住宅確保要配慮者の見守りを行う居住支援法人とは？住宅セーフティネットの活用方法

「高齢や障害を理由に住宅を貸してくれる不動産が見つからない」
「安心して子供を育てられる環境が欲しい」
「一人暮らしなので急に体調を崩した時が心配」

上記のような経験や考えをお持ちの人もいるのではないでしょうか。
日本では高齢化や核家族化が進み、生活を見守ってくれる頼れる人も居ない状況が増えています。

そうした社会の状況も含め、孤独死も高齢者層を中心に増加しています。
不安や問題を解消するために現在、日本では住宅確保要配慮者への居住支援を強化すべく法整備を進めています。
この記事では、現在活用できる住宅セーフティネットや、居住支援法人について紹介しています。

住宅確保要配慮者向けの見守りサービス

住宅確保要配慮者向けの見守りサービスについて解説していきます。

住宅確保要配慮者とは

さまざまな理由で住宅の確保に特に配慮が必要とされる人たちのことを指します。

たとえば、高齢者や低額所得者、障害者、被災者、または子育て世帯や外国人などがこれに含まれます。

居住支援法人とは

居住支援法人とは、住宅セーフティネット法に基づいて都道府県に指定された法人を指します。

住宅確保要配慮者への入居時または入居後の生活をサポートするために、居住支援法人では幅広い業務を担います。

以下が居住支援法人の行う業務の一例です。

• 住居が借りられない場合の入居相談
• 入居者への家賃債務保証
• 見守りや、安否確認、いざという時の駆けつけなどの生活支援

これらのサービスを活用することで、高齢や障害を理由に入居先が見つからない、日々の生活や孤独死への不安といったことを解消できます。

住宅確保要配慮者への入居拒否問題について

住宅確保要配慮者の相談で多いのは、以下の理由などから新たに住居の確保が必要となった時です。

•  生活費の減少や物価高により生活が困窮し、今より安い家賃の住居への移住希望
• 現在住んでいる住居が老朽化や家主の意向を理由に取り壊しが決まった
• 長期入院や医療費の支払い対応により家賃滞納が続き、強制退去となってしまった

 このように普通に生活していても、急に新たな住居を確保しなければならない状況になってしまうことは決して珍しいことではありません。

しかし、いざ住宅を探そうとすると、低家賃帯の住宅が少ない上に、民間賃貸住宅では住宅確保要配慮者に対し入居を拒否する傾向がみられます。

これは、住宅の貸主側が、住宅確保要配慮者の入居を受け入れることによるリスクを回避するためです。

民間の賃貸不動産会社が抱えるリスクとは

民間の賃貸住宅では空き家が増える一方で、トラブルなどのリスクを回避するために、住宅確保要配慮者の入居を拒否するケースが増加しています。

民間の賃貸不動産会社が住宅確保要配慮者を受け入れるためには、以下のようなリスクを伴うことがあります。

•  身元、連帯保証人の不在など緊急時に対応できない
• 障害や高齢などで一定の生活支援が必要な人がいる
• 近隣住民とのトラブル
• 家賃の滞納（怪我や病気が原因で入院、離職など）
• 孤独死による発見の遅れ
• 身寄りがない場合の遺品や家財の整理

 日本では、今後も高齢者を含めて住宅確保要配慮者が増えることが予想されます。

こうしたリスクを低減させるために、地域全体で支える住宅セーフティネット制度の活用が期待されているのです。

住宅確保要配慮者向け支援の重要性

住宅確保要配慮者の中でも「高齢者」の増加は日本において避けられない状況となっており、2030年には単身高齢者が800万世帯にも上ると予測されています。

また、空き家問題も深刻化する状況となっています。

そのため、住宅セーフティネット制度を含めた住宅問題解決への法整備が今後はより重要となってきます。

住宅セーフティネット制度の概要

高齢者や障害者、低額所得者、子育て世帯などが安心して暮らせるようにするには、住宅の確保や生活の見守りにさらなる配慮が必要となってきます。

しかし住宅確保要配慮者が優先的に入居できる公営住宅については、需要が増加し入居希望が殺到しており、今後の需要に合わせた拡大は見込めない状況にあります。

反対に、増加する民間の空き家や空き室を活用するべく2017年に開始されたのが「住宅セーフティネット制度」です。

住宅セーフティネット制度は主に以下の３つを柱として成り立っています。

1. セーフティネット住宅の登録制度
2. 住宅確保要配慮者への居住支援
3. セーフティネット登録住宅の改修費の補助と入居者への経済的支援

順番に解説します。

①セーフティネット住宅の登録制度

賃貸住宅を住宅確保要配慮者の入居を拒まない住宅として貸したい場合には、都道府県などに賃貸住宅を登録できます。

登録された住宅の情報は、住宅確保要配慮者に提供され、居住希望者に繋がるという制度です。

②住宅確保要配慮者への居住支援

住宅確保要配慮者に対する居住支援活動の推進も重要な役割を果たします。

賃貸住宅への入居の相談や情報提供、見守りなどの生活支援、さらには家賃債務保証などの業務を担う「居住支援法人」として都道府県の指定を受けることができます。

③セーフティネット登録住宅の改修費の補助と入居者への経済的支援

セーフティネット登録にした住宅に必要と認められた改修工事には、改修費に対する補助制度があります。詳しくは各都道府県の募集スケジュールや募集方法を参照してください。

セーフティネット住宅の登録手順

住宅確保要配慮者の居住を拒まない住宅として登録するには申請が必要となります。

手順は難しくないので順番に説明していきます。

住宅安定への一歩: セーフティネット住宅の利用方法

日々の不安を解消し、安心して暮らしていくためにはセーフティネット登録住宅を活用していきましょう。

入居の相談や紹介、見守りなどの生活支援などの問い合わせは、居住支援法人、または居住支援協議会が対応していますので、1人で悩みを抱え込まずにまずは気軽に相談してみましょう。

まとめ

住宅セーフティネット制度は、住宅確保要配慮者が安心して自分らしい生活を営むために不可欠な制度です。

今後もさまざまな角度から適切な支援が提供されることで、社会から孤立してしまうのを防ぎ、心身共に健康へのサポートを目指しています。

住宅を貸す側も、借りる側も安心して生活できる未来をつくるために、制度を上手く活用していきましょう。