デイケアとは？本人と家族にとってのメリットと注意点を徹底解説

「デイケアってどんなサービス？」

「利用するとどんなメリットや注意点があるのかな？」

上記のような疑問を持つ方もいるでしょう。

この記事では、デイケアの基本的な仕組みや目的をわかりやすく紹介します。

利用対象者の条件から利用までの流れまで丁寧にまとめていますので、これからデイケアを検討する際の参考にしてください。

デイケアとは？基本の仕組みと目的

デイケアは、正式には「通所リハビリテーション」と呼ばれる介護サービスです。

医療機関や介護施設に通い、医師の指示のもとで理学療法士・作業療法士・言語聴覚士といった専門職によるリハビリや、看護師による健康管理を受けられます。

在宅で暮らす高齢者のなかには、退院後にリハビリを続けたい人や、体力や生活機能を維持したい人が少なくありません。

デイケアはそうした方々が住み慣れた家で生活を続けながら、定期的に専門的な支援を受けられる場として機能しています。

また、デイケアには「心身の機能を維持・改善する」という目的に加えて、「日中の活動場所を提供し、社会的な交流を促す」という役割もあります。

自宅にこもりがちな高齢者にとって、デイケアで他の利用者と会話したり、集団で活動したりすることは、生活のリズムを整える大切な機会になるのです。

参考：通所リハビリテーション(デイケア)とは | 健康長寿ネット

デイケアで受けられるサービス

デイケアでは、医療ケアから日常生活の支援まで幅広いサービスが提供されています。

ここからは、デイケアで受けられるサービス内容を詳しく解説します。

リハビリテーション

デイケアで受けられるサービスの一つ目は、リハビリテーションです。

専門のスタッフが利用者の状態に合わせて以下のプログラムを組み立てていきます。

• 理学療法士による歩行訓練や筋力トレーニング
• 作業療法士による手先や日常動作の練習
• 言語聴覚士による発声や嚥下（飲み込み）の訓練

リハビリテーションは、退院後の機能回復や、寝たきり予防に大きく役立ちます。

健康管理

デイケアで受けられるサービスの二つ目は、健康管理です。

看護師によるバイタルチェック（体温・血圧・脈拍など）や服薬管理が行われます。

体調の変化に気づきやすく、病気の早期発見にもつながります。

入浴・食事の提供

入浴や食事の提供も、デイケアで受けられるサービスの一つです。

自宅では介助が難しい入浴も、デイケアではスタッフの支援を受けながら安全に行うことができます。

栄養バランスに配慮した食事の提供もあり、体調や持病に合わせた対応が可能です。

レクリエーションや交流活動

レクリエーションや交流活動も、デイケアで行われることが多いです。

体操・ゲーム・趣味活動・季節行事などを通して、楽しみながら心身を動かす機会が用意されています。

利用者同士の交流も盛んで、孤立感の軽減や生活意欲の向上にもつながります。

このように、デイケアは「リハビリの場」であると同時に「生活と交流を支える場」でもあるのです。

以下の記事では、高齢者のレクリエーションの効果について解説しているので、合わせて参考にしてください。

デイケアのメリット（本人）

デイケアを利用することで、高齢者本人にはさまざまなメリットがあります。

とくに大きいのは、身体面・生活面・心理面のすべてをバランスよくサポートしてくれる点です。

ここからは、デイケアが本人にもたらす主なメリットを具体的に見ていきましょう。

体力の向上

デイケアを受けることによって本人が得られるメリットの一つ目は、体力の向上です。

歩行訓練や体操、軽い筋力トレーニングなど、無理のない運動が日常的に行えます。

自宅だけの生活では活動量が減りやすく、体力の低下を招きやすいですが、定期的に身体を動かすことで基礎体力を維持しやすくなります。

機能の維持

デイケアのメリットの二つ目は、機能の維持です。

食事や着替え、トイレ動作といった日常生活に必要な機能を保つための訓練が受けられます。

加齢とともに衰えやすい動作を継続的に練習することで、自立した生活を長く続けやすくなるでしょう。

リハビリの継続

デイケアを受けることで、リハビリを継続的に受けられます。

病院を退院した後、自宅でリハビリを続けるのは難しいことが多いです。

デイケアでは専門家が個別にプログラムを組み、継続的にリハビリを行えるため、回復の後押し・再発・悪化を防ぐ効果が期待できます。

社会的なつながり

社会的なつながりを得られることも、デイケアの本人が得られるメリットの一つです。

同年代の利用者やスタッフとの交流は、孤立感の軽減や気分転換につながります。

自宅で一人で過ごす時間が多い人にとって、会話や集団活動は生活意欲を高める大切な要素となります。

デイケアのメリット（家族）

デイケアは利用者本人だけでなく、家族にとっても大きなメリットがあります。

介護の負担を軽減できて、専門スタッフのサポートがあることで安心して見守ることができます。

ここからは、家族にとっての具体的なメリットを詳しく見ていきましょう。

介護の負担が軽減できる

デイケアを利用することで、家族は日中の介護から一定時間解放されます。

送迎・入浴・食事・リハビリの補助といった日常的な介助を施設スタッフに任せられるため、家族の身体的・精神的な負担を大きく軽減できます。

また介護の時間に余裕ができることで、自分自身の休息・家事・仕事にも集中できるようになるでしょう。

以下の記事では、介護疲れによるストレスの原因について深掘りしているので、あわせて参考にしてください。

専門スタッフのサポートで安心できる

専門スタッフのサポートで安心できるのも、デイケアのメリットの一つです。

デイケアには看護師や理学療法士、作業療法士など専門職が常駐しています。

健康状態の変化やリハビリの進捗を専門家が把握してくれるため、家族は安心して任せることができるのです。

万が一の体調変化にも対応してもらえるので、特に介護経験が浅い家族にとっては心強いサポートとなります。

デイケアのデメリット

デイケアには多くのメリットがありますが、すべての利用者や家族にとって完璧というわけではありません。

利用するうえで注意したい点や、場合によっては負担になることもあります。

ここでは、デイケアを利用する際に知っておきたい主なデメリットを具体的に紹介します。

通所そのものが負担になることがある

デイケアでは、通所の移動や送迎が体力的に負担になる場合があります。

特に足腰が弱い方や体調が不安定な方にとっては、施設までの移動自体が疲労の原因になることがあるのです。

そうなった場合は、家族も送迎の負担を感じるケースが出てくるかもしれません。

利用時間が施設のスケジュールに縛られる

デイケアは、施設の営業時間やプログラムの時間に合わせて利用する必要があります。

そのため、利用者や家族の都合に完全に合わせることは難しく、自由な時間を制限される感覚を持つことがあります。

本人が通所や集団活動に抵抗を感じる場合もある

慣れない環境や集団活動にストレスを感じる方もいます。

人見知りや外出に不安がある場合はデイケア自体を嫌がることもあり、無理に通わせると逆に心身の負担になるかもしれません。

施設によってリハビリ内容や雰囲気に差がある

デイケアは施設によって、提供されるサービスの内容や雰囲気が異なります。

リハビリの質やスタッフの対応、施設の設備によって満足度に差が出ることがあります。

そのため、事前に見学や体験利用で確認することが大切です。

デイケアの利用対象者と条件

デイケアを利用できるのは、一定の条件を満たした人に限られます。

誰でも自由に通えるわけではなく、介護や医療の専門的な支援が必要であると認められた方が対象です。

ここでは、具体的な利用対象者と条件について詳しく見ていきましょう。

要介護認定を受けた人

デイケアは原則として、介護保険の「要介護認定」を受けた人が利用できます。

要介護認定では、日常生活の自立度や介護の必要度が評価され、要支援・要介護の段階が決まります。

これにより、本人に合ったケアやサービスを受けられるように制度が整っているのです。

医師の指示でリハビリが必要と判断された人

リハビリ目的でデイケアを利用する場合、医師の指示が必要です。

病気やけがの回復期、身体機能の維持・改善を目的として、医師が通所リハビリの必要性を判断します。

これにより、安全かつ効果的に専門スタッフによるリハビリを受けることができます。

デイケアの利用までの流れ

デイケアの利用は、以下の流れで進めていくのが一般的です。

1. 介護保険の申請と要介護認定
2. 施設選びと見学・体験利用
3. 医師の指示書と利用計画の作成
4. 利用開始とプログラム調整

デイケアは、申請から利用開始まで順を追って準備することで、本人も家族も安心して利用できます。

施設を選ぶ際には見学や体験を行うことで、本人に合ったリハビリやレクリエーションを受けられる環境を確認できます。

その後は利用計画に基づいて送迎や活動内容が整えられるため通所の負担が少なく、無理のない生活機能の維持や社会参加を続けられるのが大きなメリットです。

まとめ｜デイケアで生活の質を支えよう

デイケアは、本人の体力や日常生活機能を維持しながら、社会的つながりも作れるサービスです。

また家族にとっても、介護負担の軽減や専門スタッフによるサポートといった大きなメリットがあります。

一方で、通所の負担やスケジュールの制約などのデメリットもあるため、事前に理解しておくことが大切です。

デイケアを活用することで本人と家族の安心につながり、生活の質を無理なく高められるでしょう。