高齢者の一人暮らしを快適にするには？注意点とリスク回避のポイントも解説

「一人暮らしの高齢者が快適に過ごすにはどうしたらいい？」

「何かがあったときのことを考えると心配・・・」

高齢の親御さんが一人暮らしをする際、上記のように悩む方は多いでしょう。

高齢者の一人暮らしでは、病気やケガ、事故に遭いやすくなるリスクがあるので、回避するためにさまざまなポイントを抑えておく必要があるのです。

今回は、高齢者の一人暮らしを快適にするポイントと注意点を解説します。

また、高齢者が一人暮らしをするうえで抱えがちなリスクを軽減するポイントも紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

高齢者の一人暮らしは増加傾向にある

高齢者（65歳以上）の一人暮らし世帯は、今後もさらに増加する傾向にあります。

その背景には、少子高齢化による高齢者人口の増加や、配偶者の死別などさまざまな理由が考えられます。

またライフスタイルの多様化により、一人で暮らすことを選択する高齢者が増えていることも要因の一つと言えるでしょう。

内閣府が発表した「令和6年版高齢社会白書」によると、「2010年には4,791,000世帯だった65歳以上の一人暮らし世帯が、10年後の2020年には6,717,000世帯にまで増加している」と示しています。

かつては三世代同居が当たり前だった日本ですが、核家族が進んだ現代では、高齢者の一人暮らしが一般的になりつつあるのです。

高齢者が一人暮らしをする際に起こりうるリスク

高齢者の一人暮らしは、自分のペースで生活できるという利点がある一方で、さまざまなリスクを伴います。

加齢に伴う体力や判断力の低下により、日常生活の中で思わぬトラブルに直面することも少なくありません。

ここでは、一人暮らしの高齢者が直面しやすい主なリスクについて解説していきます。

病気やケガ

一人暮らしの高齢者は、病気やけがをした際にさまざまなリスクに直面する可能性があります。

理由としては、まず病気やけがをした際に発見が遅れやすいことが挙げられるでしょう。

特に近隣住民や友人、親族との定期的な交流がないと、異常に気付いてもらえず、治療が遅れる恐れがあります。

入院や手術が必要になった場合、親族がいても遠方に住んでいることが多く、保証人探しが難航するケースも少なくありません。

また入院中に必要な日用品の準備など、生活面で協力を得ることも難しくなるでしょう。

さらに身近に家族や知人がいたとしても、頻繁に雑事を頼むことに気が引けると感じる高齢者も多いです。

そのため、病気やケガをした際の備えをあらかじめ考えておくことが重要になります。

社会からの孤立

高齢者の一人暮らしは社会からの孤立を招く恐れがあり、社会から孤立するとさまざまなリスクが生じる恐れがあります。

日本では2000年代から高齢者の社会的孤立が問題として顕在化し始め、多くの影響を及ぼしているのです。

例えば、社会的孤立は認知症や孤独死の一因となるだけでなく、ごみ屋敷や高齢の引きこもりといった問題を引き起こすことがあります。

特に一人暮らしで他者との交流が少ない場合、生活環境の悪化や精神的な不調につながるかもしれません。

犯罪との遭遇

一人暮らしの高齢者は、犯罪に巻き込まれやすいというリスクがあります。

高齢者は加齢に伴い認知機能や身体機能が衰え、判断力や抵抗力が低下しやすいです。

特に物事の良し悪しを正常に判断しにくくなると、犯罪者に狙われる可能性が高くなります。

特殊詐欺の犯罪者は、高齢者の認知機能の低下につけこみ、巧妙な手口で詐欺を仕掛けてきます。

近年では窃盗や強盗の被害も増えており、身体能力が低下している高齢者は抵抗しにくいのです。

「自分は詐欺に遭わない」と思っている方ほど油断しがちですが、少しでも不審に感じたら周囲に相談することが大切です。

警戒心を持ち、対策を講じることで、犯罪のリスクを減らせます。

災害や事故

一人暮らしの高齢者は、災害や事故の被害に遭いやすいというリスクがあります。

高齢になると身体能力が衰え、避難時の迅速な行動が難しくなる恐れがあるからです。

特に歩行の支援がなければ、スムーズに避難することが困難になります。

自宅で被災したときに近所の人に助けを求めることができればよいのですが、通常は救助隊を待つしかなく、避難の遅れによって被害を受けるリスクが高まります。

さらに高齢者の一人暮らしでは、自分自身による事故（火の不始末による火災など）を引き起こす可能性があるため注意が必要です。

同居人がいれば、火の管理や日常的な片付けを手伝うことで火災のリスクを軽減できるうえ、万が一火災が発生しても消火や避難の支援を受けられます。

一方で一人暮らしになると火災の発生率が高まり、逃げ遅れて被害を受ける危険性を考慮しておく必要があるでしょう。

高齢者の一人暮らしで抱えがちなリスクを回避するためには？

高齢者の一人暮らしには、病気や事故、社会的孤立などさまざまなリスクが伴うため事前に対策をとることで、これらのリスクを軽減できます。

ここでは、一人暮らしの高齢者が安心して生活を続けるための具体的な方法について紹介していきます。

親族と同居する

高齢者の一人暮らしにおけるリスクや問題は、親族と一緒に暮らすことで、以下のさまざまなサポートが受けられます。

• 病気やけがの看病
• 日常的な介護
• 災害時の避難
• 孤独死や社会的孤立の防止

逆に親族からしても高齢の親と同居することで家事を分担したり、小さい子どもを預かって面倒を見てもらったりもできます。

負担に感じることがあるかもしれませんが、最終的には助け合いの一環として捉えて話し合ってみると良いでしょう。

見守りサービスやグッズを利用する

親族との同居が難しい場合、見守りサービスや安否確認サービスを利用するのもおすすめです。

見守りサービスを活用すると、遠方にいる家族の代わりに高齢者をサポートすることができます。

見守りサービスには、以下のようなタイプがあります。

• 訪問型
• センサー型
• オート電話・オートメール型
• カメラ型

また24時間の監視や安否確認、緊急対応などが提供され、必要に応じて駆けつけてくれるサービスもあります。

このようなサービスを利用することで高齢者の安全を確保し、遠くからでも安心して見守れるのです。

また、高齢者の見守りサービスについて詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。

介護サービスを利用する

一人暮らしの高齢者が安心して生活できるようになるには、介護サービスの利用も検討しましょう。

介護サービスを受けるには、市区町村で要支援・要介護の認定を受ける必要がありますが、希望通りの認定がされない場合もあるので注意が必要です。

認定を受けた後は、訪問介護や施設への通所など、必要なサポートを選んで利用できます。

サービスの費用は基本的に1割負担ですが、所得に応じて負担割合が変わることもあるため注意が必要です。

認知症などで手続きが進められない場合は、法定後見制度を利用して後見人に手続きを任せることができ、身寄りがなくてもサービスを受けられます。

高齢者向け施設を利用する

一人暮らしを続けるのが難しい場合、高齢者施設に入居するのもおすすめです。

施設では専門的なサポートを受けながら生活でき、安心して暮らせます。

高齢者施設には、介護度や認知症の状態、自立した生活が可能かどうかなど、入居条件が施設ごとに異なり、利用者の状態に合わせた選択が可能です。

例えば、要支援度や要介護度に応じた介護施設や認知症対応型施設があるので、入居条件と予算に合わせて最適な施設を選ぶことが大切です。

施設によっては保証人を求められる場合がありますが、身近に頼める人がいない場合には、民間の身元保証サービスを利用するのも良いでしょう。

以下の記事では、老人ホーム選びについて詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。

高齢者の一人暮らしで快適に過ごすためのポイント

高齢者が一人暮らしを快適に続けるためには、いくつかのポイントがあります。

ここからは、高齢者が一人暮らしをする際に押さえておきたいポイントについて解説します。

健康に気を配る

快適な一人暮らしを実現するためには、健康管理が大切です。

栄養バランスを考えた食事を心がけ、定期的に健康診断を受けることで、病気の予防や早期発見ができます。

また適度な運動（ウォーキングや体操）を取り入れることで、転倒や骨折のリスクを減らせます。

高齢者の食事や骨折に関しては、以下の記事も合わせて参考にしてください。

必要な資金を準備する

老後の一人暮らしを安心して楽しむためには、経済的に安定した生活を送ることが大切です。

生活に必要な費用（家賃、食費、光熱費など）を賄うために、公的年金に加えて個人年金や貯金、投資などを活用する必要があります。

また、病気や怪我による医療費に備えて、あらかじめお金を積み立てておきましょう。

さらに予期しない出費に備えるために予備資金を準備しておくと、より安心して過ごせます。

自治体・高齢者向けサービスを利用する

多くの自治体や企業では、高齢者向けのサービスを提供しており、うまく利用すると安全で快適に生活できるでしょう。

例えば、見守りサービスを利用すれば、緊急時にすぐ対応してもらえ、孤立を防ぐことができます。

また、配食サービスを使えば、バランスの取れた食事を定期的に届けてもらえ、健康的な食生活を続けやすくなります。

以下の記事では高齢者向けの宅配弁当について解説しているので、ぜひ参考にしてください。

高齢者の一人暮らしはポイントを抑えて快適に過ごしましょう

高齢者の一人暮らしは増加傾向にあり、病気やけが、社会的孤立、犯罪、災害リスクなどさまざまな問題が考えられます。

これらのリスクを減らすために、見守りサービスや介護サービス、健康管理、経済的な準備が重要です。

また、自治体や企業の高齢者向けサービスを利用することで、安心して快適な生活を続けることができます。

適切な準備とサポートを整え、高齢者の一人暮らしがより安心で充実したものとなるように心掛けましょう。