高齢の親を介護することは義務？介護ができない場合の対処法も解説

「高齢の親の介護が必要になったら自分の生活はどうなるんだろう…」

「介護しないとどうなる？」

上記のようにお悩みではありませんか？

高齢の親の介護は、多くの方にとって大きな悩みの種になっています。

金銭的な問題や心身の負担、さらに親との関係が良くない場合、介護をどうすべきか迷うこともあるでしょう。

この記事では、介護をしない場合の影響や費用負担についてと、介護ができない場合の対処法を紹介します。

介護に関する義務や現実的な対応策について理解できるように、ぜひ最後までご覧ください。

親の介護をしたくない・できないのはなぜ？

親の介護をしたくない・できない理由はさまざまです。

金銭的に余裕がないことや、介護にかかる心や時間の負担が大きいケースなど、さまざまな要素が影響しています。

こちらでは、なぜ介護が難しくなるのかを詳しく解説していきます。

金銭的に余裕がない

親の介護をしたくない・できない理由の1つ目は、金銭的に余裕がないことです。

自分たちで介護が難しい場合、介護施設に入所させるという選択肢がありますが、費用が高額になることが多いです。

親の預金が十分であれば問題はありませんが、預金が少なかったり、自分の貯金を使っても介護費用を賄うのが難しかったりすることもあります。

このように、金銭的な余裕がないために介護ができないというケースは多く見られます。

心・時間への負担がある

高齢の親を介護できない・したくない理由として、時間・心身による負担の大きさもあります。

親の介護をすると大量の時間を必要とし、その結果仕事に支障をきたす可能性があるかもしれません。

場合によっては、介護のために離職しなければならないこともあります。

特に経済的に余裕がない場合は、介護を続けるのが非常に難しくなるでしょう。

さらに、介護に多くの時間を割くことで、自分自身の時間がほとんど取れなくなり、精神的に追い詰められることがあります。

心身が安定しない状態で介護を続けると、精神的な病を引き起こす危険性があるため、無理に介護を続けることは避けた方が良いでしょう。

以下の記事では、介護と仕事の両立に関して詳しく解説していますので、合わせて参考にしてください。

親との関係が良好ではない

親との関係が良くないケースも、介護をしたくない理由の1つです。

過去に親から虐待を受けていたり、毒親に育てられたりした場合など、介護が必要になる前から関係が悪かったケースがあります。

また、介護が必要になってから「親の介護は子どもがするべきだ」と強い圧力をかけられることもあるでしょう。

このような状況が続くと親との関係性がさらに悪化し、介護に対する精神的な負担が増すことになります。

高齢の親の介護をしないとどうなる？費用負担は？

高齢の親の介護をしない場合、どのような影響があるのでしょうか？

介護をしないことで生じるリスクや、費用負担についても考える必要があります。

ここからは、介護をしないことによってどのような結果が待っているのか、扶養義務について詳しく見ていきましょう。

刑罰に科せられることがある

親の介護をしないと、刑罰が科せられる恐れがあります。

親の介護は法律で定められている扶養義務に含まれているからです。

民法877条第1項に基づき、「身の回りの面倒を見る義務」と「経済的に扶養する義務」の2つに分かれています。

扶養義務があるのは、直系血族や兄弟姉妹、親の配偶者とされています。

第七章　扶養

（扶養義務者）

第八百七十七条　直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。

※引用元：民法877条第1項｜e-GOV法令検索

具体的には扶養義務を果たさずに親の介護を放棄すると、「保護責任者遺棄罪」に該当し、3月以上5年以下の懲役が科せられる場合があるため、注意が必要です。

介護費用を負担すれば扶養義務を果たせる

親に介護費用の負担をすれば、扶養義務を果たすことになります。

扶養義務は、身の回りの面倒を見る義務と経済的に扶養する義務の2つに分かれています。

どちらも必ず果たさなければならないわけではなく、経済的な扶養のみでも問題ありません。

介護費用を負担して施設に入所させると、扶養義務を果たしたことになります。

この方法は親の介護をする時間が取れない方や、心身の負担が大きく不安な方にとって、良い選択肢となるでしょう。

金銭的に余裕がなければ扶養義務は強制されない

経済的に余裕がない場合は、裁判所によって「扶養義務が強制されない」と判断される場合があり、扶養義務は強制されません。

その判断基準として、生活保護制度における「生活扶助基準額」が一般的に使われます。

この基準に基づいて「生活に必要な最低限の支援がない」と判断されれば、無理に介護をしなくても問題ありません。

経済的に困難な状況であれば、介護の負担を強いられることはないため安心できるでしょう。

介護ができない場合の対処法は？

介護ができない場合、どのように対処すれば良いのでしょうか？

介護をしない、またはできない状況に陥った場合でも、さまざまな方法で支援を受けられます。

ここからは介護ができない場合の具体的な対処法として、家族や親戚へのお願い、訪問サービスや施設の活用などについて詳しく紹介していきます。

家族や親戚にお願いする

高齢の親の介護ができない対処法の1つ目は、兄弟姉妹や他の親族にお願いすることです。

親の介護の義務は、子どもだけでなく兄弟姉妹や親の配偶者にもあります。

兄弟姉妹や他の親族に介護ができる余裕がないかどうかを、相談してみましょう。

すべての介護を兄弟姉妹や親族に任せるのではなく、できる範囲で協力してもらうと理解を得やすくなります。

一部の介護を手伝ってもらい、負担を分担することで円滑なサポートをお願いできるでしょう。

訪問サービスや施設にお願いする

在宅介護をする際に仕事を辞めなければならない場合もあるため、訪問サービスや施設に頼るのも選択肢の一つです。

訪問サービスや施設に任せる場合費用がかかりますが、親の預貯金を使ったり、健康保険や介護保険制度を活用したりすることで、負担を軽くできます。

もし費用が足りない場合は、他の親族に協力してもらったり、親が生活保護を受けたりすることで費用をカバーする方法もあります。

地域包括支援センターへ相談する

介護ができない場合、地域包括支援センターに相談するのも一つの方法です。

地域包括支援センターは各市町村にあり、介護に関するさまざまな相談を受け付けています。

センターの担当者は介護の専門知識を持っているので、自分では思いつかないような解決策を提案してくれることもあります。

地域包括支援センターについて詳しく知りたい方は、以下の記事も合わせて参考にしてください。

金銭的に余裕がないことを伝える

お金がなくて介護ができない場合は、金銭的に余裕がないことをしっかり伝えることが重要です。

家庭裁判所は「生活扶助基準額」を基にして、金銭的に余裕があるかどうかを判断し、余裕がないと判断されれば、介護する義務はなくなります。

金銭的に余裕がないことを伝えずに介護を放棄してしまうと、刑罰を受ける可能性があります。

身を守るためにもそのことをしっかり表明することが大切です。

高齢の親の介護（義務）は経済的な扶養でもカバーできます

高齢の親の介護には金銭的・時間的・精神的な負担が伴い、親との関係が悪化している場合も介護が困難になるケースがあります。

介護をしない場合は扶養義務があるため、放棄すると刑罰を受ける恐れがありますが、介護費用を負担すると扶養義務を果たせます。

一方で経済的に余裕がない場合、裁判所が扶養義務を強制しない判断を下すこともあるため、その場合はしっかりと意思表示をすることが大切です。

高齢の親の介護にはさまざまな負担が伴いますが、すべてを自分で担うことが難しい場合もあるでしょう。

そのようなときに役立つのが当社の見守りサービスです。

こちらのサービスは、高齢の方に対して異常を察知したら専門スタッフがご自宅に訪問します。

親の介護が難しくなった場合には、高齢者の見守りサービスを活用することで、より効果的にサポートを受けることができます。