介護と仕事の両立はきつい？介護離職の実態と両立させるポイントを解説

「仕事も忙しいのに、介護まで…両立するにはどうすればいい？」

親の介護が必要になったとき、多くの方がこの悩みに直面します。

仕事を続けながら介護をするのは想像以上に大変で、負担が重なれば「もう限界」と感じることもあるでしょう。

実際に、介護が理由で仕事を辞める方も増えています。

しかし、介護離職には収入減や再就職の難しさといったリスクも伴います。

では、どうすれば無理なく両立できるのでしょうか？ 

今回の記事では、介護と仕事を両立するための方法を詳しく解説します。

介護離職すると起こりうるデメリットや、両立させるポイントも合わせて紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

介護している人の実態

実際に仕事と介護を両立している方は多く、今後さらに増えていくと考えられます。

特に、仕事の責任が重くなる年代で介護をする人が多いため、負担が大きくなりやすいのです。

総務省の「令和4年就業構造基本調査」によると、日本で介護をしている人は約629万人で、そのうち365万人が仕事と両立しています。

特に55～59歳の方に多く、管理職や重要な役職に就いているため、仕事と介護のバランスが難しくなりやすいことがわかっています。

介護離職が増えると労働力人口の減少につながり、社会全体への影響も大きくなるでしょう。

そのため、企業も介護と仕事の両立を支援する制度を整える必要が高まっています。

介護離職の実態

介護と仕事を両立することは非常に難しく、その結果、多くの人が介護を理由に仕事を辞めています。

今後高齢化が進むにつれて、介護離職の問題はさらに深刻化する可能性があるでしょう。

家族の介護が必要になると、昼夜を問わず定期的なケアが求められ、家事と並行して対応しなければならなくなります。

よって、「仕事と介護を両立できない」という理由で離職する方が多くなっているのです。

総務省の調査によると、毎年約10万人が介護のために退職しており、総離職者の約2％を占めています。

特に女性の割合が高く、介護離職者の約70％が女性です。

これは、女性に介護の負担が偏っている現状を示しています。

介護離職のデメリット

介護と仕事の両立が難しく、やむを得ず離職を選ぶ方は少なくありません。

しかし、介護離職には大きなデメリットが伴います。

収入の減少や再就職の難しさだけでなく、精神的な負担も増えるため、慎重に判断することが大切です。

ここでは介護離職による具体的な影響について詳しく見ていきましょう。

収入が減少する

介護離職をすると収入が途絶え、一時的な経済的負担だけでなく、将来的にも金銭面での不安が大きくなります。

介護にはさまざまな費用がかかるため、仕事を辞めてしまうと貯蓄を切り崩しながらの生活を強いられ、経済的に厳しくなる可能性があるのです。

例えば、紙おむつや防水シーツ、介護食品といった介護用品の費用が必要になります。

さらに、訪問介護やデイサービスなどの介護サービスを利用する場合も、要介護度に応じて自己負担が発生します。

また、離職すると厚生年金の加入期間が短くなり、将来受け取れる年金額も減る可能性があるため、注意が必要です。

再就職が難しくなる

介護離職後の再就職は難しく、職歴に空白ができることが経済的な困窮（貧しさ）を招く恐れがあります。

介護は終了時期が予測できないため、再就職活動のタイミングが分からなくなるかもしれません。

実際には「介護離職後に正社員として再就職できたのは半数以下」という調査結果があります。

介護が終了した後も、職歴の空白期間が長ければ経済的な困窮状態から抜け出すのは容易ではありません。

このような状況は、介護離職を選んだ場合の深刻な問題となります。

心の負担が増える

介護離職をして介護に専念すると、経済的な負担だけでなく、精神的・肉体的な疲労が蓄積されることがあります。

毎日続く介護生活は精神的なストレスを引き起こしやすく、長期間続けると心身ともに疲弊する場合があります。

例えば、肉体的には重労働が続くため、腰痛や肩こりを引き起こすケースもあります。

精神的には、介護の負担が増えることでストレスが溜まり、心身の健康に悪影響を与えることがあるのです。

このような状態が続くと、最終的には疲れ切ってしまい、介護を続けること自体が困難になるかもしれません。

介護と仕事を両立させるには？

介護と仕事を両立させるためには決して自分一人で抱え込まず、周囲に相談し協力を得ることが大切です。

ここからは実際に役立つ方法やサービスを紹介し、介護と仕事を無理なく両立できるように詳しく見ていきましょう。

職場に相談する

介護と仕事の両立が厳しいと感じた場合、無理をせず早い段階で勤め先に相談することが重要です。

職場に相談すれば、さまざまな支援を得られる可能性があります。

理解のある職場であれば、勤務時間や出勤日の調整、リモートワークの導入など、柔軟な対応をしてもらえることがあります。

早期に相談することで、職場の協力を得やすくなり、無理に離職することなく、介護と仕事をうまく両立させることが可能です。

働き方を変えてみる

現在の職場での対応が難しい場合、職場や働き方を変えることで介護と仕事を両立できる体制を作ることができます。

介護の負担を軽減するためには、柔軟な働き方が必要です。

仕事を続けることが難しい場合、時間帯や勤務日数を調整できる職場に転職したり、現在の職場で勤務形態を変更することが有効です。

例えば、介護に支障がない時間帯や曜日で働ける職場を探すことや、現在の職場で正社員から契約社員やパートタイムに変更する方法があります。

勤務時間を短くするだけで職を失うことはなく、安心して働きながら介護を続けられるでしょう。

柔軟な勤務体系の職場であれば、仕事と介護の両立がしやすくなります。

また、契約形態を変更することで、将来的に正社員として復帰する道も開けるため、長期的に見ても安心です。

在宅介護サービスを受ける

在宅介護サービスは、介護保険が適用されることが多いため、利用者の負担はあまり大きくありません。

代表的な在宅介護サービスには以下のようなものがあります。

• 訪問介護
• デイサービス
• ショートステイ

これらのサービスがどのような内容か、具体的に見ていきましょう。

訪問介護

訪問介護は、身体介護や生活支援を自宅で行ってもらえる便利なサービスです。

ヘルパーが自宅を訪問し、排泄や入浴、食事の介助を行ってくれるため、介護の負担が軽減されます。

特に入浴の介助を行う「入浴介護」は、慣れていない家族にとっては負担が大きいため、積極的に利用しましょう。

デイサービス

デイサービスは、日帰りで介護とともにレクリエーションも楽しめるサービスで、精神的な活性化や認知機能の維持に役立ちます。

例えば、施設では日常的な介助のほか、歌やゲーム、体操などの活動が行われ、利用者は楽しく時間を過ごせます。

自宅で過ごすよりも外出して社交場を持つと、精神的な負担が軽減されて元気に過ごせるため、積極的に利用する家庭も増えているのが現状です。

ショートステイ

ショートステイは、数日間の短期間で介護施設に宿泊するサービスで、介護をしている家族の休息やリフレッシュにも役立ちます。

要介護者の気分転換だけでなく、介護している家族も一時的に休息を取ることができるため家族の疲れを軽減し、介護の負担を分担できるのです。

ショートステイは、無理なく介護を続けられるようになるため、疲れたタイミングで積極的に利用することが推奨されています。

介護保険外のサービスを利用する

介護保険外のサービスは、介護保険では対応できない部分を補い、自由度の高いサポートを提供します。

例えば、庭の手入れや家族のための家事代行を依頼することによって、介護者は他の重要なケアに集中できるようになるでしょう。

介護保険外サービスは全額自己負担となりますが、介護保険サービスと組み合わせて利用することで、より充実したサポートを受けられるのです。

介護と両立させやすい勤務体系とは？

介護と仕事を両立させるためには、柔軟な勤務体系が重要です。

特に、介護の負担を軽減しながら仕事を続けるには、働き方を工夫する必要があります。

以下では、介護と両立しやすい勤務体系として、派遣社員や在宅ワークを紹介します。

派遣社員

派遣社員は、勤務時間や勤務日数の柔軟性が高いため、介護と仕事の両立がしやすい勤務形態です。

身体的負担が少ないオフィスワークが多いため、介護との両立がしやすい特徴があります。

また派遣社員は時給がパートやアルバイトよりも高いため、効率よく収入を得られます。

さらに、派遣会社は介護との両立を考慮した求人を紹介してくれる可能性もあるのです。

派遣会社がサポートを提供してくれるため、長期的に安心して働き続けることができ、介護と仕事の両立がよりスムーズに進みます。

在宅ワーク

在宅ワークは、介護と仕事の両立をしやすくし、時間的・体力的な負担を軽減する働き方です。

通勤時間がなく、場所に縛られずに仕事ができるため、実家など要介護者の近くに移動しても仕事を続けられます。

また、ケアマネジャーとの打ち合わせや介護サービスの手続きも、日中の仕事の合間に対応しやすくなるでしょう。

介護と仕事の両立は無理のない範囲で

介護と仕事の両立は多くの人にとって難しく、特に介護離職が問題となっています。

収入減少や再就職の難しさ、精神的・肉体的な負担が大きなデメリットです。

介護と仕事を両立させるためには、職場に相談したり、柔軟な勤務体系の職場を選んだりすることが重要です。

また、在宅介護サービスや介護保険外サービスの活用も検討して、仕事と介護を無理のないように進めていくようにしましょう。