一人暮らしの親はかわいそう？高齢の親の要望と子どもができることを解説

「高齢の親が一人で暮らしているのはかわいそう…」
「親を一人暮らしさせるのは、見捨てているように感じる…」
このように親に一人暮らしをさせていることに対して、お悩みではありませんか？

親の一人暮らしに対して、罪悪感を抱く子どもは少なくありません。

本記事では、一人暮らしの親に対する心配や罪悪感、親自身の気持ちや支援方法について解説します。

最後まで読むと、親と自分、双方にとって最適な距離感と関わり方が見えてきます。

一人暮らしの親がかわいそうと思う2つの理由

一人暮らしをしている親に対して、「かわいそう」と感じる子どもは少なくありません。

ここではなぜ「かわいそう」と感じてしまうのか、その理由を紹介します。

高齢の親の一人暮らしに不安を感じている

一人暮らしの親が「かわいそう」と思っている子どもは、高齢の親が一人で暮らしていること自体を不安に思っているケースがあります。

高齢になると、体力の低下や健康面の不安が増してきます。

特に以下のような状況で、子どもは親の一人暮らしに不安を感じやすいです。

• 親が体調を崩すことが増えた
• 認知機能の低下が見られるようになった
• 転倒や事故のリスクが高まっている
• 緊急時に対応できる人が近くにいない

一人暮らしの親を心配するのは、愛情の表れであり、決して悪いことではありません。

しかし、その不安が過剰になると、親の意思を尊重できなくなる場合もあるでしょう。

高齢の親を一人暮らしさせていることに罪悪感がある

一人暮らしの親が「かわいそう」と思っている子どもの中には、罪悪感を持つ人もいます。

「親の面倒は子どもが見る」という価値観が残っており、罪悪感を助長しているのです。

しかし、親子関係は一方的なものではなく、お互いの生活や価値観を尊重することも大切です。

高齢者側からの一人暮らしに対する意見

高齢者の一人暮らしについては、人によってさまざまな意見があります。

ここからは、高齢者側からの同居を希望する・希望しない意見について見ていきます。

子どもと一緒に暮らしたい親

子どもと一緒に暮らしたいと、同居を願う親は少なくありません。

特に以下のような理由から、同居を望むケースがあります。

• 寂しさを感じている
• 日常生活に不安を感じている
• 家事や買い物などの負担が大きい
• 子や孫との時間を大切にしたい

特に配偶者と死別した後や、身体的負担が大きくなった場合に子どもと一緒に暮らしたいという傾向が強まるのです。

子どもと別々に暮らしたい親

親の中には、「子どもとは別々に暮らしたい」と考える人もいます。

厚生労働省の調査によると、60歳以上の高齢者の約70%が「子どもとは別居を希望する」と回答しているのです。

別々に暮らしたい理由として、以下が考えられます。

• 自分のペースで生活したい
• 子どもの生活を邪魔したくない
• お互いのプライバシーを尊重したい
• 長年住み慣れた地域や家を離れたくない

子どもが親のことを心配するのと同様に、親も子どものことを考えているケースが多いです。

高齢の親が一人暮らしにこだわる3つの理由

高齢の親の中には、一人暮らしをすることを望む人もいます。

一人暮らしにこだわる高齢者には、特に以下の3つの理由が挙げられます。

• 自分のペースで過ごしたい
• 住み慣れた土地を離れたくない
• 現状に満足していて同居する必要がない

それぞれについて解説します。

自分のペースで過ごしたい

高齢者の多くは、長年かけて自分のライフスタイルを確立しています。

自分の好きな時間に起き、好きな食事をして、好きなテレビ番組を見るなど、自分の時間を大切にしたいという思いが強い傾向にあります。

また、若者世代との生活リズムの違いも大きな要因の一つで、早寝早起きの高齢者と夜型の若者世代では、お互いがストレスを感じることも少なくありません。

住み慣れた土地を離れたくない

多くの高齢者にとって、長年住んできた地域には深い愛着があります。

住み慣れた土地を離れたくない理由には、以下のようなものが挙げられます。

• 近所づきあいや地域に密接なつながりがある
• かかりつけの医療機関や馴染みの商店などが身近にある
• 思い出の詰まった家や土地に愛着がある

現状に満足していて同居する必要がない

高齢者の多くは、今の自分の生活に満足しており、あえて環境を変える必要性を感じていないケースもあります。

特に健康状態が良好で、日常生活に支障がない場合はその傾向が強いです。

子どもに頼らなくても自立して生きていけるという自信があるので、同居を望んでいないことがあります。

一人暮らしの親がかわいそうと思ったらやってあげたいこと6選

親の一人暮らしをかわいそうと感じているなら、以下のようなサポートを検討してみましょう。

• 親の生活現状や要望の把握
• 親とできる限り接点を持つ
• 家の環境を快適に整える
• 防犯対策をする
• 家事を楽にするサービスを利用する
• 緊急時用に見守り体制を整える

高齢者との同居が難しくても、接点をつくることでお互いの不安も取り除けます。

それぞれについて、一つずつ解説します。

親の生活現状や要望の把握

親に対して、まずは生活状況や希望を聞き出すことが大切です。

「かわいそう」という思い込みだけで判断せず、しっかりと話しをすることから始めましょう。

健康状態に問題はないか、日常生活で困っていることはないかなどを聞くことで、必要としているサポートが分かります。

親とできる限り接点を持つ

親が遠方で暮らしていても、定期的な連絡や帰省で、親との関係を維持することが重要です。

総務省の調査によると、子どもと週1回以上連絡を取り合っている高齢者は孤独感が低い傾向にあります。

ビデオ通話やSNSなどを活用したこまめな連絡など、些細なことでも共有すると幸福感が得られます。

家の環境を快適に整える

親の家の環境を安全で、快適なものに整えるのも喜ばれます。

特に以下のような点に注意しましょう。

段差の解消や手すりの設置、生活必需品の買い替えなど、高齢者にあった環境に整えるのがおすすめです。

リフォームの内容によっては、お住いの地域で補助金が出る可能性もあるので、活用してみてください。

防犯対策をする

高齢者の一人暮らしには、防犯対策もしてあげましょう。

一人暮らしの高齢者を狙った犯罪も近年多発しています。

防犯対策として、防犯カメラや防犯ブザーの設置、不審な電話や訪問者への対応方法の確認など行うと安心感が高まります。

家事を楽にするサービスを利用する

高齢で一人暮らしをすると、家事の負担が年々体に影響してきます。

転倒の危険がある悪天候の日や、熱中症の危険がある夏場は特に注意が必要です。

以下のようなサービスの活用を提案してみましょう。

• 食事宅配サービス
• 家事代行サービス
• 買い物代行サービス
• 清掃サービス

高齢者の一人暮らしにあると便利なアイテムは、以下の記事でも紹介しているので、合わせて読んでみてください。

緊急時用に見守り体制を整える

親の万が一の事態に備え、緊急時の対応策を整えておくことも重要です。

緊急通報システムの導入や、見守り機能が付いた家電など、導入できることから始めてみましょう。　

日常生活の中で安否確認ができるものが、便利でおすすめです。

高齢者の見守りサービスの選び方については、以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。

遠方に暮らしていても子は親を介護する義務がある

高齢の親と離れて暮らす場合、介護も念頭に置いておく必要があります。

民法第877条第1項に基づき、介護について以下のように定められています。

第七章　扶養
（扶養義務者）
第八百七十七条　直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。

※引用元：民法877条第1項｜e-GOV法令検索

必ずしも同居の必要はありませんが、遠方に住んでいても親をサポートする必要があります。

親の介護について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

親子の要望によって一人暮らしを続けるか選択しましょう

一人暮らしの親がかわいそうと悩む方もいますが、最終的には、親子双方の意思を尊重することが最も重要です。

• 親が一人暮らしを望み、可能な状況であれば適切なサポートを提供しながら見守る
• 親が同居を望み、双方にとって実現可能であれば検討する
• 親の健康状態に問題がある場合は、専門家の意見も踏まえて判断する

上記のようにそれぞれの家庭によって、最適な暮らし方は異なります。

親の一人暮らしに不安を感じるのは自然なことですが、過度な心配や罪悪感にとらわれるのではなく、できる範囲でのサポートを考えていきましょう。