「以前は温厚だった親が加齢とともに怒りっぽくなってきた…」
「高齢者の怒りっぽい言動は病気なの?」
高齢の親の性格が怒りっぽくなってきたり、街中で激怒する高齢者を見かけたりなどで、対応に困った経験はありませんか?
高齢者が怒りっぽい背景には、体の不調や心の不安など医学的な要因も深く関わっています。
本記事では、高齢者が怒りっぽいとされる言動の特徴やその要因、適切な支援方法について解説します。
また、高齢者は怒りっぽいだけでなく噓をつくケースもあるので、ぜひ以下の記事もあわせて読んでみてください。

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高齢になると、理解しがたい些細なことでも怒りっぽくなることがあります。
これまで温厚だった人が突然怒りっぽくなってしまい、家族や周囲の人々を戸惑わせてしまうケースも少なくありません。
例えば、以下のような言動が挙げられます。
- 財布を片付けたのに「誰かが財布を盗んだだろう!」と家族を疑い激しく問い詰める
- 若い店員の接客態度に立腹し「年寄りをバカにしているのか!」と声を張り上げる
- 介護サービスの送迎が5分遅れただけで「約束の時間を守れないなんて、もう二度と利用しない!」と時間に敏感で融通が効かない
高齢者特有の怒りっぽさには、「なぜ怒っているのかわからない」「怒りのポイントが予測できない」などの特徴があります。
このような高齢者の言動の変化には、さまざまな要因が影響しており、必ずしも加齢のせいだけではありません。
高齢者が怒りっぽくなる要因について、次の章で解説します。
高齢者が怒りっぽい5つの要因
高齢者が怒りっぽくなる背景には、さまざまな要因が存在します。
主な原因として、以下の5つのようなケースが考えられます。
- 認知症による感情コントロール機能の低下
- 精神的ストレスや老人性うつ病
- 糖尿病や高血圧などの生活習慣病
- 慢性疲労や身体機能の低下
- 社会的に孤立しやすくなる環境
高齢者によっては要因が一つだけでなく、複数含まれている可能性もあります。
一つずつ解説するので、当てはまる病気がないか確認しておきましょう。
認知症による感情コントロール機能の低下
高齢者が認知症になると、脳の機能が低下し感情のコントロールが難しくなりやすいです。
脳内の「前頭葉」という部分が萎縮してしまうと感情を抑えにくくなり、怒りをあらわにしてしまいます。
認知症は主に以下の4つの種類に分けられ、初期症状として怒りっぽくなると考えられます。
- アルツハイマー型認知症による攻撃性
- レビー小体型認知症における夕暮れ症候群
- 脳血管性認知症による感情失禁
- 前頭側頭葉型認知症における社会性の喪失
また、認知症の発症率や起こりうるトラブルについては、以下の記事を参考にしてください。

アルツハイマー型認知症による攻撃性
アルツハイマー型認知症は、認知症の中で最も患者数が多く、脳全体がゆっくりと萎縮していくのが特徴です。
感情の起伏が激しくなったり、些細なことで怒り出したりといった攻撃的な態度が目立ちます。
さらに進行すると、徘徊・妄想・睡眠障害などの行動や、不安・焦燥・興奮などの心理症状(BPSD)が出現する可能性もあります。
また、アルツハイマー型認知症の方の中には、脳の血管障害も患っている方も多く、後述する脳血管性認知症も併発しやすいです。
レビー小体型認知症における夕暮れ症候群
レビー小体型認知症は、アルツハイマー型認知症の次に患者数が多い認知症です。
脳内に「レビー小体」と呼ばれる異常なタンパク質が蓄積されることで、脳の神経細胞が壊れていく病気です。
幻覚や筋肉が固くなるといった症状が現れるほか、怒りっぽくなったり、不安が強くなったりすることがあります。
特に、夕方から夜にかけて怒りっぽい症状が強まることから「夕暮れ症候群」と呼ばれています。
脳血管性認知症による感情失禁
脳血管性認知症は、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害によって脳細胞がダメージを受け、認知機能が低下する病気です。
「感情失禁」と呼ばれる感情のコントロールが困難になったことで、些細な出来事で喜怒哀楽が激しくなったり、反対に感情がなくなったような表情をしたりします。
また、血管や脳細胞が損傷した箇所によって、言語障害・運動機能障害・感覚麻痺などの症状も併発する可能性があります。
さらに、アルツハイマー型認知症と脳血管性認知症の2つの症状が同時に見られる場合もあるため、注意が必要です。
前頭側頭葉型認知症における社会性の喪失
前頭側頭葉型認知症は、脳の「前頭葉」や「側頭葉」で神経細胞が減少し、脳が萎縮する病気です。
症状としては、感情の抑制が効かなくなったり、社会のルールを守れなかったりといった行動が目立ちます。
さらに進行すると、自己中心的な言動・衝動的な行動・他者への共感性の低下などや、心理症状(BPSD)が出現する可能性もあります。
また、前頭側頭葉型認知症の方の中には、言語機能の障害を伴う場合もあり、コミュニケーションの困難さが見られる傾向にあるのです。
参考:厚生労働省『認知症施策の総合的な推進について(参考資料)』
精神的ストレスや老人性うつ病
高齢者の怒りっぽさの原因として、精神的ストレスや老人性うつ病も一つの要因です。
老人性うつ病には認知症と似た症状もあり、気づきにくい傾向があります。
老人性うつ病については、以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。

糖尿病や高血圧などの生活習慣病
糖尿病や高血圧といった慢性疾患も、高齢者が怒りっぽい要因の一つです。
高血圧や糖尿病などの生活習慣病は、進行するとアルツハイマー型認知症や脳血管性認知症を患う可能性も高まります。
慢性疲労や身体機能の低下
高齢者の加齢に伴う身体機能の低下や慢性的な疲労も、怒りっぽさの要因となります。
慢性的な疲労が続いたり、身体機能が低下したりすると、高齢者がイライラすることがあります。
今までできていた行動がスムーズにできなくなることが受け入れられず、挫折感や失望が怒りとなって表現されることも少なくありません。
社会的に孤立しやすくなる環境
高齢者が社会的に孤立し孤独感を感じると、その不安から怒りっぽくなるケースもあります。
高齢になると退職や子どもの独立から人付き合いの機会が減少し、社会的に孤立しやすくなってしまいます。
家に引きこもりがちになると、運動不足や生きがいを失ってしまう高齢者も現れるでしょう。
高齢者が感じている孤独感の詳しい原因や、解消方法は以下の記事を参考にしてください。

家族ができる怒りっぽくなった高齢者への支援方法4選
高齢者の怒りっぽい言動に対して、家族ができる支援方法を4つ紹介します。
- 共感から安心感を与える
- 生活環境を調節する
- 医療・介護サービスを活用する
- 専門家によるケアを導入する
一つずつ解説するので、高齢者に寄り添いながらその人に合った対応方法を見つけていきましょう。
共感から安心感を与える
高齢者の気持ちを理解して、心の安定を図りましょう。
高齢者もなぜ怒ってしまうか理解できずに、不安を抱えているケースがあります。
「そうだったんですね」「それは大変でしたね」とねぎらったり、共感したりすることが重要です。
高齢者に安心感を与えられれば、不安から生まれる怒りを軽減できるでしょう。
生活環境を調節する
高齢者が毎日快適に過ごせるように、生活環境を整えることも大切な支援の一つです。
老化とともに日常の過ごし方や感じ方が変わってきます。
例えば、部屋の温度・家具の配置・生活リズムなど、できるところから少しずつ変えてみましょう。
また、社会活動や運動の機会が増えると、QOL(生活の質)の向上につながります。
医療・介護サービスを活用する
高齢者の様子を伺い、必要があれば医療機関の受診や介護サービスの利用を検討しましょう。
介護サービスを利用すれば、家族の負担も減らせます。
介護に関する悩み事があれば、お近くの地域包括支援センターにて相談も可能です。
公的機関である地域包括センターの役割やサービスについては、以下の記事を参考にしてください。

専門家によるケアを導入する
高齢者の認知症や体調が深刻な場合は、専門家による支援を受けることも検討しましょう。
精神科医や心理カウンセラー、介護などの専門家から、高齢者の状況に応じたサポートを受けることが可能です。
また、高齢者だけでなく介護者の家族のメンタルヘルスケアも重要です。
家族自身が健康でないと、高齢の親へ適切な支援が難しくなってしまうので、後回しにせずぜひ利用してください。
高齢者の怒りっぽい言動に対して避けたい3つのこと
高齢者の怒りっぽい言動に対して、イライラしてしまう場面に出会ったことはありませんか?
その際に避けたい接し方として、以下の3つがあります。
- 感情的になって言い争う
- 過度な制限や否定的な態度をとる
- 無理に急かしたり焦らせたりする
心に余裕をもって、高齢者と接するようにしましょう。
感情的になって言い争う
怒りっぽくなっている高齢者に、感情的に言い返してしまうと、さらに混乱させてしまう可能性があるので避けましょう。
相手が怒っている時は、一旦その場を離れるなど、気持ちを整理する時間を設けるのが効果的です。
高齢者に対して冷静な対応を心がけ、穏やかな口調を意識することが大切です。
過度な制限や否定的な態度をとる
高齢者への過度な制限は、自尊心を傷つけ、反発を招くことがあります。
また、物事を何もできないと決めつけて、否定的な態度をとることも避けましょう。
高齢者自身でできることには極力取り組んでもらい、手助けが必要な場合のみサポートするのがおすすめです。
無理に急かしたり焦らせたりする
高齢者の行動のペースを尊重し、無理に急かしたり焦らせたりするのは避けましょう。
かえってミスや事故のリスクが高まる可能性があります。
時間に余裕を持った対応を心がけ、ゆっくりと丁寧に接すれば、高齢者も落ち着いた行動が取れて安全です。
高齢者とのより良いコミュニケーションの取り方については、以下の記事も参考にしてください。

高齢者が怒りっぽい要因を理解し適切なケアにつなげましょう
高齢者の怒りっぽい言動には、さまざまな要因が複雑に絡み合っています。
一つ一つの要因を理解し、適切なケアや支援につなげていくことが大切です。
また高齢者への支援と同じように、家族自身の健康状態も整えなければなりません。
定期的な休息を取り、長期的な視点で介護に向き合うことをおすすめします。
家族だけで抱え込まず、必要に応じて専門家に相談したり、医療・介護サービスを利用したりしながら、安心して暮らせる環境づくりを目指しましょう。