生活困窮者に対する見守り活動｜方法や注意点を解説

世の中には生活困窮者が一定数いて、多くの人は表に出ることなくひっそりと暮らしているために、孤立する傾向にあります。

そのため気づかないうちに病気やケガ、最悪孤独死の可能性が指摘されており、それを防止するために地域で見守りを行う必要があります。

今回は地域での見守りの方法や見守りでの注意点を解説していきましょう。

生活困窮者とは

最初に生活困窮者の定義について確認しましょう。生活困窮者とは以下のような人を指します。

• 離職後の再就職できずにひきこもる人
• 高齢の親と二人で暮らし地域から孤立した人
• 家族の介護で収入の低い仕事に映った人
• DVなどで子供で逃げたものの子どもが幼く就職が困難
• 家計が管理できずに借金の連鎖
• いじめなどで学校を中退したために社会復帰が困難

日本での2018年現在での相対的貧困率は15.4%とされ、6人に1人は相対的貧困者です。

生活困窮者のための見守り活動とは

日常生活での見守りとは、社会から孤立しつつある生活困窮者や認知症高齢者などに対して、地域とのつながりを強くするために、互いに見守る関係性を築くことを目的としてます。

地域の中での不安や困りごとを持っている人が孤立せずに、地域全体で支えあって生きていくことで、住み慣れた地域でだれもが安心して暮らせる町、心の通い合う福祉の町を目指なければなりません。

生活困窮者の発見とつなぐための見守り

日常生活を送る際に、少しでも周囲に気をかけ、気になる人がいたらさりげなく様子を見ます。そうすることにより近所の人の「変化」に気づきます。

変化には様々な理由がありますが、虐待や認知症、介護・育児疲れかもしれませんし、悪徳商法に騙されているかもしれません。日ごろの生活、食事や介護、洗濯などの日常生活への問題が考えられます。

そういった人を見つけた場合は、社会福祉協議会などに連絡し相談する「つなぐ」ことが必要です。

生活困窮者を安否確認するための見守り

見守りの目的は、安否確認です。特にひとり暮らしを送っている人は、近所付き合いが少ないので、仮に怪我や病気で助けが必要になっても、周りが築かずに、孤立化を深める恐れがあります。

そのためには声掛けが必要で、安否確認をすることで、ひとり暮らしの人とのつながりが生まれます。ただし、ひとり暮らしの中には、考えがあり、「関わりたくない」や「人の世話になるのは嫌だ」と思う人がいることを意識しましょう。

嫌がる相手に強引にかかわりを持たせてはいけません。そっと見守るという選択肢も必要です。

生活困窮者の変化・事故を予防するための見守り

大事なのは地域で見守りを継続することです。見守りを続けていくことで、変化を早急に発見できます。少しでも何か異変を感じたら専門家に相談することで、事故や孤独死などの最悪の事態を防げるでしょう。

このようにして予防することが大切ですが、それに加えて地域のつながりが強くなることで連帯感が強まります。連帯感が強まれば、災害時の助け合いができ、さらに犯罪を未然に防げ、地域にとっては良いことが増えるでしょう。

生活困窮者で見守りが必要な人とは

次に見守りが必要な人がどういう人か確認しましょう。

わかりやすいのは一人暮らしの高齢者や高齢者のみの世帯ですが、そのほかにも引きこもりや生活困窮世帯など、見守りを必要としている世帯は多く存在しています。

特に相談できる相手がいない場合は、自分で問題解決に励む人が多く、頑張り続けても、解決できずにさらに大きな問題につながるため注意が必要です。もし次のような方や家を見つけた場合は、見守るべき相手である可能性が高いでしょう。

• 家を訪問しても顔を見せない
• 老人クラブや町内会の行事に参加しない
• 最近姿を見かけなくなった
• 近所付き合いが無く家に閉じこもっている
• 窓やカーテンが閉ざされたままの家
• 福祉サービスが必要なのに利用していない人

生活困窮者の見守り活動の具体的な内容

ここからは見守りの方法やポイントについて確認しましょう。生活困窮者や高齢者などが近所にいる場合に見守る方法はいろいろあります。緩やかに、あるいは声掛けや訪問で見守ることで、相手の異変にいち早く気付くでしょう。

緩やかな見守り

緩やかな見守りは、声掛けや訪問ではなく日常を通じて目配りをすることです。例えば夕方にカーテンを閉めるとき、あるいは買い物などで外出する際に近所の様子を眺めます。毎日それを続けるだけでいつもとは様子の違う異変に気付きます。

• 夜になっても灯が付かない
• 洗濯物が数日干しっぱなし
• 新聞や郵便物がたまっている
• ゴミや異臭
• いつも見る人を数日見かけない
• 季節に遭わない服を着ている

もし、上のような特徴があれば、異変の可能性があるので関係各所に連絡を取りましょう。

声掛けや訪問による見守り

緩やかな見守りよりも、声掛けや訪問をすることで、異変への気づきがさらにわかりやすくなります。具体的には見守るべき相手がゴミを出したとき挨拶をする、あるいは実際に訪問して顔を見たり話しかけたりすることです。

訪問のタイミングは、回覧板を回すときや町内会などの活動の案内を持参して訪問するなどの方法が考えられます。

その際に家の中にごみが放置されていたり、相手の様子や顔色がいつもと違ったり、仮に訪問しても顔を見せてくれない場合は要注意なので、すぐに専門家に相談しましょう。

生活困窮者の見守り活動で留意すべき点とは

見守り活動を行う場合に、「何かあっては大変だから」ということで、見守る相手のことを考えずに一方的に行うのは控えましょう。相手の気持ちを考えずに行うと相手が余計に心を閉ざしてしまう恐れがあるからです。

プライバシーを配慮

見守り活動で最も大事なことはプライバシーへの配慮です。それぞれ人に知られなくない秘密があるので、仮に見守り活動で知った情報があっても、それを外部に漏らさないことが大切です。

相手との信頼関係を築くためにも重要でしょう。そのため相手を知るための情報収集も見守り活動に必要な範囲でとどめます。

個々を大切に広く受け止める心が必要

見守り活動によっては対象となる相手との関係が難しくて取りにくいことも多くあります。その時には焦ってはいけません。ゆっくりと時間をかけながら信頼関係を築くように関わりましょう。

ひとりひとりの話を聞くことも大切です。そして相手の生活や考え方を尊重できるような広い心をもって対応しましょう。

ひとりで悩まず地域で行う

見守り活動を行う際に、間違ってもひとりで全部行おうとは思わないようにしましょう。ひとりで行うと困難にぶつかった時にとても苦労します。

あくまで見守りは地域全体で行うものなので、見守りで少しでも戸惑うような困難があれば、自治体の関係部門に相談しひとりでは抱え込まないようにしましょう。

細く長くが活動の基本

見守り活動は、短期で成果が出る物はなく、そういう性質のものではありません。活動そのものは細くそして長く続けるものです。そのため「見守り」に無理は厳禁です。

無理のない範囲での見守りを続けながら対象となる相手と少しずつ信頼関係を築きましょう。地域のつながりをつくることへの重要性を地域全体で確認していきます。

同じ目線で礼儀を守った活動

見守り活動は、地域に暮らす住民同士の支え合うための取組です。そのため上下関係を思わせるような行動に出てはいけません。目線はあくまで同じ対等である必要があります。

「お互い様」という気持ちを持って活動し、相手に対する礼儀を持って活動しましょう。

生活困窮者のための見守り活動まとめ

様々な理由で生活困窮者になってしまう人がいて、それは日本では6人にひとりと言われています。多くの生活困窮者は、外部との接触を絶ってしまいがちなので、孤立する恐れがあり、最悪の事態につながります。その為にも少しの変化も見落とさないような見守りが必要です。見守りは無理のない範囲で行い、少しでも異変や困難なことががあればすぐに相談するようにしましょう。