高齢者の一人暮らしを支援する自治体の見守りサービスを紹介

現代では3人に1人が高齢者といわれており、高齢化の進行にともない、高齢者の一人暮らしが増加しています。
高齢の一人暮らしに限界を感じ、見守りサービスの導入を検討している人も多いでしょう。

見守りサービスの種類はさまざまですが、実は自治体でも一人暮らしの高齢者を見守るための取り組みを行っています。

本記事では、高齢者の一人暮らしを支援する自治体の見守りサービスを紹介します。
事例やサービスの活用法もお伝えしますので、自治体のサービスが気になる人は、ぜひご一読ください。

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高齢者の一人暮らしに潜む危険

高齢者の一人暮らしには、以下のような問題点があげられます。

孤独死が起きやすくなる
病気やけが・認知症発症時に発見が遅れる
社会的な孤立を感じる
生活意欲が低下する
犯罪に巻き込まれる可能性がある

一人で暮らしていると、病気やけがなどの発見が遅れます。
発見が遅れることで症状の悪化や、最悪の場合、孤独死につながる恐れがあるでしょう。

また、社会的な孤独を感じやすい問題もあります。
家族や話し相手がいれば社会的なつながりを感じられますが、一人暮らしでは社会とのつながりも薄れがちです。

社会的なつながりを感じられないと生活意欲が低下し、健康を悪化させる可能性もあるでしょう。

上記のように、高齢者の一人暮らしには多くの危険が潜んでいるため、適切な対応を取ることが大切になります。

高齢者の一人暮らしが限界か見極めるポイント

高齢者の一人暮らしが限界か見極めるポイントは、以下を参考にしてください。

心身の不調を感じる
持病が悪化する
大きな病気やけがをする
認知症を発症する
孤独を感じる

限界のラインは人によって異なりますが、上記のいずれかに該当したら対策を検討したほうがよいでしょう。

とくに、病気やけが、認知症の発症は、そのままにしておくと状況が悪化する恐れがありますので、早急な対応が必要です。

自治体を活用することで高齢者の安否確認が可能に

自治体では高齢者の安否確認を行うためのさまざまなサービスが提供されています。以下はその一部です。

配食サービス
乳酸菌飲料配達サービス
緊急通報装置の貸与
地域の見守り活動

高齢者の見守りに関するサービスは、現代社会において非常に重要な役割を果たしています。高齢者が自宅で自立した生活を送ることを支援し、その安全を確保する手段を提供します。

配達時の安否確認サービスは、日常の配達業務を通じて高齢者の安否を確認するものです。配達員が商品を届ける際に、高齢者の様子を見て異常がないかを確認します。これにより、日常的に高齢者の安否を確認することができ、何か問題があった場合にはすぐに対応することが可能となります。

一方、緊急ボタンを押すことで自動的に受信センターに通報される装置は、高齢者が自身で緊急事態を報告することができるシステムです。この装置は、通常はペンダントやブレスレットの形をしており、高齢者がいつでも緊急ボタンを押すことができます。ボタンが押されると、自動的に受信センターに通報が行われ、必要に応じて救急サービスや家族に連絡が取れます。

また、高齢者の住宅に導入される監視システムは、高齢者の日々の活動を追跡し、得られた情報を家族や地域社会、自治体のスタッフと共有します。これにより、高齢者の健康状態や生活習慣についての詳細な情報を得ることができ、異常が発生した場合には速やかに対応することが可能となります。

これらのサービスは、高齢者の安全と健康をサポートするための重要なツールであり、それぞれが異なるニーズに対応しています。適切に活用することで、高齢者が安心して自宅で生活を続けることができ、家族や介護職員もその安全を確保することができます。

自治体の高齢者見守りサービス実施率は？

高齢者の見守りサービスは、自治体によって様々な形で実施されています。具体的な実施率については、各自治体の状況や取り組みにより異なりますが、以下にいくつかの事例と傾向をご紹介します。

認知症施策・地域介護推進課実施状況調べ（令和4年4月1日現在）

見守りネットワークの連携の実施	都道府県では43カ所
認知症高齢者の見守り事業の実施	市区町村単位では全体の93%（1,658カ所）
見守りに関するネットワークを構築	市区町村単位では全体の86%（1,429カ所）

（参考：全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議資料｜厚生労働省認知症施策・地域介護推進課）

地域の見守り事業として積極的に進められているのが、地域社会において配達や訪問事業、24時間の店舗営業などを行う民間企業と自治体が結ぶ見守り協定の締結です。民間企業が日常業務において、高齢者の何らかの異変に気付いた場合に自治体に連絡して連携するという形です。

見守り活動の担い手不足の一方で、見守り活動の担い手不足が問題となっています。地方公共団体では、地域住民や関係機関との連携・協力、デジタルツールの活用等により見守り活動を実施しており、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、訪問を電話・はがきに切り替えて見守り活動を継続するなど、創意工夫して取り組んでいる状況が見られます。

以上のように、自治体の高齢者見守りサービスの実施率は、その自治体の状況や取り組み、地域の特性などにより大きく異なります。また、見守りサービスの形態も多様で、人と人とのコミュニケーションに基づくものから、ICTを活用したものまで様々です。これらの情報を参考に、具体的な実施率を知りたい場合は、具体的な地域や自治体について調査することをおすすめします。

自治体による一人暮らしの高齢者見守りサービスと事例

高齢化の進行による見守り重要性の増加にともない、各自治体でも一人暮らしの高齢者に対する見守り活動を行っています。

ここでは、自治体による一人暮らしの高齢者見守りサービス事例を6つ紹介します。

訪問による見守り
デジタルツールによる見守り
サロンを通じた見守り
電話・はがき等による見守り
民間事業者との連携による見守り
支援金等による見守り

訪問による見守り

一人で暮らす高齢者の自宅に、民生委員や社会福祉協議会の職員が訪問し、見守りを行うサービスです。

職員が直接安否を確認するため、異変に気づきやすく、すぐに対応できるメリットがあります。
職員との会話によって孤独感を和らげられることも嬉しいポイントです。

また、民間事業所と連携し、訪問で異変に気づいた際に自治体に連絡する活動も行っています。

福岡県福智町では、民生委員、地域住民等が役割分担・連携しながら見守り活動を実施しています。

デジタルツールによる見守り

高齢者が自宅の電話からダイヤルボタンで発信することで、社会福祉協議会等のみまもりセンターが健康状態を確認します。
毎日健康状態を確認できるため、見守る家族にとっても安心です。

また、民生委員等の協力者に発信状況をメールで知らせることもでき、必要に応じて訪問を依頼する体制も整っています。

岩手県の社会福祉協議会では、高齢者が電話から健康状態を伝え、協力者が安否確認を行う見守り活動をしています。

サロンを通じた見守り

地域のサロン活動を通じて住民同士の交流を図り、見守りにつなげている自治体もあります。
サロン活動の運営は、地域住民や社会福祉協議会、地元の学生が中心となり、体力診断やレクリエーションを行っています。

サロン活動に参加することで、孤立しがちな高齢者も社会的つながりを感じられるでしょう。
また、定期的な交流を通じて、高齢者が互いに見守る効果も生まれています。

北海道厚沢部町では、学生参加によるサロンを通じた見守り活動を実施しています。

電話・はがき等による見守り

電話連絡やはがきの郵送などにより、安否や健康状態の確認を行う見守りサービスです。
訪問よりも頻度が多く、日常的に安否を確認できるメリットがあります。

訪問や見守られていることが嫌だと感じる高齢者にとっては、抵抗感少なく利用できるでしょう。
ただし、本人が連絡を忘れていた場合は、見守りが行えなくなるため注意が必要です。

東北地方の公営住宅では、入居者がマグネットを貼ることで安否確認を行う見守りサービスを実施しています。

民間事業者との連携による見守り

自治体が民間企業や民間ボランティアといった民間事業者と連携して見守りを行うケースもあります。

民間事業者が提供する宅食サービスや訪問サービスを利用し、日頃の訪問で気づいた異変を自治体に連絡するものです。

自治体と民間企業が協力することで、地域全体でのサービス拡充が期待できます。
最近では、ふるさと納税を活用した見守りサービスも出てきているようです。

千葉県船橋市では、協定締結事業者に対し、業務中のどんな小さな異変であっても迷わず市まで連絡するように要請し、見守りを強化しています。

支援金等による見守り

一人暮らしの高齢者本人に支援金を支給している事例はありませんが、見守りサービス拡充を支援するために、事業者に補助金を交付するケースはあります。

たとえば、新型コロナ感染拡大にともなう事業者の新たな取り組みを把握し、自治体が費用の一部を支援金として負担するものです。

広島県では、民生委員の訪問活動を補完する電話やパンフレット作成等にかかる経費に対し、補助金を交付していました。

自治体による一人暮らしの高齢者見守りサービス活用方法

上記では、自治体による一人暮らしの高齢者見守りサービスをお伝えしました。
ここでは、そんな自治体による見守りサービスを上手に活用する方法を3つ紹介します。

サロンに参加する
ボランティア活動に参加する
介護保険サービスを利用する

サロンに参加する

サロンに参加することで、同じ趣味をもつ仲間や話し相手が見つかります。
社会とのつながりが希薄になりがちな高齢者であっても、生きがいや楽しみを見いだせるようになるでしょう。
また、周囲から異変にも気づいてもらいやすくなるため、おすすめです。

ボランティア活動に参加する

ボランティア活動に参加すると、社会へ貢献している実感が持ちやすいです。
社会と交流や貢献を感じることは、生きがいや喜びにつながります。

公共施設の清掃や募金活動など、自治体ごとにさまざまなボランティアが行われています。
自治体に問い合わせ、できることから参加してみるとよいでしょう。

介護保険サービスを利用する

一人暮らしの生活に不安がある人は、介護保険サービスを利用するのも手段です。
介護保険サービスを利用すれば、訪問介護やデイサービスといったサポートが受けられます。
食事や入浴、排泄といった日常的な介助が受けられるのは大きなメリットです。

ただし、サービスを利用するためには、要介護認定を受ける必要があります。
気になる場合は、自治体や地域包括支援センターに連絡してみましょう。

実際の自治体による高齢者見守りサービス事例

日本各県で提供されている一人暮らしの高齢者向け見守りサービスには、様々なタイプがあります。ここでは実際の自治体による高齢者見守りサービス事例を紹介します。

北海道亀田郡七飯町

行政と地域が協力して、IT技術を組み込んだ見守りシステム「いまイルモ」を高齢者の自宅に設置し、日常の行動や状況をモニタリングする取り組みがあります。このシステムは、データを家族や近隣住民、自治体の職員で共有し、生活習慣の見直しや病気予防にも役立っています。

岐阜県飛騨市

週に2回、往復はがきを配信する「元気確認ポストカード事業」を実施しています。75歳以上の高齢者が対象で、郵便局員が直接高齢者本人にはがきを手渡すことで安否を確認している方法です。

東京都世田谷区

区民主体のまちづくりや地域活動団体・NPO・事業者等との協働を推進し、住民主体の地域活動が活発に行われています。また、高齢者安心コールや成年後見制度の推進、訪問介護医療連携推進協議会による福祉と医療の連携の推進など、高齢者の社会参加の場や機会づくり、応援を行う「せたがや生涯現役ネットワーク」を作っています。

これらの事例は、高齢者が安心して一人暮らしを続けられるように支援するためのもので、地域社会の協力によって成り立っています。各自治体のウェブサイトで更に詳細な情報を得ることができますので、ご興味があれば是非ご覧ください。

自治体以外の一人暮らしの高齢者見守りサービス

ここまで、自治体による一人暮らしの高齢者見守りサービスを紹介しました。

自治体の見守りサービスは国が提供するものですが、見守りサービスには民間事業者が提供するものも数多く存在します。

自治体以外で一人暮らしの高齢者を見守るサービスには、以下の種類があります。

種類	特徴
センサー（電球）タイプ	電球スイッチのオン・オフで安否確認を行う
センサー・カメラタイプ	自宅にカメラや人感センサーを設置して安否確認を行う
アプリタイプ	アプリを使って安否確認を行う
通報・駆けつけタイプ	緊急時に警備員が駆けつけて安否確認を行う
訪問・宅食タイプ	定期的な訪問や食事の提供時に安否確認を行う
介護タイプ	介護スタッフの定期訪問により安否確認を行う
電話タイプ	電話やメールのやり取りで安否確認を行う