高齢者のおやつは健康維持に役立つ！役割や効果的な取り入れ方を解説

「高齢者なのにおやつをあるだけ全部食べてしまう…」
「高齢者の健康を考えると控えめにした方がいい？」

このようなことで、高齢者のおやつに関してお悩みではないですか？

高齢者にとっておやつは、健康維持に欠かせない存在の1つです。

おやつの種類によっては過食を避けた方が良いのもありますが、お菓子が好きな高齢者も多いので、無理矢理取り上げないようにしてあげましょう。

この記事では、高齢者がおやつを食べる大切さや役割、与える際の注意点などについてご紹介します。

最後まで読むと、高齢者が健康を維持しながら、楽しくおやつを食べられるようになりますよ。

高齢者の健康を支えるためにおやつが必要

高齢者の健康を支え、維持していくために、おやつは重要な役割をもっています。

特に高齢者における「フレイル」の予防の1つとして役立つので、詳しく解説します。

適切におやつを摂取できれば、高齢者の栄養バランスを整える効果に期待できるでしょう。

高齢者にとってのおやつの役割

高齢者にとって、おやつは栄養摂取の良い機会です。

加齢に伴って減少する食事量や、積極的に摂取したい栄養素を効果的に補えます。

おやつは高齢者のフレイル予防に役立つ

フレイルは、虚弱・老衰・脆弱などを意味する「Frailty（フレイルティ）」が語源となっています。

加齢とともに心身の活力が低下し、日常生活で介護が必要になる一歩手前の状態です。

フレイルの状態に早く気づき、正しい治療や予防を行えば、症状の改善や進行を緩やかにできる可能性が高まります。

フレイル予防には、栄養・身体活動・社会参加という3つの柱があり、連動しているためそれぞれに予防が必要です。

高齢者の健康維持につながるおやつの5つの役割

高齢者の健康維持につながるおやつには、以下の5つの役割があります。

• エネルギー補給
• 食物繊維の摂取
• 水分補給
• コミュニケーションツール
• 心身へのリラックス効果

それぞれの役割について詳しく解説します。

エネルギー補給

高齢者になると、1回の食事量が少なくなる傾向にあります。

おやつを生活にうまく取り入れることで、1日に必要なカロリーを摂取し、栄養補給につながります。

高齢者がおやつから摂る1日のエネルギー量の目安は200kcalで、血糖コントロールが必要な場合は100kcal以内です。

文部科学省の「食品成分データベース」から、食品100gあたりのカロリーや栄養素を調べられるので、おやつの成分が気になる方は参考にしましょう。

食物繊維の摂取

高齢者のおやつには、食物繊維が入った食材もおすすめです。

食物繊維を摂取すると腸内環境を整え、便秘を予防します。

高齢者の便秘について以下の記事で解説しているので、ぜひ一緒に読んでみてください。

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水分補給

高齢者は加齢に伴い、のどの渇きを感じにくくなります。

水分を含んだおやつを摂取すれば、自然と水分補給ができます。

体の水分が不足すると熱中症や脳梗塞、心筋梗塞のリスクが高まるので、水分補給はとても重要です。

高齢者が感じにくいのどの渇きの原因や対策については、以下の記事で解説しているので、ぜひ参考にしてください。

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コミュニケーションツール

おやつを食べる時間は、家族や友人とのコミュニケーションがとれる良い機会です。

簡単なおやつを一緒に作ったり、おいしく食べたりする時間は、高齢者にとって大切な時間となります。

孤独を感じやすい高齢者にとって、人との交流は社会性を保ち、認知機能の維持にもつながります。

高齢者が孤独を感じやすい理由は以下の記事で解説しているので、参考にしてください。

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心身へのリラックス効果

おやつを食べると、脳内で「セロトニン」や「ドーパミン」と呼ばれる神経伝達物質が分泌され、リラックス効果があります。

セロトニンは、精神を安定させる効果や脳を活発にする作用があり、ドーパミンは、多幸感や快楽をもたらします。

また果物による香りは、副交感神経の働きを促し、自律神経を整えるのに効果的です。

例えば柑橘類の香りには、抗うつ作用や鎮静作用があり、りんごの香りには、安眠効果が期待できます。

おやつを食べると幸福感を感じられるのは上記の理由からで、高齢者のストレス解消にもつながります。

高齢者がおやつを安全に食べるための4つの注意点

高齢になると身体機能の変化から、食べるのが困難になるおやつがあります。

おやつを安全に食べるために、以下の4点に気をつけましょう。

• 噛みにくく飲み込みにくいおやつを避ける
• 持病や服薬中の禁忌に気をつける
• 栄養の偏りと摂りすぎを防ぐ
• 3食の妨げにならない適切な時間と量に調整する

噛みにくく飲み込みにくいおやつを避ける

高齢者は加齢に伴って、噛み切ってすりつぶすまでの咀嚼能力や嚥下（えんげ）機能という飲み込むための機能が衰えていきます。

以下のようなおやつには、特に注意が必要です。

• 水分量が少なくのどに詰まりやすいおやつ
• 粘り気がありのどにはりつきやすいおやつ
• 弾力や硬さがあり噛みにくいおやつ

誤嚥や窒息の恐れがあるため、咀嚼能力や嚥下機能の低下が著しい高齢者は避けた方が良いでしょう。

持病や服薬中のおやつの制限に気をつける

持病があり薬を服用している高齢者がおやつを食べる際、摂取量に制限がかかるケースがあります。

制限の内容は、疾患の程度や健康状態によって異なるため、かかりつけ医に相談してみましょう。

日本人の高齢者によくある疾患には、以下のような摂取制限がかかるケースが考えられます。

糖尿病・腎臓病・高血圧の方の食塩摂取量の目安は、1日6g未満と推奨されているように、疾患によって値が決まっています。

自分の病状に合わせて、食生活全体を見直すのもよいでしょう。

おやつの摂りすぎと栄養の偏りを防ぐ

おやつを摂りすぎると栄養も偏ってしまい、以下のような事態につながりかねません。

• 必要以上のカロリー摂取
• 糖質の過剰摂取による血糖値の乱れ
• 消化器官への負担
• ビタミンやミネラルなどの偏り

高齢者の体へ負担を与える可能性が高いので、様々な種類のおやつを用意して栄養バランスを意識しましょう。

3食の妨げにならない適切な時間と量に調整する

高齢者の栄養摂取は朝昼晩の食事からがメインで、おやつはあくまで補助的な役割を担っています。

おやつが主食の妨げにならないよう、適切な時間と量に調整するのが重要です。

食べる時間は10時や15時ごろが理想的で、食事の2時間前までに終わると3食に影響を与えにくいです。

また、1回の量も控えめがおすすめです。

夕食後の夜遅い時間におやつを食べてしまうと、睡眠の質が低下するので避けましょう。

ただし、高齢者に食欲不振があり食事をまともに取れない場合は、食べられるおやつを与えるのも1つの解決策になります。

食欲不振が高齢者に与える影響は、以下の記事で解説しているので、ぜひ参考にしてくださいね。

高齢者のおやつの選び方

高齢者のおやつ選びに迷ったら、以下の3点を意識すると体の健康を考えたお菓子を選択できます。

• 安全性や栄養面に配慮されたおやつ
• 自然派で体に優しいおやつ
• 簡単に準備できる手作りおやつ

それぞれについて解説します。

安全性や栄養面に配慮されたおやつ

高齢者のおやつ選びには、安全性や栄養面に配慮されたものがおすすめです。

市販品であれば、口どけが良いものや機能性表示食品などが、高齢者の好みに合わせて簡単に手に入ります。

特に、科学的根拠に基づいた健康効果が期待できる機能性表示食品は、不足しがちな栄養素を補えるので、おやつに適しているでしょう。

自然派で体に優しいおやつ

自然派のおやつなら、保存料や着色料などの食品添加物を避けられて、体に優しい傾向があります。

自然な甘味の食材を活かしたおやつは、栄養バランス的にもおすすめです。

栄養価の高い旬のフルーツや食物繊維が豊富なヘルシースナックなどで、素材本来の栄養を手軽に摂取できます。

ヘルシースナックには、干しいもやベジタブルチップス、塩分控えめのお菓子などがあります。

自然派のお菓子需要は高まっているので選択肢も多く、おいしいおやつを楽しめるでしょう。

簡単にできる手作りおやつ

おやつを作る工程や材料がシンプルであれば、高齢者も一緒にお菓子作りに挑戦できます。

食材を触ったり、においを感じたり、完成までの変化を見たりすると五感が刺激されます。

また、指先を使うことで身体機能の維持や、レシピ通りに作ると頭を使うので脳の活性化が可能です。

高齢者施設では「おやつレク」と呼ばれ、作る楽しみや食べる喜びを感じられるレクリエーションとして導入している施設もあります。

高齢者もおやつを適切に摂取して健康を維持しましょう

高齢者にとっておやつは、単なる間食以上の重要な役割があります。

フレイル予防や栄養補給、コミュニケーションの機会などの効果が期待できます。

ただし、高齢者がおやつを食べるときには、安全面や摂取量に十分な注意が必要です。

高齢者1人ひとりの状況に合わせて、おやつを健康維持の味方として適切に取り入れていきましょう。