独身の高齢者が安心できる未来のために今できること｜現状と解決法を解説

「婚期を逃してしまいずっとこのまま1人だったらどうしよう…」
「今まで独身でいいと思っていたけど、いざ老後が近づくと不安になってきた…」

年齢を重ねるうちに、このようなことで1人でお悩みではありませんか？

本記事では、増加する独身の高齢者の現状と、安心して暮らしていくための方法について解説します。

独身の高齢者で身寄りがない場合、最期は孤立死・孤独死につながりかねません。

認知機能や身体機能が元気なうちに自分の未来について考えて計画し、行動しましょう。

近年の高齢者の現状

高齢者の現状について、以下の3つを解説します。

• 【2024年】高齢者の特徴
• 【2020年】高齢者の未婚率
• 【2020年】配偶者との離別や死別

高齢者の価値観や生きがいも人それぞれ変化しています。

【2024年】高齢者の特徴

2024年に国内の65歳以上の高齢者1600人を対象とした意識調査によると、以下の3つの面での高齢者の特徴が分かりました。

• 健康面
• 経済面
• 社会面

1つずつ解説します。

健康面

高齢者は健康状態が悪化し日常生活に不便を感じるようになると、楽しみや喜びを感じられなくなる傾向が高いです。

特に、要支援・要介護の認定を受けた高齢者のうち26.7％の人が、「今後充実させたいことはない」と消極的になることが分かりました。

また男性は、80歳以上になると配偶者の健康状態が心配になり、一人暮らしへの不安を抱える割合が増加しています。

一人暮らしに不安がある人は、以下の記事で自治体からの支援について解説しているので、ぜひあわせて読んでみてください。

経済面

独身高齢者の男女の経済面での違いを見ると、全体の約6割が月収10～20万円で男女の収入の違いはあまり大きくありません。

しかし、金融資金が100万円未満の層が男性には約4割居るのに対し、女性は2割以下と少なく、資産保有に努めているのが分かります。

独身高齢者の男女の違いとして、配偶者と子どもがいないにも関わらず、男性は将来の不安にお金をかけたいものがないと約4割が考えています。

一方、女性は資産運用・高齢者施設・見守りサービスなどに対してお金をかけてもよいとする傾向にありました。

社会面

ボランティア活動や地域活動、親しい人たちとの団らんは、収入や資産が少ない高齢者ほど減少する傾向にあります。

特に75歳以上の女性は、親しい人たちとの団らんを楽しんでいる割合が高く、男女の違いが見られます。

参考：株式会社日本総合研究所「高齢者の生きがい等意識調査2024」

高齢者が生きがいを持って生活する重要性については、以下の記事を参考にしてください。

【2020年】高齢者の未婚率

40～50代の中高年の未婚化が進み、そのまま一人暮らしの高齢者となるケースが増えています。

2020年に行われた40～50代未婚者の調査結果として、住居形態は以下のように分類されました。

中高年未婚者の居住形態	人数（割合）
単身男性	495人 （22.3%）
単身女性	463人 （20.9%）
親同居男性	585人 （26.4%）
親同居女性	604人 （27.2%）

単身の中高年男女は、「現在頼りにできる人がいない」と回答した人が過半数を占めています。

親と同居する中高年は、頼りにできる人を親と回答しているため、親が亡くなってしまうと結果的に孤立につながる可能性が高いです。

参考：中年未婚者の生活実態と老後への備えに関する分析―「単身世帯」と「親と同居する世帯」の比較―

【2020年】配偶者との離別や死別

高齢者が独身になるパターンとして、離別や死別があります。

離別とは、離婚後に再婚をしてない人を指します。

2020年の国勢調査によると、70歳以上の女性の死別、及び離別の割合が高くなるという結果でした。

参考：総務省統計局『令和２年国勢調査　人口等基本集計結果　結果の概要』

独身の高齢者が安心できる暮らしのための3つの方法

高齢者が独身でいると人との交流の機会や、人生を楽しむ目的を失ってしまう可能性が高まります。

早めのうちからいくつか交流の場を作ることで、身の安全にもつながるようになるでしょう。

ここからは、以下3つの安心で安全に暮らす方法について解説します。

• 友人と見守り機能付き家電で毎日繋がる
• パートナーと出会う
• 高齢者シェアハウスで暮らす

友人と見守り機能付き家電で毎日繋がる

長い期間一人暮らしをしている人は、他人が自宅に居る、一緒に暮らすこと自体に抵抗がある人も中にはいると考えられます。

ずっと続けてきた生活リズムが乱れると、ストレスにつながりかねません。

しかし、仲の良い友人を持つ高齢者であれば、それぞれの自宅に見守り機能付きの家電を装着すると安否確認ができます。

自分のスマートフォンと相手の家電を連携すると、家電使用時に通知が届く仕組みになっています。

見守りシステムの種類には、センサー付きの置き型や家電内臓型、カメラ機能付きなど形態がさまざまあります。

以下の記事を参考に、自宅に導入しやすいものを活用してみてくださいね。

パートナーと出会う

高齢者でもすてきなパートナーと出会い、周りの目を気にせず一緒に暮らせる時代になってきました。

必ずしも入籍する必要はなく、事実婚やパートナーシップなど選択肢の幅が広がっています。

パートナーと一緒に暮らすと会話が増え、認知機能の低下や孤独感などの悩みも解消されやすくなります。

また、高齢者向けのマッチングアプリや婚活パーティーも開かれているので、出会いの場に遊びに行くことをイベントの1つとして楽しみましょう。

高齢者シェアハウスで暮らす

高齢者が集まってシェアハウスで暮らすという方法もあります。

シェアハウスとは、自分の部屋と共有スペースが設けられ、複数人で共同生活を送れる住居です。

高齢者向けのシェアハウスであれば、バリアフリー設計や安否確認、介護サービスとの連携をしているところもあります。

一人暮らしを送るよりも家賃や生活費を抑えられ、人とのつながりを持ちながら生活できます。

ただし、入居後に入居者同士のトラブルや生活リズムの違いから、ストレスが溜まることは避けなければなりません。

事前にシェアハウスの特色や、共有スペースのルールなどを確認しましょう。

また、自分自身も身の回りのことができないと入居基準に満たず、入居ができないケースがあります。

身寄りのない高齢者が元気なうちに取り組むべきこと3選

独身で身寄りのない高齢者が、最期を迎える前に取り組むべきことは以下の3つです。

• 保険の見直し
• 資産形成
• エンディングノート

身の回りの整理や将来を考えることは、想像以上に頭と体力を使います。

認知機能や身体機能が低下する前に取り組むことで、体への負担を最小限に抑えられるでしょう。

ここからは、それぞれについて解説します。

保険の見直し

独身の高齢者に必要な保険は、ライフスタイルや貯蓄状況によって異なるため、定期的に保険の見直しを行いましょう。

急に入院が決まればまとまった費用が必要になったり、入院期間の収入がゼロになったりと、お金が必要な場面が出てくるかもしれません。

反対に十分な預金があれば、保険が必要ないケースもあります。

信頼できるファイナンシャルプランナーに出会えると、自分に適切な保険を提案してもらうことが可能です。

資産形成

身寄りのない高齢者で、財産を残す人がいない場合は、計画的に使い切れるようにしておきましょう。

自分の楽しみに使う額を増やしたり、最終的に使い切れなかった資産があれば慈善団体へ寄付したりするのもおすすめです。

金融資産が多い場合、不必要なサービスの勧誘を受けてトラブルになるケースがあるため使い道には気をつけてください。

エンディングノート

エンディングノートとは、自分の最期を迎える前に行う終活の1つで、自分に関する情報や残りの人生でやりたいこと、周りの人への想いなどをまとめておくノートです。

エンディングノートを記載しておくと、身寄りがなくても自分の希望に沿った人生の最期を迎えることができます。

エンディングノートの具体的な記入事項

ここからは、エンディングノートに記載する内容を紹介します。

エンディングノートでは事務的なやり取り以外にも、自分の過去のエピソードや、恩人への感謝をつづるなど自由に記載ができます。

基本的な記入事項は、以下の内容です。

1. 自分自身について
2. 財産の有無について
   • 不動産（土地・建物）
   • 資金
   • デジタルデータ
3. 遺言書の作成
4. 死亡後について

上記を書き進めるうちに、自分の人生を振り返る良い機会となります。

以下の法務省と日本司法書士連合会によるエンディングノートが書き込み式になっているので、ぜひ活用してみてくださいね。

• エンディングノート　～あなたに届け、わたしの想い～

自分の人生最期まで理想を叶えるために今できること

本記事では、増加する独身の高齢者の現状と、安心して暮らしていくための方法について解説しました。

年を重ねると健康状態によって行動範囲が狭まり、生きがいを持って生活しにくくなる可能性があります。

認知機能や身体機能が健康なうちに、早めに将来の生活を考えて行動することが重要です。

友人やパートナーと出会い孤立を防いだり、自分に合った暮らしを柔軟に選択したりできる時代になりました。

独身で身寄りがない人でも安心して人生の最期を迎えられるよう、計画的な準備を心がけましょう。