクシーを利用する場合でも、田舎の場合は移動距離が大きくなりがちなため、経済的な負担が大きくなってしまいます。

例えば、往復2,000円のタクシーを週に2回利用すると、1ヶ月で16,000円以上の出費が発生することになります。

大きな出費は高齢者にとって負担になるため、外出の頻度が減少する原因になりかねません。

高齢者の外出頻度が減るとどうなるのか気になる方は、以下の記事も参考にしてください。

仕事をできなくなる可能性がある

田舎暮らしで車の運転をやめづらい理由の2つ目は、仕事をできなくなる可能性があることです。

田舎にある自宅から勤務先までに距離がある方は、車の運転をやめると、移動手段がなくなってしまいます。

勤務時間を減らしたり、勤務先を変えたりする必要が出てくるなど、現在の仕事を続けられなくなる可能性が高いです。

また、田舎暮らしで農業や自営業などの仕事をしている場合、車を運転できなくなると、農作物や材料の運搬が難しくなります。

特に農業の場合、トラクターなどの農業機械も使用できないとなると、仕事が成り立たなくなる恐れがあります。

定年退職後も収入を得るために働いている高齢者にとって、車の運転ができなくなることは大きな問題につながりかねません。

運転の楽しみがなくなる

田舎暮らしで車の運転をやめづらい理由の3つ目は、運転の楽しみがなくなることが考えられます。

特に田舎に住んでいる高齢者は、長年運転を続けているケースが多く、車の運転がアイデンティティの一部になっていることもあります。

例えば、車で好きな音楽・ラジオなどを聞いたり、四季の移り変わりを楽しみながら運転をしたりすることは、ストレス解消としても効果的です。

また、高齢者本人が行き場所を決めたり、自分で車の運転をして移動したりすると、高齢者の自己効力感を高められます。

このように、さまざまな楽しみがある車の運転を、趣味のように楽しんでいる高齢者も少なくありません。

車の運転ができなくなると、趣味がなくなったように感じてしまう可能性もあります。

高齢者に趣味がないとどうなるのかが気になる方は、以下の記事もご覧ください。

田舎の車の運転は何歳まで？3つの判断基準を紹介

「田舎の車の運転は何歳まで？」と疑問を抱いている方も多いでしょう。

ここからは、田舎の車の運転は何歳までできるのかという疑問に対して、以下3つの判断基準を紹介します。

• 高齢者講習や高齢者安全運転診断に参加する
• 持病や飲んでいる薬による影響を考慮する
• 認知機能や身体機能をチェックする

運転をやめてもらうべきかどうかの判断に迷っている方は、ぜひ参考にしてください。

高齢者講習や高齢者安全運転診断に参加する

田舎の車の運転は何歳までかを判断する基準の1つ目は、高齢者講習や高齢者安全運転診断に参加する方法です。

高齢者講習は、70歳以上の方が運転免許証の更新手続きの際に受ける講習を指しています。

講習の内容は、座学・運転適性検査・実車の3つです。

また、75歳以上になると、認知機能検査も同時に受験する必要があります。

高齢者講習は、法的に受講が義務付けられていますが、車の運転能力を判断する良い機会です。

そのほか、自動車教習所などで開催されている高齢者安全運転診断も、何歳まで車を運転するかを判断する基準になります。

診断内容は、各教習所で異なる場合もありますが、現在の運転能力を客観的に評価してもらえます。

高齢者講習まで期間が空く場合は、高齢者安全運転診断を活用してみるのもおすすめです。

持病や飲んでいる薬による影響を考慮する

田舎で車を運転する年齢の判断基準として2つ目に上げられるのは、持病や飲んでいる薬による影響を考えることです。

高齢になると、糖尿病や高血圧などの生活習慣病を発症する方が増え、服用する薬の量も増加しがちです。

持病の症状や服用薬が車の運転に与える影響を知っておくことで、事故の可能性を抑えられます。

例えば、以下のような薬は、車の運転に影響を与える可能性があります。

• 睡眠薬
• 抗不安薬
• 筋弛緩剤
• 高血圧治療薬

現在服用している薬が車の運転に与える影響を知りたい場合は、医師や薬剤師などに相談してみましょう。

持病や服用薬の影響によって、普段よりも車の運転に危険が増えることを理解すれば、車を手放すきっかけになる場合もあります。

認知機能や身体機能をチェックする

田舎の車の運転は何歳までかを判断する基準の3つ目は、認知機能や身体機能のチェックです。

加齢に伴って認知機能や身体機能は徐々に低下していくため、定期的に確認することがおすすめです。

認知機能や身体機能の低下は個人差が大きいため、車の運転をやめるかどうかに対して、一律の年齢で線引きできません。

病院に行って認知機能や身体機能のテストを受ける方法もおすすめですが、家族が同乗して運転技術を判断する方法もあります。

具体的には、以下のような項目を確認することがおすすめです。

• ブレーキの踏み遅れがないか
• 車間距離や速度調整が適切か
• 信号や標識の見落としがないか
• 後方確認がスムーズにできるか

運転技術に不安があっても、すぐに車の運転をやめることが難しい場合は、移動する範囲を制限してみましょう。

高速道路は走らない・夜間の運転はしないなどの対策をとりながら、医師などの専門家に相談することも検討してみるのがおすすめです。

田舎暮らしでも車の運転をやめて欲しい場合の対応方法4つ

田舎暮らしの場合、車の運転ができなくなることで、さまざまな不便が生じることを紹介しました。

しかし、何歳まで車を運転できるかどうかは、高齢者の身体機能や認知機能によって異なります。

田舎とはいえ、高齢者の車の運転が危ないからやめて欲しいと感じている方も多いでしょう。

ここからは、田舎暮らしでも車の運転をやめて欲しい場合の対応方法として、以下の4つを紹介していきます。

• 家族でサポートする
• 地域の取り組みを活用する
• 宅配サービスを利用する
• 医師に説得してもらう

車の運転をやめて欲しいと感じている方は、対応方法を参考にしてみることをおすすめします。

家族でサポートする

田舎暮らしでも車の運転をやめて欲しい場合の対応方法1つ目は、家族でサポートすることです。

高齢者の近くに住んでいたり、同居していたりする場合は、買い出しや通院などの移動を補助してあげるのがおすすめです。

「車の運転はやめて」と伝えるだけではなく、高齢者の気持ちを理解して寄り添いつつ、安全面に不安があることを伝えることをおすすめします。

少し遠方に住んでいて頻繁にサポートができないという場合は、定期的に帰省してあげたり、買い物を手伝ってあげたりしましょう。

家族から気にかけてもらえていると実感することで、高齢者も精神的に安心して過ごせます。

高齢者とうまく話し合いができるかどうかが不安だという方は、コミュニケーションについて解説した以下の記事も参考にしてください。

地域の取り組みを活用する

田舎暮らしでも車の運転をやめて欲しい場合の対応方法として2つ目に挙げられるのは、地域の取り組みを活用することです。

具体的には、以下のようなものがあります。

地域の取り組み	内容
コミュニティバス	既存の路線バスだけでは不便な地域で、ニーズに合わせた運行をするバス
乗り合いタクシー	同じ方向・目的地に向かう乗客を複数名が相乗りするタクシー
デマンド型交通	予約に応じて経路やスケジュールを調整できる地域の公共交通機関

通常のバスやタクシーよりも安価に使用できるケースが多いため、田舎暮らしで車の運転をやめた方に優しいサービスとなっています。

地域によってサービスの内容が異なる場合も多いため、お住まいの自治体に問い合わせてみることがおすすめです。

また、大型の商業施設や医療機関などの場合、独自の送迎バスが利用できる場合もあります。

利用条件や運行スケジュールを確認したうえで活用してみましょう。

宅配サービスを利用する

田舎暮らしでも車の運転をやめて欲しい場合の対応方法3つ目は、宅配サービスを利用することです。

大手スーパーやネットスーパーだけではなく、地元の店で宅配サービスを提供している場合もあります。

買い出しができなくなる点を不安に感じている方は、宅配サービスの活用で問題を解決できるでしょう。

高齢者向けの宅配弁当を活用したい方は、以下の記事も参考にしてください。

また、食料品に限らず、処方薬の宅配サービスが導入されているケースも増加しています。

慢性疾患で定期的に同じ薬をもらっている場合は、オンライン診療と組み合わせれば、通院の手間を削減できます。

医師に説得してもらう

田舎暮らしでも車の運転をやめて欲しい場合の対応方法4つ目は、医師や周囲の人に説得してもらうことです。

「車の運転はやめて欲しい」と伝えても、家族からの説得は受け入れてもらえない場合もあります。

その場合、医師や周囲の人の力を借りて説得するのがおすすめです。

例えば、医師に持病の状態や薬の副作用などを含めた専門的な意見をもらうことで、「自分の運転は危ないのかもしれない」と認識しやすくなります。

かかりつけ医との信頼関係が築けている場合は、より説得しやすくなるでしょう。

田舎暮らしの車の運転は何歳まで？ 記事のまとめ

本記事では、「田舎暮らしの車の運転は何歳まで？」という疑問について詳しく解説しました。

田舎暮らしで車の運転が何歳までなのかに関しては、高齢者の状態によって異なるため、一概に年齢を線引きすることができません。

そのため、本記事で紹介した「3つの判断基準」を参考にしながら、判断してみることをおすすめします。

また、田舎暮らしの場合、車の運転ができなくなると、生活や仕事などに影響を及ぼす可能性があります。

車を手放したくない理由を理解してあげたうえで、運転をやめるように説得してあげましょう。