居住支援法人とはなにか？｜制度概要や法人の業務について

住宅セーフティネット法が平成29年に改正されました。
それに伴い住宅確保要配慮者の居住支援をする居住支援法人の指定制度が新たに誕生しました。

ここでは居住支援法人とは具体的にどのようなことをする法人なのか、申請するにはどうすればいいかなどについて。
総合的に解説していきます。

そもそも居住支援法人とは？

まず居住支援法人とはそもそもどのような法人化について見ていきます。
住宅セーフティネット法に従って、文字通り居住支援を行う法人のことです。

住宅確保要配慮者の居住支援を行う法人として、都道府県で指定できる制度になります。

住宅確保要配慮者とは？

居住支援法人がサポートの対象としている住宅確保要配慮者とは、自力で住宅の確保が難しい人たちのことを指します。賃貸物件を借りるには審査に通過しないといけません。しかしこの賃貸物件への入居審査で落とされやすい人を対象にしています。たとえば家賃滞納リスクが高かったり、孤独死の恐れがあったりする人たちが該当します

どのような人が住宅確保要配慮者になる？

住宅確保要配慮者に該当するのは、いくつかタイプがあります。まずは低額所得者です。所得が低ければ家賃を準備できず、滞納する恐れがあります。このため、なかなか入居先が確保できない恐れがあるわけです。低額所得者は、公営住宅法施行令に基づき算出された額が基準となります。月収15.8万円以下の人が対象です。

続いて被災者も住宅確保要配慮者に当たります。発災によって住宅が損傷を受けた場合、別の住居を見つけなければなりません。住宅確保要配慮者は、発災から3年以内の被災者を対象にしています。3年も経過すれば、被災地の住宅不足の問題も解消される可能性が高いからです。ただし大規模災害で住宅供給が追い付かない場合には、別の扱いで救済する形を取ります。

その他には高齢者や障がい者、高校生以下の子どもを育児している世帯も対象です。高齢者は心身の状態に個人差があるので、具体的な年齢条件は設けていません。

さらに犯罪被害者やDVの被害者、児童虐待の被害者など国土交通省で特に住宅の確保で配慮が必要だと認定すれば、該当します。さらに供給促進計画に該当する人物も、住宅確保要配慮者に認定されます。こちらは自治体によって独自に判断する形になるでしょう。

居住支援法人は何をする？

住宅確保要配慮者に対して具体的に居住支援法人は何をするのか、簡単に言えば民間の賃貸物件への円滑な入居が促進できるようにサポートします。具体的には家賃債務保証や賃貸住宅入居に関係する各種相談、見守りサービスをはじめとした生活支援などです。

賃貸のオーナーにとって家賃滞納や孤独死などは、大きなリスクになり得ます。このようなリスクを低減するサポートを居住支援法人が行うことで、賃貸のオーナーが安心して住宅確保要配慮者を受け入れられるような環境づくりを進める役割を担います。

具体的な居住支援とは？

居住支援法人は住宅確保要配慮者が民間の賃貸物件に入居できるようにサポートする法人を指します。では具体的にどのような居住支援をすればいいのでしょうか？住宅セーフティネット制度の中で、いろいろな装丁がなされているのでここで見ていきます。

入居前の支援

居住支援法人のサポートは、住宅確保要配慮者が賃貸物件に入居する前の段階から行われます。入居に関する様々な相談に対応しています。また不動産会社の紹介を行います。住宅確保要配慮者の求めに応じて、不動産会社に同行して賃貸探しのサポートを行う場合もあります。

低所得者の場合、家賃滞納の恐れがあるので部屋の貸し出しを渋る賃貸のオーナーも多いでしょう。そこで万が一入居者が家賃を滞納した場合の家賃保証を行います。自分たちで家賃保証しない場合には、賃料保証会社を紹介する必要があります。

入居中の支援

住宅確保要配慮者が賃貸物件を見つけて住めるようになれば、それでおしまいというわけではありません。入居中も定期的に入居者とコンタクトを取る必要があります。単身の高齢者の場合、人知れず孤独死してしまうこともあるでしょう。そこで随時訪問するなどして安否確認や見守りを行います。

また入居者に万が一の事態になった時のための、緊急連絡先の提供も行います。身寄りのない人の場合、自分たちが緊急連絡先になって、連絡が来れば対処することもあるでしょう。もし被災者などで仕事を失ている場合には就労支援を行うこともあります。入居者から相談したい旨があれば、相談に乗ります。入居に関するトラブルのほかにも生活全般の相談を受けることになるでしょう。

退去時の支援

もし入居者が対象の賃貸物件を退去する場合にも、居住支援法人はサポートを実施します。引越しや片付けの手伝いを行います。また高齢者などの場合、亡くなる場合も十分想定できます。その場合には、死後の事務手続きを担当することになります。電気やガスなどのインフラの停止手続きや部屋の片づけを実施します。身寄りのない人の場合、通夜や葬儀の手配や入院していた場合には入院費の支払いなどを担当します。

孤独死で発見が遅れた場合、遺体の腐敗によって部屋が汚れる可能性もあります。その場合にはハウスクリーニングの手配などを行う場合もあるでしょう。不動産会社と家財の処分や遺品整理の調整を行うこともあります。

居住支援法人になるには？

居住支援法人になるためには、申請手続きが必要です。都道府県ごとに指定していて、細かな手続きは自治体によって異なるかもしれません。しかしここでは一般的な手続きについて紹介しますので、参考にしてください。

居住支援法人に指定される法人について

居宅支援法人に指定される法人の種類は、多種多様です。NPO法人や一般社団法人、一般財団法人などが対象になります。そのほかには社会福祉法人で所定の条件を満たせば、指定される可能性があります。また一般的な会社でも居住支援を目的にした企業であれば、居住支援法人に指定されます。

居住支援法人の申請に必要な書類

申請手続きをするためには、必要な書類をいろいろと準備しなければなりません。定款や登記事項証明書、財産目録と貸借対照表、役員の名前と履歴の記載されている書類などが必要になります。その他に、法人そのものと担当者が支援業務実績のわかる書類を提出しなければなりません。過去1年間支援業務に従事していることが、居住支援法人の指定を受けるための条件です。

さらに支援業務を実施するにあたっての計画書を作成して、提出する必要があります。組織の仕組みと運営に関する情報、支援業務の概要などを盛り込んでください。法人全体の中で居住支援部門の立ち位置のわかるような組織図を作成します。居住支援部門の中には、担当役員や職員の氏名も明記することです。

まとめ

居住支援法人は、住宅確保要配慮者が賃貸物件を見つけられるようにサポートする法人のことを指します。法人を管轄する都道府県が指定する制度なので、申請は都道府県になります。申請手続きを進めるためには、上で紹介したようにいろいろな書類を準備しなければなりません。

少子高齢化が進んでいる現在、高齢者の住居確保は今後の大きな課題になってくるでしょう。高齢者は孤独死のリスクがあるので、どうしても賃貸物件のオーナーは部屋を貸したがらない傾向が見られます。高齢者が住まいを確保するサポート役の居住支援法人への需要は今後高まっていくと見られています。