「最近、母親がトイレが近いことを理由に外出したがらなくなった…」
「頻尿に悩む高齢者が日頃からできる対策はある?」
ご自身や家族が加齢とともにトイレが近くなって、このようなことでお悩みではありませんか?
高齢者の頻尿はよくあることで、1人で悩みを抱え込まず向き合っていくことが大切です。
本記事では、頻尿の症状がある高齢者の特徴と原因、リスクを回避する改善策を解説します。
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トイレが近い高齢者の3つの特徴
トイレが近くなったと感じる高齢者の特徴として、以下の3つがあります。
- トイレ回数が1日に8回以上
- 残尿感
- 夜間頻尿
それぞれについて、詳しく解説します。
トイレ回数が1日に8回以上
日本泌尿器科学会によると、「朝起きてから就寝までの活動時間帯のうち、8回以上トイレに行く場合は頻尿である」と定義されています。
トイレに行く回数は人によって異なりますが、40歳を越える頃から頻尿の症状が現れ始める傾向が高いです。
長時間我慢できないことにより行動が制限され、電車移動中に途中下車したり、長距離バスでの移動が不安だったりするなど生活に支障が出てきます。
残尿感
トイレが近い高齢者の特徴の一つに、残尿感があります。
排尿後も膀胱内に尿が残ってしまっている状態を残尿と呼び、その中でも排尿障害が進行して残尿感を引き起こしているケースがあります。
膀胱内に残尿があると新たに尿を溜めるスペースを確保できず、1回の排尿量は少ないもののトイレに行く頻度が増加してしまうのです。
夜間頻尿
65歳以上で夜間にトイレに行くのが1回程度であれば、自然な現象である場合が多いです。
一般的に高齢者の夜間頻尿は、夜中に2回以上トイレに行く状態が続くと病的な頻尿であると考えられています。
高齢者のトイレが近くなる原因6選
高齢になるとともにトイレが近くなる原因として、以下の6つが挙げられます。
- 認知症の進行
- 加齢による身体機能の変化
- 生活習慣
- 基礎疾患との関連
- 過活動膀胱
- 心因性頻尿
ここからは原因をそれぞれ解説していきます。
認知症の進行
認知症の進行が原因で、トイレに行く回数が増えることがあります。
認知症には、以下のような症状があります。
- 見当識障害…人・時間・場所を認識する能力の低下
- 記憶障害…短い間で起こった出来事を記憶する能力の低下
これらの影響により、10分前にトイレに行ったことも分からなくなってしまうのです。
加齢による身体機能の変化
トイレが近くなる原因として、加齢による身体機能の変化が挙げられます。
一例として、以下のような体の変化が起こります。
- ホルモン分泌の低下
- 膀胱の筋力低下
- 膀胱の容量の減少
上記のほかにも、加齢に伴うさまざまな要因が関連して頻尿に繋がっていると考えられるでしょう。
生活習慣
膀胱に病的な症状がないにもかかわらずトイレが近い場合、生活習慣に原因があり頻尿を引き起こしている可能性が高いです。
以下の生活習慣は尿量の増加に繋がり、トイレに行く頻度が高まることがあります。
- 飲み物の飲み過ぎ
- 基礎疾患がある
- 利尿作用のある薬の服用
基礎疾患との関連
高齢者の頻尿は、以下の基礎疾患との関連性が高いと考えられています。
- 糖尿病…利尿作用
- 腎臓病…排泄機能の低下
- 心臓病…夜間尿量の増加
- うつ病…睡眠障害
また上記に加え、薬剤の副作用も含まれます。
過活動膀胱
「過活動膀胱」とは、急にトイレに行きたいと思った時に漏れそうになる尿意切迫感があり、膀胱に尿が溜まりきっていないのに勝手に収縮する病気です。
別疾患の影響で膀胱のコントロールが効かなくなったり、老化現象で起こったり、中には原因不明であったりと発症原因はさまざまです。
日本人の男女ともにかかりやすい病気の一つと言えます。
心因性頻尿
「トイレに行きたくなったときに並んでいたらどうしよう」
「会議直前にトイレに行きたくなってきた」
このように緊張や不安などの精神状態が原因で起こる頻尿を「心因性頻尿」と呼びます。
心因性頻尿の特徴は、家にいるときは頻尿にならないことや夜間にトイレで起きないなどがあります。
トイレが近い高齢者に考えられる3つのリスク
高齢者がトイレに行く回数が増えることで考えられるリスクは、以下の通りです。
- 夜間の転倒
- 睡眠不足とストレス
- 脱水症状
トイレに行くという日常的な行動から考えられるリスクのため、発生する頻度や可能性が高まります。
ここで1つずつ確認していきましょう。
夜間の転倒
夜間にトイレに行く回数が増えると、その分転倒のリスクが高まります。
暗い足元で電気をつけるまでにつまずいたり、寒さで体がこわばって足が動かなかったりと昼間よりも慎重に動かなければなりません。
高齢者が転倒すると骨折に繋がる可能性も高いです。
夜間のケガで動けなくなると他の人に気付いてもらうのも難しくなってしまいます。
高齢者の転倒による危険性については、以下の記事を参考にしてください。
睡眠不足とストレス
高齢になると眠りが浅くなり、夜間頻尿も相互に作用して睡眠不足や睡眠の質の低下に繋がるリスクがあります。
人によって不眠と夜間頻尿のどちらが原因となっているかは異なりますが、慢性的に睡眠不足が続くと疲労やストレスが溜まり精神的な苦痛を伴いかねません。
悪化すると不眠によるうつ病を発症するケースもあるため、十分な睡眠は大切です。
脱水症状
トイレに行く回数が増えたことで水分摂取を控えてしまい、脱水症状に繋がるケースがあります。
高齢者は、特に脱水症になりやすく以下のような特徴も関係しています。
- 体内水分量をコントロールする腎臓機能の低下
- 体液を蓄える筋肉量の減少
- のどの渇きに気づきにくい
トイレが近くなってきた高齢者に効果的な改善策
トイレに行く回数が増えてきて心配なら、改善策として薬物療法や行動療法を取り入れましょう。
頻尿に対する具体的な改善策には、以下のような方法があります。
- かかりつけ医に相談
- 生活習慣の見直し
- 膀胱訓練や骨盤底筋体操
- トイレ環境の整備
1つずつ解説するので、ぜひできそうなことから行ってみてください。
かかりつけ医に相談
頻尿の悩みは、まずかかりつけ医に相談してください。
自分の頻尿の程度や、薬の服用が必要かどうかの自己判断は難しいです。
過活動膀胱・前立腺肥大症(男性の場合)に対する投薬や、頻尿の原因となる高血圧・糖尿病などの疾患の改善も必要です。
かかりつけ医の指示に従うことで、自分に合った正しい治療が始められます。
また、服用中の薬があり体の負担が心配な方は、漢方薬について相談してみるのもよいでしょう。
生活習慣の見直し
生活習慣の見直しが、頻尿予防に繋がるケースもあります。
以下のように行動すると、トイレに行きたくなるのを抑えられるでしょう。
- カフェインやアルコールの摂取を控える
- 塩分を摂り過ぎない
- 適度な運動
- 禁煙
カフェインやアルコールには利尿作用が含まれていることや、塩分を取り過ぎると体内の塩分濃度を薄めようと水を飲みたくなるなど、頻尿を引き起こす可能性が高まってしまいます。
膀胱訓練や骨盤底筋体操
頻尿と過活動膀胱の改善策に、「膀胱訓練」や「骨盤底筋体操」というトレーニングがあります。
この2つのトレーニングを意識的に取り組めると、頻尿や尿漏れなどトイレに関する悩みの軽減に期待できます。
膀胱訓練
膀胱訓練とは、尿意を感じてもすぐにトイレに行かず尿を膀胱に溜めるトレーニングです。
ただし膀胱炎の発症を防ぐため、我慢のしすぎは禁物です。
まずは尿意を感じたら5分程度我慢することから始め、1週間続けてみましょう。
慣れてきたら5分ずつ時間をのばしていき、最終的に3時間ほど間隔をあけられるようになるのが理想です。
参考:NPO法人日本コンチネンス協会 『「頻尿」の対処方法』
骨盤底筋体操
骨盤底筋と聞くと女性が鍛える部位という印象がありますが、男女ともに重要な働きをしています。
骨盤底筋を鍛えることで、尿漏れや過活動膀胱の予防に期待できます。
以下の流れで鍛えられるので、気が付いたときに取り組んでみてください。
- イスに座って足を肩幅に開く
- 背中を真っ直ぐにして顔は前を向く
- 全身の力を緩める
- 肛門(女性は膣も)を閉める動きを8秒間キープ
- 3と4を10回前後繰り返す
動きに慣れてきたら立った状態でもできるトレーニングなので、外出先の待ち時間などにも行えるとよいでしょう。
トレーニングを継続すると徐々に骨盤底筋が鍛えられてきます。
トイレ環境の整備
頻尿により使用回数が多くなるトイレの環境を整えるのも重要です。
立ったり座ったりの動作で腰や膝を痛めないように手すりを取り付けたり、暗い中での移動を避けるため人感センサー付きライトを設置したりすると安心できます。
また、家族と離れて一人暮らしをしている高齢者であれば、当社の見守り機能付きの電球「ハローライト」の導入もおすすめです。
電気を点けると通知が届く仕組みなので、安否確認やトイレ回数の把握にも活用できます。
ハローライトについて以下のページでより詳しく紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
まとめ
本記事では、頻尿の症状がある高齢者の特徴と原因、リスクを回避する改善策を解説しました。
高齢者のトイレが近くなる原因は、いくつもの要素が絡み合って起こっている可能性が高いため、すぐに改善するのは難しいケースが多いです。
年齢を重ねるごとにトイレの回数が増え、落ち込んでしまう人もいるかもしれません。
まずは自分に当てはまる症状を認識し、できる頻尿対策から始めてみましょう。
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