高齢者は爪切りできない?4つの原因と安全に爪を切る方法を紹介

「高齢者は爪切りができないの?」

「高齢者が安全に爪を切る方法は?」

上記のように、高齢者の爪切りについて悩んでいる方も多いでしょう。

高齢者は、視力・筋力・柔軟性の低下などが原因で爪切りができないケースが多いです。

本記事では、高齢者が爪切りできない原因について詳しく解説していきます。

爪を切らないままでいることの問題点や安全に爪切りをする方法まで詳しく解説していくので、ぜひ参考にしてください。

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目次

高齢者が爪切りできない4つの原因

高齢者が爪切りできない原因は、以下の4つです。

  • 視力の低下で見えにくい
  • 握力の低下や関節痛で爪切りが握れない
  • 柔軟性の低下で足の指先に手が届かない
  • 肥厚爪や巻き爪など爪自体の変形

それぞれの理由を詳しく解説していくので、ぜひ参考にしてください。

爪切りできない原因を理解すれば、適切な対処方法を見つける際にも役立ちます。

どの原因に当てはまるかを確認してみましょう。

視力の低下で見えにくい

高齢者が爪切りできない原因の1つ目は、視力の低下で見えにくいという点です。

加齢による老眼が進行すると、近くのピントが合いづらくなるため、爪と皮膚の境目が分かりづらくなります。

さらに、白内障を患っている高齢者の場合は、視界全体がかすんだり、光が眩しく感じたりしやすいため、より爪切りが難しくなります。

爪と皮膚の境目が分からない状態で爪切りをすると、誤って皮膚を切ってしまうリスクが高いです。

「怪我をしてしまうかもしれない」という恐怖感から、高齢者が爪切りを後回しにしている可能性も考えられます。

握力の低下や関節痛で爪切りが握れない

高齢者が爪切りできない原因の2つ目は、握力の低下や関節痛が問題になっている可能性があります。

高齢者以外が使用するような一般的な爪切りでは、しっかりと爪切りを支える力や爪を切るための握力が必要になります。

しかし、高齢者は筋力が低下しているため、爪切りを使えないケースも少なくありません。

また、関節リウマチや変形性関節症などで指の関節に問題がある場合は、硬い爪を切る際の衝撃で痛みを感じやすいです。

意識が痛みに向くことで繊細なコントロールが難しくなり、爪の角が残ったり切り口が乱れたりするケースも多くあります。

柔軟性の低下で足の指先に手が届かない

高齢者が爪切りできない原因の3つ目は、柔軟性の低下で脚の指先に手が届かないケースです。

柔軟性が低下したり、股関節や腰が硬くなったりしている場合は、前かがみの姿勢を維持しづらくなります。

そのため、手の爪切りは問題なく行える場合でも、足の爪切りは高齢者にとって難易度が高いです。

また、特にお腹周りがふくよかな高齢者は、前かがみの体制になると腹部が圧迫されやすいです。

腹部が圧迫された状態では、足の爪切りができません。

特に男性の高齢者は、歳を重ねるごとにメタボリックシンドロームの該当者が増えるため、爪切りができずに悩んでいる方も多いと考えられます。

実際に健康保険組合連合会の調査によると、各年代でメタボリックシンドロームに該当している方の割合は、以下の表のようになっています。

55~59歳60~64歳65~69歳70~74歳
男性25.9%29.0%31.2%31.8%
女性7.0%8.7%10.5%12.2%
引用:令和4年度 特定健診受診者(40-74 歳)のメタボリックシンドロームに関する調査

肥厚爪や巻き爪など爪自体の変形

高齢者が爪切りできない原因の4つ目は、肥厚爪(ひこうそう)や巻き爪などの爪自体の変形によるものです。

視力・筋力・柔軟性などの身体機能だけではなく、爪自体の問題も爪切りができない原因です。

例えば、爪が水分を保持できなくなり、乾燥して分厚く硬くなる「肥厚爪」や、爪が内側に反り返る「巻き爪」などの症状が多くなります。

軽度な巻き爪であれば高齢者でも問題なく切れる場合が多いですが、重度になると痛みを伴うケースもあるため、爪切りができない原因になります。

また、肥厚爪のように分厚くなっている場合は、市販の爪切りでは皮膚と爪の間に入りきらないことも少なくありません。

もし爪と皮膚の間に入ったとしても、爪が硬すぎて爪切りできない可能性もあります。

高齢者が爪切りできないとどうなる?

高齢者が爪切りできない場合は、以下のような問題に発展するリスクが考えられます。

  • 巻き爪や肥厚爪が悪化し痛みを伴う
  • 爪が皮膚を傷つけて感染症の原因になる
  • 転倒リスクが高まり歩行困難につながる
  • 靴が履けなくなり外出の機会が減る

「爪を切らなくても大丈夫」「少しぐらい伸びていても問題ない」と軽く考えている方も多いでしょう。

しかし、上記のようにさまざまなリスクがあり、高齢者にとって爪切りができないことは大きな問題です。

それぞれの問題点を詳しく解説していくので、爪切りができないまま放置するリスクをしっかりと理解しておきましょう。

巻き爪や肥厚爪が悪化し痛みを伴う

高齢者が爪切りをできない場合、巻き爪や肥厚爪が悪化して痛みを伴う可能性があります。

角に伸びた爪は、靴下や靴を履いた時に圧迫感を与えます。

圧迫された状態で長く過ごしていると、行き場のなくなった爪が皮膚に食い込むように変形して「巻き爪」になるケースも多いです。

一度爪が変形すると、歩くだけで爪が皮膚に食い込んで強い痛みを引き起こします。

また、痛みを感じる部位をかばおうとすると、姿勢が崩れて膝や腰の負担が増加します。

特に高齢者の場合は、爪が乾燥していて脆いため、変形によって爪が割れるリスクも高いです。

割れた爪によって、さらに痛みを強めるという悪循環に陥るケースも多いため、注意が必要です。

爪が皮膚を傷つけて感染症の原因になる

高齢者が爪切りをできない場合、爪が皮膚を傷つけて感染症にかかる可能性があります。

歳を取るにつれて、皮膚はより薄くなり、身体の免疫機能も低下していきます。

伸びすぎたり、変形したりしている爪は、隣の指や足の甲などを皮膚を傷つけるリスクが高いです。

爪によって傷つけられた皮膚から細菌が入ると、高齢者が感染症にかかる可能性があります。

免疫力が大きく低下している高齢者は、小さな傷からでも細菌に感染しやすいとされています。

足全体が赤く腫れる「蜂窩織炎(ほうかしきえん)」や、指先が化膿する「ひょう疽(そ)」などに発展するケースも多いです。

特に糖尿病に罹患している高齢者は、傷の治りが遅くなり壊死につながることも少なくありません。

高齢者にとってリスクの高い傷を作らないためにも、爪切りできない状態を放置するのを避ける必要があります。

転倒リスクが高まり歩行困難につながる

高齢者が爪切りをできない場合、転倒リスクが高まり歩行困難につながることも少なくありません。

普段何気なく歩いている方も多いですが、実は歩く際に足の指先で地面を踏ん張ることでバランスを保っています。

このとき、爪が指先の肉を上から押さえて支える役割を担っており、地面を蹴り出す力を伝えています。

しかし、高齢者が爪切りできないまま放置し、爪が変形してしまうと支える機能を十分に発揮できません。

結果として、足が上がりづらい「すり足歩行」になったり、重心が不安定になったりして、小さな段差でもつまづきやすくなります。

高齢者の転倒は、骨折や寝たきりになるリスクを高めるため注意が必要です。

靴が履けなくなり外出の機会が減る

高齢者が爪切りをできない場合、靴が履けなくなり外出の機会が減る可能性があります。

肥厚爪が悪化して、爪が分厚くなったり変形して大きく盛り上がったりすると、今まで履けていた靴が履けなくなるケースも少なくありません。

靴が履けないからといって、サンダルなどを履く方も多いです。

しかし、サンダルは脱げやすく歩行が不安定になりがちです。

爪切りができないことが原因で履ける靴が少なくなると、ちょっとした外出も億劫になってしまいます。

外出頻度が減り家に閉じこもりがちになると、身体機能や認知機能の低下にもつながります。

高齢者の外出が減ったり、引きこもったりする問題点については、以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。

高齢者が爪切りを安全に行う方法

高齢者が爪切りを安全に行うためにも、身体機能に合わせて工夫するのが重要です。

高齢者が爪切りを安全に行う方法として、以下の3つを紹介します。

  • 高齢者向け・介護用爪切りを選ぶ
  • お風呂上がりなど爪が柔らかいタイミングで行う
  • 家族やヘルパーに依頼する際の注意点

それぞれの方法を詳しく解説していくので、しっかり確認しておきましょう。

高齢者向け・介護用爪切りを選ぶ

高齢者は若いころに比べて身体機能が低下しているため、自身の状態に応じた高齢者向け・介護用の爪切りを選ぶのがおすすめです。

一般的なクリッパー型と言われる爪切りは、硬い爪を切る際に強い力が必要になります。

誤って力を入れすぎると、爪が割れて皮膚を傷つける恐れがあります。

そのため、爪切りができない高齢者には、ニッパー型の爪切りがおすすめです。

クリッパー型よりも握りやすく、軽い力で爪を切れるため、負担が少ないです。

また、視力が低下した高齢者は「ルーペ付き爪切り」を検討してみましょう。

手元が大きく見えるため、深爪のリスクを軽減できます。

お風呂上がりなど爪が柔らかいタイミングで行う

お風呂上りは爪が柔らかくなっているため、身体機能が低下した高齢者でも簡単に爪を切れます。

多くの場合、高齢者の爪は水分が不足して硬くなっています。

乾燥して硬くなった爪を無理に切ろうとすると、切った時の衝撃で爪にひびが入ったり割れたりする可能性が高いです。

しかし、入浴後であれば爪が適度に水分を含んでいるため、力のない高齢者でも切りやすいです。

もし入浴が難しい場合は、洗面器にお湯を入れて足湯をしたり、蒸しタオルで足を温めたりしてみましょう。

高齢者の入浴時の注意点について解説した以下の記事も参考にしてください。

家族やヘルパーに依頼する際の注意点

高齢者が自分で爪切りをできない場合は、家族やヘルパーに頼る方法もあります。

しかし、高齢者は「皮膚を切られるのではないか」と恐怖心を抱きやすいです。

そのため、いきなり爪を切ろうとするのではなく、足をマッサージするなどしてリラックスしてもらうのがおすすめです。

また、一度に大きく切るのではなく、少しずつ爪を切るようにしましょう。

指の肉を抑えて爪と皮膚の間が分かりやすいようにして、爪の白い部分を1mmほど残すようにします。

「痛くない?」「もう少し切ろうか?」などこまめに声をかけて、相手の反応を見ながら進めましょう。

高齢者が自分で爪切りできない場合は専門サービスで相談

「自分だけでは爪切りができない」と感じた場合は、無理をせずに専門サービスを利用するのがおすすめです。

もし無理に爪切りをして、出血・化膿・爪水虫の疑いがある場合は、皮膚科や形成外科などの医療機関を受診しましょう。

保険適用で適切な処置を受けられるため、爪に関するトラブルが気になったら迷わず相談してください。

また、介護認定を受けている高齢者であれば、訪問介護やデイサービスで爪切りを依頼できるケースもあります。

訪問介護やデイサービスを利用している方は、ケアマネージャーや施設の担当者に相談してみましょう。

まとめ

本記事では、高齢者が爪切りをできない原因について詳しく解説しました。

視力・筋力・柔軟性などの身体機能の低下や、肥厚爪や巻き爪のようなトラブルが原因で爪切りをできないケースが多いです。

爪切りができないまま放置していると、転倒リスクが高まったり、外出頻度が減ったりするなどの問題に発展するリスクがあります。

記事内で紹介した「高齢者が爪切りを安全に行う方法」を参考にしながら、トラブルを未然に防ぎましょう。

また、どうしても爪切りができないという場合は、専門サービスに相談してみるのもおすすめです。

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この記事を書いた人

電球型高齢者見守りサービス「ハローライト」の開発・販売を行っています。見守りサービスに関する基礎知識からサービスの選び方までわかりやすく解説。自社サービスに偏ることなく中立な立場から記事を執筆いたします。

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