孤独死なら特殊清掃は必須？発見から依頼まで手順や費用について解説

孤独死は死亡から発見されるまで時間がかかることがあり、住んでいた住居の後始末も簡単ではありません。

いわゆる特殊清掃が必要になることも多く、一般的なハウスクリーニングとは勝手が違うのでとまどうこともあるはずです。

孤独死発見後の対応と、どのような手順で特殊清掃を依頼すればよいのか、費用はどれくらいかかるのかを解説、孤独死を予防するための提案も紹介しましょう。

孤独死発生時に必要な特殊清掃とは？

特殊清掃とは、なんらかの事情で遺体の発見が遅れた室内を原状回復するための清掃方法で、孤独死発生時にも多く利用されています。具体的には、遺体の体液などによる汚染を除去したり、遺体や室内のゴミから発生する腐敗臭の除去、除菌などを行います。

孤独死した方の使用していたふとんや生活用品など、汚染されているものの処理を行うのも特殊清掃の業務です。また、孤独死では清掃前に遺族が室内に入ることが難しいケースが多いため、貴重品や重要書類が入った家財などの搬出も行うことがあります。

特殊清掃は専門業者に依頼が基本

特殊清掃には専門知識や機材・薬剤が必要になるため、一般のハウスクリーニング業者ではなく専門業者に依頼するのが基本です。経験のない人が特殊清掃を行うことは不可能ではありませんが、大変な労力と時間もかかり消臭や除菌に満足できる結果を出すことは難しいでしょう。

孤独死発見後の対応の流れ

孤独死を発見したら、目の前の状況が信じられずうろたえたり、恐怖を感じてしまうこともあるかもしれません。こういうときはまず冷静になることが大切、辛いかもしれませんが腹をくくり、つぎのような手順で対応してください。

①まずは警察に連絡

孤独死を発見したら、まずやらなければならないのは警察への連絡です。病院ではなく自宅で亡くなっていた場合、病死ではなく事件性、事故死も疑われることがあるため、警察が検視を行うことになります。

もし故人にかかりつけ医が存在し、死亡した直後に家族などが発見し医師に連絡がついた場合なら、警察への連絡は不要です。しかし、孤独死した人なら家族や親族が発見してもかなり時間が経過しているケースが多いので、やはり警察に連絡することになるでしょう。

②特殊清掃業者に依頼

警察に連絡し現場検証が終わり、遺体が遺族に引き取られるなどして部屋が空いたら、つぎは特殊清掃業者に依頼します。孤独死した故人の住まいは、アパートやマンションなどの賃貸住宅が多く、一刻も早く原状回復したいはずです。

孤独死が発生した部屋は異臭や害虫の被害が近所に及ぶことも多いので、できるだけ早く業者に連絡するようにしましょう。相談や見積りは無料であることが一般的ですから、業者選びに迷ったときは複数に見積りをもらい検討するのがおすすめです。

③遺品の整理

孤独死した人に限らず、亡くなった後の遺品整理は必ず行う必要があります。貴重品や現金、重要な書類などのほか、遺族にとって大切なものや故人の想いが伝わるようなものもあるかもしれません。

しかし、孤独死した人の部屋は異臭や汚染が激しかったり、汚物やゴミで埋め尽くされているケースも多いのです。家族や親しい人でもそのような部屋で遺品を整理することは難しいですから、遺品整理も行う特殊清掃業者に依頼することをおすすめします。

また、死後それほど時間が経過しておらず、比較的きれいな状態の部屋の場合は、遺族立ち合いで遺品整理を依頼することも可能です。

④リフォームが必要な場合も

孤独死が発生した部屋は、特殊清掃により汚染した部分をきれいにし消臭・除菌を行いますが、体液が染み込んでしまったフローリングやクッションフロアなど、どうしても除去できないケースもあります。

そのような場合、臭気を除去するためのリフォームが必要になることもあります。また、状況によっては壁紙などにも血液や汚物による汚れが残ることがあるので、その場合も壁紙を張り替えるなどのリフォームが必要でしょう。

室内ではなく亡くなった場所が浴室の場合は配管などに異臭が付きやすく、密閉空間であることから臭いもこもりやすいので、リフォームを行う可能性も高くなります。

孤独死の特殊清掃にかかる費用相場

孤独死の特殊清掃にかかる費用相場は、部屋の広さ・間取りのほか、部屋がどのような状態なのかによって異なります。目安としては、間取りが1R〜1Kの部屋で5万円〜10万円、1LDK〜3LDKで7万円〜30万円程度です。ゴミ屋敷のように処分しなければならないものが多ければ、かかる時間や作業員の人数が増えるため、この金額よりも高くなる可能性があります。

作業別の費用相場の例は次のとおりです。

特殊清掃請け負う業者によって料金設定が異なり、現場の状況によって料金が変わります。まず現場を確認してもらい、見積りを依頼してください。

孤独死の予防・対策方法

孤独死は亡くなった本人はもちろんお気の毒ですが、残された遺族や賃貸物件の所有者の負担も大きくなるので、可能な限り予防したいものです。孤独死に至らないように予防することは可能、その対策方法もあるので見ていきましょう。

入居者と定期的なコミュニケーションをとる

賃貸物件の入居者が孤独死を予防するためには、定期的な見守り・コミュニケーションが有効です。孤独死する人は死を迎えるときだけでなく、普段の生活でも孤独であったケースが多いといわれています。

日頃から付き合いがある同士なら、普段とは違う様子に気が付くこともあるでしょう。しかし、近年は隣近所との交流がまったくないという世帯も珍しくなく、一人暮らしならなおのことコミュニケーション不足が起こっているのです。入居者との定期的なコミュニケーションをとることで異変に気付きやすくなり、孤独死を予防することも可能でしょう。

見守りサービスを利用する

家族や近所とのコミュニケーションが難しければ、見守りサービスを利用するという方法もあります。孤独死は亡くなってから発見されるまで何日もかかった、ということが多いのですが、見守りサービスを利用することで早期発見が期待できるだけでなく、体調悪化などの緊急時にも対応可能です。

LINEを利用する安否確認や、警備会社、電気会社などが提供するサービスなど、「もしも」に備えることができる見守りサービスは種類がたくさんあります。

保険に加入する

保険に加入することで、孤独死に備えることもできます。賃貸物件で孤独死が発生した場合、原状回復のための費用がかかるだけでなく、家賃が支払われなくなるという損失も発生するでしょう。

それらの金銭面での損失を補償するための保険があるのですが、このような孤独死対策の保険は大家さんや管理会社が保険料を負担するものと、入居者が入居時に加入して保険料を負担するものとがあります。入居者負担の保険は家財保険で、大家さんや管理会社の負担がないのですが、家賃損失の補償がないという点がデメリットになるでしょう。

電球型見守りサービスを活用した孤独死予防策を紹介

賃貸物件オーナーにおすすめの孤独死予防対策として、「電球型見守りサービス」というユニークな方法もあります。

これは見守り器具となる電球をリビングや廊下、トイレなどに取り付け、電気がつかない状態やつきっぱなしの状態が続くと異常検知のメールが届くという仕組みです。電球からメール、と聞くと特別な機器の設置やWi-Fiの設定が必要なのでは？と思うかもしれません。しかし、電球内のSIMが発信するという通信を行うので面倒な手続き・手間は不要です。

また、電球ひとつひとつに製造番号が割り振られているので、どの電球から送られてきた通信なのかを判断することもできます。

まとめ

孤独死が発生した場合、そのほとんどが特殊清掃を行うことになるでしょう。近年は一人暮らしの高齢者だけでなく、若い世代でも孤独死が急増しているといわれています。

ウチは大丈夫、ではなく備えておく必要があるということ。その時になってパニックにならないよう、なにをどうすべきかを把握しておきましょう。

また、孤独死による金銭的損失に備える保険や孤独死を予防する対策もあるので、ぜひ検討してみてください。