高齢者のたんぱく質不足はフレイルになりやすい?現れる症状や摂取時のポイントを解説

「高齢者はたんぱく質を摂取した方がいい?」
「たんぱく質は筋肉によいイメージがあるけど、他にも効果があるの?」

最近体の衰えが気になって、栄養面から健康維持できる方法がないかお探しではありませんか?

本記事では加齢に悩む高齢者に向けて、たんぱく質の不足が原因で起こる体の変化や、健康維持のための摂取方法について解説します。

最後まで読むと、たんぱく質を自身に合った無理のない方法で摂取できるようになります。

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目次

高齢者はたんぱく質が不足するとどうなる?

高齢者の健康維持に欠かせない栄養素の一つがたんぱく質です。

たんぱく質が不足すると、高齢者の体に以下のような変化が現れます。

  • フレイルや認知症のリスクが高まる
  • 免疫力の低下で風邪を引きやすくなる
  • 筋力の低下で転倒しやすくなる
  • 爪や肌の健康状態が悪化する

フレイル(虚弱)や認知症のリスクが高まる

高齢者が摂取するたんぱく質の量が少ないと、フレイル(虚弱)や認知症のリスクを高める傾向があります。

フレイルは要介護になる手前の状態であり、認知症を患うと生活に支障が現れてしまいます。

またたんぱく質不足によって、フレイルと密接なサルコペニア(筋肉減少症)という筋力が低下した状態になりかねません。

日本人の高齢女性 2,108 人を対象にした、たんぱく質摂取量とフレイルとの関連性の研究では、以下のような結果が出ています。

1 日のたんぱく質摂取量を五分位階級別に検討すると、たんぱく質摂取が最も低い群(62.9 g/日未満)と比較し、たんぱく質摂取量が多い群ほどフレイルと診断される対象者は少なかった。

引用:厚生労働省『2-3 高齢者

たんぱく質を多く摂取するとフレイルのリスクが減少し、さらにフレイルによる認知機能の低下を抑えることで、認知症予防にもつながります。

フレイルについて以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひあわせて読んでみてください。

免疫力の低下で風邪を引きやすくなる

高齢者のたんぱく質摂取量が低下すると、免疫力も下がり風邪を引きやすくなります。

また高齢者は回復力も衰えてくるため、一度風邪にかかると長引く可能性があり注意が必要です。

筋力の低下で転倒しやすくなる

高齢者のたんぱく質摂取量が下がると筋肉量も減少し、転倒のリスクが高まります。

高齢者が転倒してしまうと、骨折につながりやすいです。

高齢者の骨折の危険性と予防法については、以下の記事を参考にしてください。

爪や肌の健康状態が悪化する

たんぱく質は爪・肌・髪などを構成する主成分です。

たんぱく質摂取量が不足すると、肌が乾燥したり、爪が割れたりなどの症状が現れはじめます。

体内に十分なたんぱく質が足りていない状態であるため、より多く摂取することで徐々に爪や肌が回復していくでしょう。

高齢者に大切な三大栄養素であるたんぱく質の働き

たんぱく質は、炭水化物・脂質と並ぶ三大栄養素の一つです。

ここでは、栄養価の高いたんぱく質について解説します。

たんぱく質は三大栄養素のひとつ

たんぱく質は三大栄養素の一つで栄養価が高く、体内で以下のような重要な役割を担っています。

  • 筋肉・臓器・皮膚の生成と修復
  • ホルモンや酵素の生成
  • 免疫機能の維持
  • エネルギー源

高齢者の健康維持に密接な関わりがあり、継続的な摂取が大切です。

たんぱく質摂取は必須アミノ酸とのバランスが重要

たんぱく質は、アミノ酸から構成された栄養素です。

体内で合成できないアミノ酸は9種類あり、これらを必須アミノ酸と呼びます。

以下の9種類の必須アミノ酸は、食事から摂取することでたんぱく質を構成します。

  1. バリン
  2. ロイシン
  3. イソロイシン
  4. スレオニン
  5. メチオニン
  6. リジン
  7. フェニルアラニン
  8. トリプトファン
  9. ヒスチジン

参考:公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット『三大栄養素のたんぱく質の働きと1日の摂取量』

植物性と動物性たんぱく質の違い

たんぱく質には、食材によって植物性と動物性の2種類に分けられます。

動物性たんぱく質は、必須アミノ酸をバランスよく含んでいるのに対し、植物性タンパク質は他の食材で補う必要があります。

筋肉づくりに欠かせないロイシンという成分の含有量が高いのも特徴です。

一方で植物性たんぱく質は、食物繊維の同時摂取も可能で、脂質の含有量が少なく脂肪燃焼効果が高いと言われています。

それぞれによい効果が期待できるため、どちらかに偏らず両方摂取するようにしましょう。

たんぱく質を多く含む食材は、以下の表の通りです。

植物性タンパク質動物性タンパク質
魚類(サバ、サケ、マグロなど)
肉類(鶏肉、豚肉、牛肉など)

乳製品(牛乳、ヨーグルト、チーズなど)
大豆製品(豆腐、納豆、味噌など)
雑穀類(玄米、キヌアなど)
豆類(小豆、黒豆など)

高齢者がたんぱく質を摂取する際のポイント4選

高齢者がたんぱく質を摂取する際、意識してほしいポイントを4つ紹介します。

  • 高齢者は良質なたんぱく質摂取が必要
  • たんぱく質は毎日継続して摂取
  • 1日に必要なたんぱく質の摂取量
  • 食材の食べやすい大きさや消化に良い形状

それぞれについて解説します。

高齢者は良質なたんぱく質摂取が必要

高齢者は良質なたんぱく質を摂取することが必要です。

高齢者は体の状態によって食が細くなってしまい、たくさんの量を食べるのが困難な場合があります。

少量でも質の良いたんぱく質を多く含む食品を欠かさず食べることが、健康維持へとつながります。


たんぱく質は毎日継続して摂取

高齢者は、たんぱく質を毎日継続して摂取しましょう。

摂取したたんぱく質は、体内に長くとどめておくことができないため、食べ方も工夫しなければなりません。

3食たんぱく質を多く含む食品を複数用意したり、さらに間食で取り入れたりするとこまめに栄養補給できます。

高齢者の健康維持にも役立つおすすめのおやつは、以下の記事で解説しているのでぜひ参考にしてください。

1日に必要なたんぱく質の摂取量

高齢者の健康維持には、1日に必要なたんぱく質の摂取量を目指す食生活を意識しましょう。

高齢者のたんぱく質摂取量は、体重1kgあたり1.0〜1.2gが推奨されています。

例えば、体重50kgの方であれば、1日50〜60gのたんぱく質摂取が望ましいです。

しかし特に75歳以上や活動量が低下した高齢者は、推奨されるたんぱく質摂取量よりも少なくなりがちです。

食生活を見直して、1品でも多くたんぱく質が摂れる食材を増やしていきましょう。

食材の食べやすい大きさや消化に良い形状

高齢者がたんぱく質を摂取する際は、食材の形状にも気をつけましょう。

加齢とともに噛む力や嚥下機能が低下するため、食材を噛み砕いて飲み込むのに苦労する方もいます。

誤嚥を防ぐため高齢者に合わせて食材を小さく切って柔らかく調理したり、細かいそぼろ状のものを使用したりするのがおすすめです。

気軽に飲めるプロテインは高齢者にも効果的?

たんぱく質と聞くとプロテインを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。

高齢者にとってプロテインは、気軽に栄養補給できる選択肢の一つです。

ただし、プロテインの摂取時には気をつけるべきこともあるので解説します。

プロテインは食事が困難でも摂取可能

プロテインは、固形物の摂取が難しくなった高齢者にもおすすめな栄養補給食品です。

味が工夫されていたり、飲む量を自由に調節できたりと生活習慣にも取り入れやすくなっています。

プロテイン摂取のデメリットや注意点

高齢者がプロテインを摂取するうえで、デメリットや注意点も存在します。

プロテインは摂取量を守らないと腎機能への影響が懸念されるため、持病がある方はかかりつけ医に相談しましょう。

製品を選ぶ際は成分表示をよく確認し、大量摂取は避けて、まずは少量から取り入れるようにしてください。

高齢者は健康維持のためにたんぱく質を毎日摂取しましょう

高齢者の健康維持には、たんぱく質の摂取が必要不可欠です。

毎日の食事を中心に、必要に応じてプロテインやおやつを活用しながら、こまめに継続して摂取することが重要です。

体調不良や持病がある場合は、必ず医師に相談してたんぱく質の摂取方法を参考にしてください。

高齢者はたんぱく質の摂取でフレイルや認知症の進行を予防し、健康維持を延ばすためにも可能な範囲で継続しましょう。

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この記事を書いた人

電球型高齢者見守りサービス「ハローライト」の開発・販売を行っています。見守りサービスに関する基礎知識からサービスの選び方までわかりやすく解説。自社サービスに偏ることなく中立な立場から記事を執筆いたします。

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