高齢になると睡眠に問題を抱えた苦しみを訴える方が増えています。
本記事は高齢者の睡眠の特徴と問題をかかえる原因を探り、どうしたら高齢者が快眠できるかの具体策を解説しています。
ぜひ睡眠にお悩みの方は読んで参考にしてください。
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高齢者の睡眠の特徴
高齢者の睡眠には以下の特徴があります。
- 起床・就寝時間とも早い傾向がある
- 就床の時間が長い
- 眠りが浅く、熟睡感が少ない
- トイレなど、途中で覚醒する回数が多い
- 寝床に入ってもなかなか入眠できない
- 朝早くに目が覚めてしまう
高齢になると睡眠で問題を抱える場合がみられるようですね。
熟睡できず不眠になる場合もあるようですが、高齢になるとなぜ睡眠に問題を抱えてしまうのでしょうか?
その原因について探ってみましょう。
高齢者の睡眠の問題点
高齢になって睡眠に関係した問題を抱えるのは自然なことです。
まず高齢者になると睡眠障害を抱えてしまう原因を以下で解説しています。
高齢になると早朝覚醒や不眠が起きる
一般的に高齢者は早寝早起きだといわれていますね。その原因は体内時計が加齢によって変化するからです。
睡眠を支えている血圧・体温・ホルモン分泌など生体リズムが前倒しになり時間的に早くなります。したがって眠りに就く時刻も早くなり早寝早起きになってしまうわけです。
早朝覚醒してしまうのは、高齢になると体内時計がだんだん早くなるという根拠があったのですね。
また不眠と聞けば、日中の活動が不足しているからだと単純に考えてしまいますが、それだけが原因ではありません。
加齢とともに高血圧・糖尿病などの生活習慣病になることが多く、その他の基礎疾患も併発してしまい、それらが不眠につながるといわれています。
参考:オムロンヘルスケア「生活習慣病にも大きく関係している「不眠」」
高齢者の睡眠が短く浅くなるのはなぜ?
加齢による身体能力の低下が睡眠時間を減少させる原因です。
それも高齢に伴う自然現象の一つで、60歳を過ぎた頃には基礎代謝が低下し、エネルギー量を睡眠で補う必要がなくなり、睡眠時間が短くてすむようになるからです。
また加齢によって眠気を呼ぶメラトニンというホルモンが減少し、高齢者が睡眠時間が短くなる原因となっています。
高齢者の睡眠が浅くなるのは、睡眠脳波の調査により、眠りを深くするノンレム睡眠が減り、浅いレム睡眠が増えることもわかってきました。
それで夜間頻尿の原因になったり、少しの物音で目を覚ましたりして、眠りが浅いと悩む高齢者が増えてくるのです。
ですから睡眠時間の多い少ないには関係なく、普段の生活も普通にできているなら、睡眠は十分だと考えていいでしょう。
また昼食後に眠くなるなら軽く昼寝をすると気分も爽快になります。
ただし長い昼寝は夜の睡眠の妨げになりますから、しないように気を付けてくださいね。
不眠が続くならどうなるか?
早朝覚醒や睡眠が浅くなるのは、加齢に伴う自然現象の一つですが、深刻な不眠になってしまうと身体・心・脳に大きなダメージを与えてしまい注意が必要です。
生活習慣病があると不眠につながると前述しましたが、反対に不眠が高血圧・糖尿病・肥満症などの生活習慣病を引き起こす原因にもなり得るのです。
また不眠は精神疾患と関係が深く、認知症やうつ病につながっており、不眠が及ぼす影響は大きいといえるでしょう。
以下の記事は不眠とは反対に「高齢者が寝てばかりいる」とどうなるかについて書かれています。睡眠障害については同様ですので参考に読んでください。
高齢者の快眠のためにできる具体策
高齢者の睡眠の特徴は、体内時計の変化による早朝覚醒や眠りが浅くなる傾向があります。
また深刻な不眠の場合は、そのままにしておけない重大な疾患で対処が必要となるでしょう。
そうした高齢者の睡眠の問題に対処し、快眠を得る工夫を以下から解説したいと思います。
- 早朝覚醒の対策は体内時計を遅らせる
- 寝つきが悪い時には、夕方以降に深部体温を上げる
- 眠りが浅く中途覚醒する時には日中を活動的に過ごす
- どうしても眠れない時は睡眠薬を処方してもらう
早朝覚醒の対策は体内時計を遅らせる
早朝覚醒は体内時計が早くなっていることが原因です。体内時計を遅らせる工夫をしてみましょう。
遮光カーテンで部屋を暗くする
体内時計のリセットを試みることが大切です。
光でリセットされるので、寝室に遮光カーテンをつけて早い時間からの光を遮ります。
寝室を暗くするなら起きる時間も遅くなる可能性があるので取り入れてみてください。
朝の屋外はサングラスをかける
午前中は光を浴びる際には注意しましょう。本来なら逆になりますが、高齢者の体内時計をリセットするために必要です。
散歩やガーデニングをする際は日よけになるもので遮り、サングラスなどをかけてください。
夜は明るい光の下で過ごす
体内時計を遅い時間にずらすため、夜は明るい部屋で過ごすようにしてください。
つまり眠気がくる時間を遅くするのが目的です。しかし布団やベッドに入る1時間前には明るさを落とし、スマートフォンなどを使わないようにしましょう。
なぜなら今度は寝つきが悪くなってしまうからです。
寝つきが悪い時には、夕方以降に深部体温を上げる
夕方から夜の間にいったん深部体温を上げておくと、寝る前には深部体温が下がって眠くなります。
すなわち深部体温が下がる時間が眠くなる時ですから、上手に逆算して寝る時間を調整してください。
そして寝る前には静かな音楽を聴くなどし、リラックスした状態をつくるなら、心地よく眠りに入れるでしょう。
以下では、さらに体内時計を調節してリラックスする方法を紹介します。
ウォーキングやラジオ体操程度の軽い運動をする
普通はウォーキングやラジオ体操は朝にするものですが、高齢者の体内時計の調節のために、夕方から夜にかけて軽い運動をするのはよい方法です。
寝る前に激しい運動をすると交感神経が刺激され、かえって目がランランとして眠れなくなりますので控えてください。
時間は寝床に入る3時間前ほどがちょうどいいでしょう。
ぬるめの温度で入浴する
ぬるめの温度で入浴するとリラックス効果をもたらし、入眠しやすくなります。
寝床に入る1~2時間前にすませるといいでしょう。しかし熱い温度のお湯のお風呂は交感神経を興奮させ、スムーズな入眠を妨げますから避けてください。
寝る4時間前にはカフェイン飲料は控える
コーヒー・紅茶・緑茶にはカフェインが含まれています。
カフェインは興奮させ眠りを妨げる作用があり2時間半から4時間半は続くので、入眠の4時間前には飲むのを控えましょう。
夜のひと時はノンカフェインで香り高いハーブティーなどでくつろぐのがおすすめです。
眠りが浅く中途覚醒には日中の活動と飲酒に注意
早朝覚醒する場合と違い、眠りが浅い際の解決策を紹介します。
朝起きて「よく寝た」という熟睡感は、日中どう過ごしたかが大きく関係してきます。
中途覚醒を防止するために、どんな風に過ごせばいいでしょうか。以下に具体的に説明します。
日中に太陽の光を浴び軽い運動をする
太陽の光を浴びながら活発に活動することで、睡眠を促進するメラトニンの分泌が高まり、体内時計のリズムが整います。(前述しましたが早朝覚醒の方は朝の日光を避けてください)
また夕方から夜にかけて深部体温を上げてリズムを整え、寝る前には下げて寝つきを良くすることが期待できます。
さらに日中の活動は睡眠物質をためることになり、深い眠りを誘う結果になるでしょう。
太陽を浴びながら公園で読書したり、ウォーキングなどの好きな軽い運動をしたり、自分のペースで日中を楽しく過ごしてください。
寝る前のお酒を適度に保つ
よく眠れないので寝酒をする方もいますね。たしかにアルコールは寝つきをよくしてくれます。
しかしお酒を飲んでから4時間くらい経つと、今度は反対に覚醒効果が強くなり中途覚醒の原因になってしまうだけでなく、アルコールの利尿作用でトイレで起きてしまうでしょう。
夜の飲酒はくれぐれも適度に心がけてください。
就寝時間を遅くする
眠りが浅い高齢者は、就寝時間を遅くした方が眠りやすいのです。
つい眠りが浅く十分な睡眠がとれないからと、早目に寝床に就くのですが、実は逆効果です。
なぜなら脳は寝床に入る前の2~3時間は、はっきり目覚めているため寝床に就いてすぐには寝付けない状態だからです。
反対に寝床に入る時間を遅くしたほうが、深い眠りを得られる可能性があります。
どうしても眠れない時は睡眠薬を処方してもらう
不眠は心身に大きな悪影響を及ぼします。何をしても眠れない時は、睡眠に特化した医師に相談して睡眠薬を出してもらいましょう。
睡眠薬にもいろんな種類がありますから、不眠の度合いや原因にあわせた専門的な処方が必要です。
そして本当に睡眠薬まで必要としているかの見極めも大切ですから、睡眠医療の医師と相談してみましょう。
快眠の秘訣は人生を楽しむこと
人生を楽しんで過ごしている高齢者は、比較的睡眠の問題は少ないといわれています。
ですから睡眠の問題や深刻度も人さまざまですが、眠れないことが日々の関心事のようになってしまわないことは大切です。
ですが、なんとか眠るためにウォーキングを頑張っても、動機が義務感なら長続きしませんよね。
何かほかで自分が楽しく打ち込める趣味・社会貢献・交流会を見つけて取り組むのはいかがでしょうか。
夢中に取り組んでいくうちに睡眠の問題が、いつの間にか軽減していることに気づき、自分でも驚くかもしれません。
本当に大切なことは、睡眠の問題に気を取られるより、人生を楽しんで生きることでしょう。
きっとそれが快眠の秘訣といえるのではないでしょうか。
人生に生きがいを持って楽しんで生きる大切さと具体案について書かれています。参考に読んでみてください。
高齢者は快眠と安心サポートで平安な日々を
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まとめ
高齢者の睡眠の特徴や問題点を探り、快眠を得るための具体的な工夫をご紹介してきましたがいかがでしたか。
睡眠障害は心身に大きな影響を及ぼすこともありますから、これまでに挙げてきた対処法を実行しても睡眠が改善されない場合は、ご家族や専門医にご相談ください。
高齢者のみなさんが、快適な睡眠が取れますよう願っております。