親を施設に入れるのは可哀想？感情の理由や気持ちを和らげる方法を解説

「親を施設に入れるのは可哀想…」

「可哀想だと思う理由が気になる！」

「可哀想という気持ちを和らげたい！」

上記のように、親を施設に入れることに対して可哀想だと感じる気持ちに悩んでいる方も多いでしょう。

見捨てたという罪悪感・周囲からの批判・共に過ごす時間の減少などの理由で、可哀想という感情を抱いてしまいがちです。

本記事では、親を施設に入れるのは可哀想だと感じる理由や、その気持ちを和らげる方法などについて詳しく解説していきます。

親を施設に入れるメリットについても解説しているので、罪悪感を和らげたい方はぜひ参考にしてください。

また、すでに親を施設に入れて後悔している方は、以下の記事も参考にしてみましょう。

親を施設に入れるのは可哀想と感じる理由

親を施設に入れるのは可哀想だと感じる理由は、以下の3つです。

• 親を見捨ててしまったのではと思う罪悪感
• 周囲や親族からの批判を気にしてしまう
• 一緒に過ごす時間が減ることへの不安

それぞれの理由を詳しく解説していくので、ぜひ参考にしてください。

親を施設に入れるのは可哀想だと感じる理由を理解しておけば、気持ちを整理できるため、自分の感情を上手く受け入れられるようになります。

親を見捨ててしまったのではと思う罪悪感

親を施設に入れるのは可哀想と感じる理由の1つ目は、親を見捨ててしまったのではと思う罪悪感です。

特に日本の場合は、「親の面倒は子供が見るもの」という価値観が強く残っているため、介護を施設に任せることに抵抗を感じる方も多いです。

親を大切に思っているからこそ抱く感情であるため、過度に感情を否定する必要はありません。

厚生労働省の調査では、同居の介護者の約6割（60.8%）が「悩みやストレスがある」と回答しています（平成22年 国民生活基礎調査）。

さらに近年の統計でも、要介護度が上がるほど介護時間が「ほとんど終日」に及ぶ傾向があり、要介護4で45.8%、要介護5で56.7%です（令和5年版 高齢社会白書）。

無理をして親の世話を続けると、介護者の健康を損ねて、結果的に親の生活に悪影響を及ぼす可能性もあります。

親を施設に入れるのは可哀想と思うのではなく、介護者と親の両方の生活を充実させるための選択だと考えるのがおすすめです。

周囲や親族からの批判を気にしてしまう

親を施設に入れるのは可哀想と感じる理由の2つ目は、周囲や親族からの批判を気にしてしまう点です。

介護の在り方については、家庭や地域によって考え方が異なる場合もあり、「最期まで自宅で看るべき」という価値観を持つ方も多いです。

そのため、親を施設に入れる決断をした家族に対して、冷たい選択だという批判の声が上がる場合もあります。

批判の声は、介護する側の心を傷つけたり、施設に入所させる判断に迷いを生じさせたりする原因になるのです。

しかし、令和5年版の高齢社会白書によれば、介護施設等の定員が増加傾向にあり、特に有料老人ホームの定員が伸びていることが分かります。

この結果から、親を施設に入れることが一般的になり、老人ホームなどの介護施設を利用する方が増えていると言えます。

日本全体としては、親を施設に入れることが一般的になっているため、「可哀想」と過度に心配する必要はないでしょう。

一緒に過ごす時間が減ることへの不安

親を施設に入れるのは可哀想と感じる理由の3つ目は、一緒に過ごす時間が減ることへの不安です。

自宅で介護する場合に比べて、物理的に会う機会が減るため、親子の絆が薄れてしまうのではないかと不安を感じる方もいます。

特に同居していた場合は、毎日の何気ない会話や食事がなくなることで大きな喪失感を抱く可能性があります。

確かに距離は離れてしまいますが、親子の関係が希薄になるとは限りません。

介護の負担から解放されることで、親に会う際に「介護者」としてではなく「子供」として向き合えるようになります。

以前の親子関係に戻り、良好な関係を築けるケースも少なくありません。

また、利用者である親と家族のQOL（生活の質）を守る観点から、対面による面会の工夫やオンライン面会の活用などの運用が進められています。

親を施設に入れるのは本当に可哀想？施設はメリットが多い

親を施設に入れるのが可哀想だと感じている方は多いですが、実際は介護施設に預けるメリットも多くあります。

親を施設に入れるメリットは、以下の3つです。

• 24時間体制で安全が確保される安心感
• 専門のスタッフによる医療・介護サポート
• 同年代との交流で孤独感が軽減

それぞれのメリットを詳しく解説していきます。

メリットが多いと理解しておけば、親を施設に入れることに可哀想という感情を抱きづらくなるでしょう。

24時間体制で安全が確保される安心感

親を施設に入れるメリットの1つ目は、24時間体制で安全が確保される安心感です。

施設では、夜間を含む見守りや夜勤体制が整備されています。

そのため、夜中の点灯や体調の急な変化にもすぐに気づいて対応してもらえるのが大きな安心材料です。

自宅の場合は、家族が就寝中で親の体調変化に気付けないケースも少なくありません。

しかし、親を施設に入れた場合は、見守りや巡回によって早期に気付いてもらえます。

毎日を安心かつ安全に過ごせる施設に親を入れることは、可哀想ではなく両者に優しい選択であると言えます。

自宅でも親の安全を確保したい方は、高齢者の見守りサービスを検討してみるのも効果的です。

専門のスタッフによる医療・介護サポート

親を施設に入れるメリットの2つ目は、専門スタッフによる医療・介護サポートです。

施設には介護のプロが在籍しており、親の体の状態に合わせて適切なケアを行います。

特に以下のような、自宅の介護では難しい細かな部分まで任せられます。

• 薬の管理
• 清潔ケア
• 体位変換
• トイレや入浴のサポート

体調に変化がある場合も、看護職や医療機関と連携して対応してくれるため、不安を抱く必要はありません。

緊急かそうでないかをプロが判断するため、「病院に連れて行くべきか分からない」という不安から解放されます。

親を施設に入れるのは、万が一の際の適切な対応という観点でも大きなメリットがあるため、可哀想だと感じる必要はありません。

同年代との交流で孤独感が軽減

親を施設に入れるメリットの3つ目は、同年代との交流で孤独感が軽減する点です。

自宅での介護の場合は、家族が仕事や学校などで出かけている間に孤独を感じやすいです。

しかし、施設に入れば食事・レクリエーション・季節の行事などで自然に周囲とのつながりが生まれます。

また、自宅でひきこもりがちな場合は、人との会話が減って気分が沈みがちになります。

そこで親を施設に入れると「会話をする」という楽しみが生まれるため、生き生きと過ごせるようになる方が多いです。

施設に入り毎日の生活に刺激が加わると、認知機能の低下・認知症などの予防にもつながります。

孤独感を解消する方法は他にもあるため、以下の記事も参考にしてください。

また、高齢者の引きこもりの問題点についても気になる方は、こちらの記事も参考にしてみましょう。

親を施設に入れるのが可哀想だという気持ちを和らげる方法

親を施設に入れるメリットを解説しましたが、まだ可哀想だと感じている方も多いでしょう。

ここからは、さらに具体的に親を施設に入れるのが可哀想だという気持ちを和らげる方法として、以下の4つを紹介します。

• 事前に本人の意向を確認する
• 入所後も面会や電話でつながりを保つ
• 施設に入れるのは親を思いやることだと考え方を変える
• デイサービスやショートステイから段階的に慣れる

より具体的かつ実践的な方法を紹介しているので、親を施設に入れるのがかわいそうだと感じる方は参考にしてください。

事前に本人の意向を確認する

親を施設に入れるのが可哀想だという気持ちを和らげる方法の1つ目は、事前に本人の意向を確認することです。

まずは、雑談を兼ねて親が想像する理想の1日を一緒に考えてみましょう。

例として、以下のような質問が考えられます。

• 朝は何時に起きたい？
• お風呂は朝と夜どっちの方が楽？
• 外出は月にどれくらい？
• 部屋の明るさはどれくらいが良い？

親の要望をしっかりと把握したうえで、最適な施設を探すようにするのが大切です。

出てきた要望をすべて叶えるのが難しい場合は、優先順位を付けてリスト化しておきましょう。

また、「騒がしいレクリエーションは苦手」などのNG項目も確認するのがおすすめです。

親の意向を反映させた施設に入所することになれば、可哀想などの感情を抱きづらくなるでしょう。

入所後も面会や電話でつながりを保つ

親を施設に入れるのが可哀想だという気持ちを和らげる方法の2つ目は、入所後も面会や電話でつながりを保つことです。

距離ができても、会う計画を先に決めるだけで親の気持ちも落ち着きます。

例えば、「毎週水曜日の17:00から30分ほど面会する」「都合が合わない場合はオンライン面会をする」などを決めておくのがおすすめです。

また、親を施設に入れるのを可哀想と感じないためには、様子をチェックするだけではなく、楽しい用事を持ち込むようにしましょう。

昔の写真・季節の食べ物・好きな歌のプレイリストなど、話題を1つ用意しておくと楽しめます。

そのほか、施設の連絡ノートやアプリなどがあれば活用して、レクリエーションの様子を事前に把握しておけば、話題として役立ちます。

コミュニケーションの重要性やコツなども紹介しているので、以下の記事も参考にしてください。

施設に入れるのは親を思いやることだと考え方を変える

親を施設に入れるのが可哀想だという気持ちを和らげる方法の3つ目は、親を思いやることだと考え方を変えることです。

施設に入れることは、親を見捨てることとは異なります。

親を施設に入れるメリットでも解説したように、さまざまな利点があるため、引け目を感じる必要はありません。

親を施設に入れる捉え方を変えるだけで、気持ちが楽になるでしょう。

例えば、良い変化をメモしておくのがおすすめです。親を施設に入れてからの以下のような変化をメモに書き出してみましょう。

• 入所後に表情が良くなった
• 食事量が増えた
• 会話量が増えた
• 若々しく見えるようになった

デイサービスやショートステイから段階的に慣れる

親を施設に入れるのが可哀想だという気持ちを和らげる方法の4つ目は、デイサービスやショートステイから段階的に慣れる方法です。

まずは、デイサービスを利用して、送迎・昼食・入浴・レクリエーションなどを体験してみましょう。

また、職員の声掛けや他の利用者の雰囲気を確認するのもおすすめです。

次はショートステイで1～2泊程度から試して、夜間の見守りなども確認します。

デイサービスやショートステイを経て、施設に慣れるだけではなく、親と施設の相性を確かめておけば、後悔のない選択ができます。

親を施設に入れるのは可哀想ではない！ まとめ

本記事では、親を施設に入れるのは可哀想だと感じる理由やその気持ちを和らげる方法などについて解説しました。

「親を見捨てたと感じる」「一緒に過ごす時間が減る」などの理由から、親を施設に入れるのがかわいそうだと感じている方がいます。

しかし、実際には親を施設に入れることで、24時間の安全体制・専門スタッフのサポート・孤独感の解消などのメリットを得られます。

このように数々のメリットがあるため、親を施設に入れるのは可哀想なことではなく、両者を思いやれる良い選択であると言えるでしょう。