高齢化社会に対応する不動産会社の見守りサービスについて解説

従来は孤独死という問題があるために敬遠されてきた高齢者の賃貸入居ですが、高齢化社会が進み、空室率の増加に伴い無視できなくなりました。

不動産会社も高齢者が入居できるよう見守りサービスを導入してきています。今回は不動産会社の見守りサービスの現状などについて解説していきましょう。

高齢化社会が不動産賃貸市場に与える影響

2025年から超高齢化社会を迎えるにあたり不動産の賃貸市場にも大きな影響が起こりつつあり、不動産会社もこれまでとは違った見守り守りサービスが必要になってきています。最初に賃貸市場への影響について詳しくみていきましょう。

借り手のメインである65歳未満の減少

従来の賃貸市場で需要があった借手は65歳未満の現役世代でした。

高齢化世代は孤独死の問題などもあり、多くの貸主は敬遠する傾向にあったからです。

しかし人口のピークが過ぎて、人口が減少にするのに対して高齢化率は右肩上がりという予想を見ると見た際に、従来の65歳未満が減少し、市場が狭まってきていることが分かります。

空室が増加している

人口が上昇をしていた時期と比べて空室率が上昇してきています。2018年現在での空室数は846万戸あるとされ、全体における空室率は13.6%という状況ですとなっています。

この傾向はこれから増えていくと予想され、従来のような現役世代だけを入居対象とすることだけでは市場が確実に小さくなっています。

賃貸人は高齢者に対して8割が拒む理由

このように賃貸の市場を考えると、現役世代に加えて65歳以上の高齢者の受け入れが重要なのは間違いありません。しかし、8割もの貸主は高齢者を拒んでいるという現状があります。

その理由は孤独死の懸念で、突然の死によって原状復帰などの費用が掛かり手続きが面倒であること、事故物件になることへの警戒感があります。

不動産会社が孤独死対策に有効な見守りサービスとは

高齢者が入居できるような環境づくりは不動産会社が市場を維持していく上でも重要になってきています。

高齢者が孤独死をしない方法として有効なのが見守りサービスです。ここでは不動産会社が考えている見守りサービスをみていきましょう。

接触型見守りサービス

接触型見守りサービスとは、非常ボタンに接触することで見守りの対象者が直接機器を操作する方法です。具体的には押しボタン式通報装置や緊急通報付ペンダントが考えられます。セキュリティ会社により開発されたもので、対象者が異常時にボタンを押せばすことで、駆け付けてくれるサービスです。ただし対象者が自分で押す推す必要があるため、単独では無く監視カメラとセットで対応します。

非接触型見守りサービス

非接触型見守りサービスは、対象者のが押さずに異変を感知する見守りサービスです。具体的には電気やガスのスマートメーターから感知できるようになっており、通常の生活パターンとは違う状態が発生した場合にて異常を検知します。異常があればわかれば、電話やメールで設定した人に連絡が行きます。24時間監視できるメリットがありますが、デメリットとして初期費用が高いことがあげられます。

対面型見守りサービス

対面型見守りサービスは、人の手により見守りを行う方法です。定期的に対象となる人の前に巡回あるいは電話にて連絡を行って安否を確認します。また最近ではテレビ電話を活用するようになってきていることから、ただ声を聴くだけでなく対象となる人の表情などが画面を通じてわかるため、少しでも異変があれば駆け付けられるようになっています。ただし、人が動くために人件費等の費用が掛かるのと、訪問や電話のタイミングが限られているというデメリットがあります。

不動産会社が緊急時の対応

高齢者の入居を促進することで利益を上げる必要があるため、不動産会社が見守りなどを行い緊急事態に対応したサービスについて貸主に提案することが増えてきました。具体的には次のような内容です。

監視カメラ・センサーの導入で早期発見

センサーや監視カメラは24時間、対象者となる人の状況が確認でき、早期発見につながるので最悪の事態に対応できます。また、費用は比較的思ったよりも安価なため、あらかじめ導入しておけば、安心して高齢者を入居させられます。

訪問介護で孤立を防ぐ

孤立を防ぐためには訪問介護は重要hな方法ですが、前の項目でも書いた通り、人件費がかかりやすいという点がデメリットですがあります。そこで訪問型と非接触型を併用するという方法で、訪問頻度を下げて費用を抑える、。あるいは介護サービスの利用頻度とを組み合わせることで、訪問の見守りが週1一程度度で済みます済ませられることも可能です。

緊急時に動けない時に接触型は有効

管理会社や入居者の家族、あるいは貸主がどうしても緊急時に駆け付けられない場合を想定しておくことも重要です。その場合は併用策として接触型の見守りサービスを導入すると、感知を受けたセキュリティ会社が対応するため有効です。

高齢者のプライドと受け入れやすさを考える

見守りサービスを導入する際に最も注意しないといけないのは対象者となる高齢者のプライドを傷つけないことです。監視されていることや高齢者扱いされることを嫌う人もいますし、そもそもボタン操作が覚えられないという人もいます。そこで複数の選択肢を用意することで、対象者が受け入れられやすくする方法を考えることも重要です。

不動産会社による見守りサービス付き高齢者入居の実例

不動産会社の実際に行っているサービスの一例を紹介しましょう。これは高齢者が入居する際に気になる安否確認と死亡時の費用補償がセットになった見守りサービスとなっており、次の特徴があります。

安否確認のための見守り

安否確認については週2回の電話により行われます。音声ガイダンスによる電話で、ボタンを1度押すだけで対応できるので対象者の負担にはなりません。ボタンが押されれば指定された連絡先に結果がメールにて通知されます。

孤独死が起きた際の費用補償

対象者が死亡した場合の費用補償がついています。支払い対象は孤独死もしくは自殺、犯罪死が含まれており、発生した際に必要な原状回復費用と遺品整理費用です。補償限度額は支払い対象金額の実費分に対して100万円までとなっています。

利用条件について

上記サービスが申し込める対象者は生活保護者を含めたあらゆる人となっており、年齢制限もありません。ただし利用対象には以下のような条件が付いています。

• 単身で住んでいる
• 電話機を持っている（ダイヤル式やボタン操作の無いキッズケータイは不可）
• メール（SMS）受信者を1名以上確保（親族以外も可能）
• 電話対応に同意すること
• 老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅での利用は不可

65歳未満がお断りという不動産会社も登場

従来であれば65歳以上の高齢者を敬遠していた不動産業界にも異変が起こってきています。驚いたことに65歳未満を断るという逆の発想の不動産会社があります。高齢化社会が進む中で高齢者が物件が見つからずに困っている姿を見た社長が人脈を広げて起業した会社です。若い人の条件と高齢者との条件が違うのに加え、高齢者は長期間住む傾向があることから空室率の低下につながりました。そして見守りサービスを導入することで貸主が最も避けたい避ける孤独死への対策対応も行っており、不動産業界の新たな動きとして注目を集めています。

不動産会社の見守りまとめ

高齢化社会という流れの元、賃貸住宅の空室率を下げるためには高齢者の入居を不動産会社が促進する必要があります。そして貸主が安心して高齢者に物件を貸し出せるために必要なのが見守りサービスです。日ごろの見守りや死亡後の保証を付けることで貸主が安心して高齢者に入居させられる流れは、今後ますます重要性を持つことになるでしょう。