急に大きな病気にかかり、長期間仕事ができなくなったり、突然の解雇にあった際に、まず住居の確保で不安になるのではないでしょうか。
十分な貯金がある場合は、そういった不安について考えたことがないかもしれません。
しかし、皆さんが老後を迎え、何らかの理由で引っ越しが必要になった際に、問題なく部屋が借りられるか気になった方は少なくないでしょう。
高齢者の賃貸には、貸主がリスクを感じてしまい、賃貸を拒否されてしまう場合があります。
仕事が無くなって家賃が払えず家を失った方や、引っ越しが必要だけど賃貸を拒否されてしまった高齢者の味方となるのが、居住支援です。
この記事では居住支援について、支援の概要から支援対象者、利用方法など基本情報を網羅しています。
現在、住居の確保にお困りの方、老後の引っ越しリスクが気になる方、住居の確保に困っている知人・家族がいる方に読んでいただきたい内容です。
この記事の内容を押さえていただければ、居住支援を円滑に利用できます。
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居住支援とは
居住支援とは、住宅の確保に困っている方に、住居への入居の実現を促進する活動です。
居住支援の活動を通じて、「入居に向けた支援」と「入居後の生活支援」の実施を大きな目的としています。
居住支援の範囲は住居の確保を行うだけでなく、支援を必要とする人の生活基盤の構築までです。
居住支援の内容に関しては明確に規定されてはいませんが、以下のような支援が実施されています。
入居に向けた支援
まずは支援対象者の現状についての聞き取りをし、必要な居住支援サービスの検討、住居のマッチングを行います。
住居のマッチングができたら、賃貸契約に向けた身元保証や家賃債務保証、転居支援の実施です。
居住支援サービスを受けるための役所への申請手続きの同行や、生活家具・家電の手配も必要に応じて対応する場合もあります。
入居後の生活支援
入居後も支援対象者の年齢や状況に応じて支援します。
継続的に対象者宅への訪問と聞き取りを行い、緊急時の対応体制の準備、地域社会との交流や就労に向けた支援も必要に応じて可能です。
高齢者の賃貸で、貸主が懸念する孤独死についても、定期的な見守りができる体制を整え、予防します。
居住支援の支援対象者
居住支援を受けられるのは、住宅の確保について、特に配慮が必要とされている住宅確保要配慮者です。
住宅確保要配慮者は主に7つの区分に分けられます。
- 低所得者
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「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律施行規則」内で明確に金額が定められています。
前年度の年収を12か月で割った金額が、15万8千円以下であることが条件です。
この金額は全国の2人以上世帯で、収入を低い順に並べたうちの、下から25%以内の収入額に該当します。
- 被災者
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発災から3年以内で、災害の影響により住宅が全壊または、居住するには不十分な状態となった方が該当します。
- 高齢者
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「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律施行規則」内には明確な定義がありません。
一律に何歳以上でなければならないとかは決まっておらず、本人の年齢と心身の状況が判断材料です。
- 障害者
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障害者基本法に定められる、身体障害、知的障害又は精神障害があり、継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける者です。
- 子どもを養育している者
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子どもに該当するのは18歳の3月31日まで、つまり高校卒業までを「子ども」として扱い、高校進学の有無は問いません。
- 「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律施行規則」内で定められた者
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外国人/中国残留邦人など/児童虐待を受けた者/ハンセン病療養所入所者など/DV(ドメスティック・バイオレンス)被害者/拉致被害者/犯罪被害者/生活困窮者及び矯正施設退所者
- 自治体の供給促進計画で位置付けられる者
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各自治体の判断によるため、明確に定義されていませんが、国の基本方針では以下の者が例示されています。
海外からの引揚者/新婚世帯/原子爆弾被爆者/戦傷病者/児童養護/施設退所者/LGBT/U・I・Jターンによる転入者/これらの者に対して必要な生活支援などを行う者
貸住宅への円滑な入居に係る情報提供や相談
住まいに関する相談から入居可能な物件を紹介してくれる不動産事業者の紹介、また内覧や賃貸契約の同行も行います。
登録住宅の入居者への家賃債務保証
住宅確保要配慮者が住居の確保で障壁となる家賃債務の保証や、賃貸借契約時の保証人も引き受けてくれます。
見守りなど要配慮者への生活支援
貸主の高齢者への賃貸を警戒する理由に挙げられる孤独死リスク低減のため、見守りや介護サービス利用などの生活支援を準備します。
高齢者向けの生活支援だけでなく、就労支援やその他必要な生活支援のプランニングも可能です。
上記に附帯する業務
家財整理・搬出・搬入の転居支援や、身寄りがない対象者の死後の事務作業代行、遺品整理、葬儀・納骨など、最後まで寄り添ってくれます。
居住支援法人に指定される法人
居住支援法人は都道府県に指定されています。
また、居住支援法人となれる法人にはルールがあり、以下の通りです。
- NPO法人
- 一般社団法人、一般財団法人(公益社団法人・財団法人を含む)
- 社会福祉法人
- 居住支援を目的とする会社など
居住支援を支える居住支援協議会
居住支援協議会は、住宅確保要配慮者の安定した住居確保を実現するために、居住支援に関わる団体などから構成される組織です。
居住支援に関わるそれぞれの団体単体では、住宅確保要配慮者に必要な全ての支援を実施することは非常に困難です。
また、円滑な居住支援を実現するには不動産関係団体、地方公共団体、居住支援団体だけでなく、福祉事業者、障害支援事業者などとも連携が必要となります。
居住支援協議会の設置により、居住支援に関わる団体間の情報共有と、支援内容を相互補完でき、安定した支援実施が可能です。
支援の実施だけでなく、地域における課題や解決策についての協議も行い、より地域の要望に応えられる支援を策定します。
居住支援協議会は地域での居住支援の円滑化、安定化に欠かせない存在です。
居住支援を受ける流れ
最後に居住支援を受けるまでの手順を解説します。
各市町村によって、居住支援協議会の有無であったり、居住支援の実施状況に違いがあるため、以下の手順は一例です。
- お住まい地域を管轄する自治体の福祉課へ相談し、地域の居住支援協議会または居住支援法人の紹介を受ける
- 居住支援を希望に関しての聞き取り
- 物件情報と居住支援サービス情報の提供を受ける
- 物件の内覧と契約の説明を受ける
- 賃貸契約、居住支援サービスの選定と決定
- 入居
- 生活支援を受ける
居住支援を利用しようとする方々の状況によって、利用できる居住支援、補助金は様々です。
まずは、お住まいの地域を管轄する自治体に相談しましょう。
まとめ
怪我や病気や高齢など、何らかの理由によって住居の確保に困っている人の味方が、居住支援です。
住居の確保だけでなく、地域との交流や見守り、就労支援など生活環境への支援も、居住支援によって受けられます。
自分一人ではどうにもならない状況でも、必要な支援や手続きがサポートされて、社会生活への復帰が可能です。
住居の確保にお困りの方は、まずはお住まいの自治体の福祉課に相談し、居住支援の担当窓口の紹介を受けてください。