フレイル予防で健康寿命が延ばせる!60代からできる予防法と改善策とは

「最近、体力の衰えを感じフレイルになってしまわないか不安…」
「フレイル予防に取り組んで、家族に介護の負担をかけたくない!」

このようなことで、フレイルを予防して健康寿命を延ばしたいとお悩みではないですか?

この記事では、フレイルの基礎知識から予防法、おすすめの改善方法について詳しく解説します。
最後まで読むとフレイルを早期発見でき、日常生活で実践できる取り組みが理解できます。

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目次

フレイルとは?要介護に進まないために知っておきたい基礎知識

フレイルとは、英語の「Frailty(フレイルティ)」が語源であり、虚弱・老衰・脆弱などの意味があります。

厚生労働省の報告では、フレイルは以下のように定義されています。

加齢とともに、心身の活力(運動機能や認知機能等)が低下し、複数の慢性疾患の併存などの影響もあり、

身体機能が障害され、心身の脆弱化が出現した状態であるが、一方で適切な介入・支援により、

生活機能の維持向上が可能な状態像

引用:厚生労働科学研究特別研究「後期高齢者の保健事業のあり方に関する研究」

フレイルは、健康な状態と要介護の間に位置しています。

また、健康な状態とフレイルの間には、「プレフレイル」と呼ばれる状態があります。

どちらも適切な予防を行えば身体機能の改善が見込め、もとの健康な状態に戻ることが可能です。

ただし、何も対策を行わないと要介護状態に進行してしまいます。

フレイルの3つの要素

フレイルは、身体的・精神的・社会的の主に以下の3つの要素からなります。

  • 身体的フレイル
  • 精神的フレイル
  • 社会的フレイル

加齢とともに起こる心身や環境の変化が互いに影響し合うことで、フレイルは急速に進行します。

フレイルになってしまう前に、自分自身の変化に早めに気づくことが肝心です。

ここからはフレイルの3つの要素について、1つずつ解説します。

身体的フレイル

身体的フレイルは、体力や筋力、心肺機能などの運動機能が低下している状態です。

身体的フレイルの前兆として、「ダイエットしてないのに体重が減ってきた…」「体が疲れやすくなった…」などがあります。

また、生活習慣病の糖尿病や高血圧などと関連性も高く、治療に影響を与えかねません。

精神的フレイル

精神的フレイルは、軽度の認知症やうつ傾向が現れる状態です。

意欲が低下し「あまり食べたいものがない…」「面倒で動きたくない…」など、生きがいを失うケースがあります。

高齢者が生きる気力を失うと起こる原因について、以下の記事で解説しています。

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社会的フレイル

社会的フレイルは、外出の機会が減少し、社会とのつながりの希薄さから孤立してしまう状態です。

高齢者は、退職や子どもの自立などから他者とのコミュニケーションの機会が減少しがちです。

身体的・精神的フレイルの進行は、社会性と関連が密接で、他者との交流が少ないと進行も早まると考えられています。

高齢者が社会的つながりを失いひきこもりになると起こる問題については、以下の記事で解説しています。

フレイル・ロコモ・サルコペニアの違い

フレイルと混同されやすい用語に「ロコモ」と「サルコペニア」があります。

すべて老化や衰えに関する言葉ですが、それぞれ該当する箇所が違うので、理解しておきましょう。

3つの状態の関連性と見分け方

フレイル・サルコペニア・ロコモの3つの状態は、互いに密接に関連しており、影響を与え合っています。

  • フレイル:心身が総合的に虚弱した状態
  • ロコモ:運動器全般の機能が低下した状態
  • サルコペニア:筋肉の機能が低下した状態

フレイルは、高齢者のさまざまな虚弱に対して総合的な範囲を指します。

ロコモは運動器全般、サルコペニアは筋肉というように機能低下の部位が限定されているのです。

ロコモはフレイルよりも早い時期から現れはじめ、1~3ある段階のうち「ロコモ度3」になると身体的フレイル相当とされています。

3つの状態が重なることで、歩行が困難となり要介護状態に近づく可能性が高いです。

ロコモティブシンドローム(運動器症候群)

ロコモティブシンドローム(運動器症候群)は、通称「ロコモ」と呼ばれています。

加齢や病気とともに体の筋肉・骨・関節・神経などの運動器に障害が発生し、日常生活の移動に支障がでる状態のことです。

例えば、以下の7つような状態に当てはまると、ロコモである可能性が高いです。

  1. 片脚立ちで靴下がはけない
  2. 家の中でつまずいたりすべったりする
  3. 階段を上がるのに手すりが必要である
  4. 家のやや重い仕事が困難である(掃除機の使用、布団の上げ下ろしなど)
  5. 2kg程度の買い物をして持ち帰るのが困難である
  6. 15分くらい続けて歩くことができない
  7. 横断歩道を青信号で渡りきれない

引用:日本整形外科学会 ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイトロコチェック

サルコペニア(筋肉減少症)

サルコペニア(筋肉減少症)は、加齢に伴って骨格筋・筋力・身体機能が低下した状態のことです。

背中やお腹、膝などの筋力の低下が起こり、放置すると歩行困難にもつながります。

参考:厚生労働省 e-ヘルスネット『サルコぺニア

日常生活に取り入れたいフレイル予防法

フレイルは、適切に予防を行うと、健康に過ごせていた頃に戻れると言われています。

予防には3つの柱として運動・栄養・社会参加があるので以下の予防法を生活に取り入れてみましょう。

  • 毎日の運動習慣でフレイル予防
  • バランスの良い食事でフレイル予防
  • 口腔ケアでフレイル予防
  • 社会とのつながりでフレイル予防

毎日の運動習慣でフレイル予防

高齢者のフレイル予防には、毎日の運動習慣が効果的です。

60代からでも始められる運動習慣として、散歩を10分増やしてみたり、エスカレーターの移動を階段にしてみたりなどがあります。

小さい運動を毎日取り入れることから始めてみましょう。

高齢者が筋肉をつけるメリットは、以下の記事でも解説しています。

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バランスの良い食事でフレイル予防

フレイル予防には、3食バランスの良い食事をすることが大切です。

特に必要な栄養素は、タンパク質です。

タンパク質は筋肉作りに欠かせない栄養素で、筋力低下からなるサルコペニアを予防します。

ただし、タンパク質は摂取しても体に貯蔵できないため、こまめに補う必要があります。

高齢者は3食に加えて、栄養価の高いおやつを食べることで、気軽に栄養補給が可能です。

以下の記事を参考に、毎日の食生活におやつをプラスして体の健康を維持しましょう。

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口腔ケアでフレイル予防

高齢者にとってお口の健康は、全身の健康状態を大きく左右する要素の1つです。

フレイルの中の一つに「オーラルフレイル」という口腔機能の低下があります。

例えば、食べこぼしが増えたり、活舌が悪くなったり、むせるようになったりなどがあります。

定期的に歯科健診を受けて口腔機能の確認を行い、必要があれば治療を受けましょう。

社会とのつながりでフレイル予防

高齢者のフレイル予防には、社会とのつながりを見つけることが重要です。

高齢者が集まれる地域の「通いの場」や、ボランティア活動への参加がおすすめです。

他者との交流を通じて外出の機会や会話が増え、自然と運動量や認知機能が活発になります。

お住まいの自治体だけでなくオンラインで交流できる場もあるので、好みや体調を考慮しながら楽しめるつながりを探してみましょう。

高齢者はフレイル予防で健康寿命を延長

高齢者にとって長生きも大切ですが、健康寿命を延ばすことも重要です。

1日でも長く健康的に過ごせると、生涯の豊かさが変わってきます。

ここからは、高齢者の健康寿命を延ばすために取り組むべきことを解説します。

家族で取り組むフレイル予防のポイント

高齢者の家族の方は、積極的にコミュニケーションを取ることがフレイル予防につなげられます。

遠方で暮らしている場合は疎遠になりがちですが、定期的に訪れたり、こまめな連絡を意識したりしてみましょう。

家族間のつながりを密接にし、高齢者の暮らしを把握するためにも役立ちます。

もし、遠方で一人暮らしの高齢者が身内にいる場合は、以下の記事で見守り方法を解説しているので、あわせて読んでみてください。

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地域の支援サービスの活用方法

高齢者の介護に関する悩みは、地域包括支援センターで解決が可能です。

お近くの地域包括支援センターで、介護になる前の状態でも悩み事があれば相談ができます。

フレイルは、適切な取り組みで予防や改善が可能です。

再び健康的な生活を過ごすためにも、自分に合った方法を見つけましょう。

地域包括支援センターで受けられるサポートは多岐にわたり、以下で解説しているのでぜひ参考にしてください。

将来の介護負担を軽減する工夫

高齢者がフレイルになると、病気や治療に対する力が弱くなり、重症化や要介護状態に陥ってしまう可能性も高まります。

フレイル予防を行って健康な状態が維持できれば、万が一のケガや病気にも抵抗でき、もとの元気な状態に戻りやすいです。

フレイルから要介護への進行を防ぐため、早めの対策と継続的な予防が将来の介護負担の軽減にもつながります。

フレイルかも?と感じた時の実践的な改善策

もし高齢者がフレイルになってしまったら、進行の速度を遅らせる、または健康状態に戻す対策が重要です。

フレイルは要介護になる手前の状態のため、何もせずに過ごしていると介護が必要になってしまいます。

ここからは「フレイルかも?」と感じた時に行うべき改善方法を紹介します。

セルフチェックで現状を早期に把握

ご自身や高齢の家族がフレイルかもしれないと感じたら、チェックリストを参考に現状を把握しておきましょう。

以下は、日本版フレイル基準(J-CHS基準)を参考にしたチェック項目です。

項目評価基準
体重減少6ヶ月で、2kg以上の(意図しない)体重減少
筋力低下握力:男性<28kg、女性<18kg
疲労感(ここ2週間)わけもなく疲れたような感じがする
歩行速度通常歩行速度<1.0m/秒
身体活動①軽い運動・体操をしていますか?
②定期的な運動・スポーツをしていますか?
上記の2ついずれにも「週に1回もしていない」と回答
引用:国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター『2020年改定日本版 CHS基準(J-CHS基準)』
Satake S, et al. Geriatr Gerontol Int. 2020; 20(10): 992-993. 

判断基準は、上記のいずれも該当しない場合は、健常という評価です。

1~2項目の該当でプレフレイル、3項目以上でフレイルと判定されます。

また公益財団法人長寿科学振興財団では、『介護予防のための生活機能チェック』を行えるので試してみてください。

25問の簡単な質問に「はい」か「いいえ」で答えるだけで、生活機能の状態が確認できます。

60代からフレイルを予防するトレーニングを実践

高齢者のフレイル予防のために、以下の筋力アップトレーニングを実践しましょう。

  • レジスタンストレーディング:スクワットや椅子立ち上がり運動などの筋力トレーニング
  • バランストレーディング:片足立ちやつま先立ちなどのバランスを安定させる運動
  • 持久性トレーニング:ウォーキングや水中歩行などの有酸素運動

運動経験が少なく体力に自信がない方は、まずは自身の体重・腕・足などの重みを活用して筋肉を使う回数を増やしていきます。

高齢者であれば、負荷が少なくても問題ありません。

トレーニングは無理のない範囲で行い、体調が悪かったり痛みが出たりした場合は、すぐに中止してください。

フレイルに詳しい専門家へ相談

高齢者がフレイルの傾向が現れたり、フレイルになったりした場合は、専門家に相談するのがおすすめです。

フレイルに詳しい専門家には、以下のような人々がいます。

  • かかりつけ医
  • 理学療法士
  • 管理栄養士
  • 歯科医師・歯科衛生士
  • 地域包括支援センター

身近で相談しやすい人に話してみると、多方面からよいアドバイスをもらえるでしょう。

高齢者のフレイル予防が健康寿命を延ばす

高齢者が60代からフレイルを理解し予防を始められると、健康寿命を延ばして自立した生活を送れる期間が増加します。

積極的にフレイル予防に取り組めば、体力の減少や認知機能の低下を抑え、充実した生活を送ることが可能です。

フレイルチェックを定期的に行い、フレイル予防を継続的に実施し、いつまでも自分らしい暮らしを楽しみましょう。

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