孤独死は何が問題なのか？予防や対策の重要性・方法まで解説

近年、日本では1人暮らしの高齢者が増えたことで、孤独死される方も増加し、重大な社会問題になりつつあります。そのため、孤独死による周りの方への迷惑が増えつつあるのが現状です。

しかし、「孤独死することで何が問題なのか？」と思われている方も少なくないのではないでしょうか？

そこで本記事では、孤独死によって引き起こされる問題から、問題を事前に防ぐ予防や対策方法まで紹介します。孤独死の問題を事前に防ぎたい方は、ぜひ最後まで読んでくださいね。

孤独死の数は年々増加し社会問題に

現在、日本では高齢化が進んでおり、それに伴って1人暮らしで亡くなる「孤独死」も年々増加し社会問題になっています。

国土交通省の死因別統計データの「東京都区部における年齢階級別の孤独死の推移」によると、2003年に孤独死された方は2,861人でしたが、2018年になると5,513人にまで増えています。その増加人数は、15年で2,652人も増加しているのが現状です。

この内の65歳以上の高齢者では、2003年から2018年までに2,426人増加しており、1人暮らしの高齢者の孤独死が社会問題になっていることがわかります。

孤独死によって引き起こされる問題

1人暮らしの方が孤独死した場合、いくつかの問題が引き起こされます。

それが以下3つです。

それぞれ解説していきます。

原状回復・特殊清掃費用の発生

孤独死によって引き起こされる問題の1つ目が、特殊清掃費用が発生することです。

孤独死された部屋は原状回復が必要です。そして、原状回復するには「特殊清掃」する必要があります。

特殊清掃とは、一般的に行われる清掃とは異なり、専用具や特別な技術を持った方が行なう清掃です。そのため、特殊清掃の費用は、数万から数十万円ほどかかるのが一般的です。

費用は、遺族がいる場合遺族が支払うのが原則ですが、いない場合は、賃貸管理者が支払わなければなりません。

もし、支払うことになるととても負担になることがわかります。

発見の遅れによる遺体の腐敗

孤独死された方の遺体は、腐敗が進んでから発見されることがとても多いです。そのため、近隣住民や賃貸管理者に迷惑をかける可能性があります。

遺体が腐敗すると、腐敗ガスや体液が出てきます。このとき出てきた腐敗ガスや体液の臭いは、人が耐えられるものではありません。加えて、すぐに取れる臭いではないため、近隣住民の方に長期間迷惑をかける可能性があります。

また、ハエやウジ虫も発生します。人間の血や肉を取り入れたハエやウジ虫は病原菌を持つことも多く、こちらも問題につながる可能性があるため注意が必要です。

家賃未払いの発生

家賃未払いも問題の1つです。

賃貸の場合、契約した状態で孤独死されると、亡くなったことに気づかれるまでの家賃は、未払い状態でたまっていきます。また、発覚後も諸事情により物件の引き渡しができない場合、その期間の家賃もたまっていきます。

この未払い金は、遺族もしくは賃貸管理者が負担しなければなりません。

長期間気づかれないことは稀ですが、支払い金額が高くなる可能性もあるため、注意が必要です。

孤独死の原因とは？

孤独死が社会問題化していることは先述した通りですが、なぜ増加傾向にあるのでしょうか？

孤独死の原因は、以下の3つであると言われています。

それぞれの原因について探っていきます。

コミュニケーション頻度の減少

まず、コミュニケーション頻度の減少が挙げられます。

近年、夫（妻）との死別や離婚によって1人暮らしになる高齢者が多く、そういった方は特にコミュニケーション頻度が減少しています。また、1日のほとんどを自宅で過ごされる方や、他者とコミュニケーションをとることが苦手な方も減少しがちです。

コミュニケーション頻度が減少することで、体の異常に気づける人や、緊急時に対応してくれる人がいません。その結果、体調を崩しそのまま孤独死につながってしまいます。

核家族化の進行

核家族化の進行も原因の1つに挙げられます。

最近では、親と同居する家族も減っており、その影響から1人暮らしになる方も増えているのが現状です。

国勢調査の「世帯人員別一般世帯数の推移」によると、1世帯（1人暮らし）の人数は、2000年で1200万人に対し、令和2年では2100万人となっています。20年でおよそ900万人増えており、今後も1人暮らしの割合は増え続けると言われています。

そのため、他者と関わる頻度の減少や、頼れる方もいないなどにより、孤独死につながってしまうようです。

経済力不足

経済力不足で孤独死につながることもあります。

東洋大学の2018年の論文で、1人暮らしをしている高齢者の4人1人が経済力不足であると発表されました。

通常であれば、高齢者の方には施設の入居や適切な治療を受けるための通院などが必要です。しかし、経済力不足のため、そういった援助が受けられず健康状態を悪化させ孤独死につながっています。

また、最近では20代の若者も経済力不足で孤独死されている現状があります。高齢者の方と同様に、経済力不足で栄養面や適切な通院が受けられないなどで、孤独死される方が増えているのが現状です。

孤独死の予防・対策方法

孤独死のリスクのある方は、どういった予防や対策方法をするのが良いのでしょうか？

孤独死の予防・対策方法には以下の3つが挙げられます。

それぞれ解説していきます。

見守りサービスを利用する

まず、見守りサービスを検討してみましょう。

見守りサービスとは、民間企業が提供しているさまざまな見守りサービスです。

特徴は以下の通りです。

孤独死を防ぐためには、上記のような見守りサービスを状況に応じて利用してみましょう。

近所付き合いをする

近所付き合いをすることも大切です。

先述しましたが、コミュニケーション頻度の減少が孤独死につながっています。そのため、積極的に近所付き合いを行ないましょう。とは言っても、「近所付き合いは苦手」と思う方も多いはずです。

そういった方は、毎日の挨拶だけでも効果はあります。なぜなら、もし何かあったときに「◯◯さん、今日は姿見てないな…」と、気づいてくれるからです。

特に男性は、「コミュニケーションが苦手」「誰かに頼りたくない」といった方が多い傾向にあります。そういった方は、できるだけ意識して行なうようにしましょう。

デイサービスを利用する

要支援や要介護認定を受けられた方は、デイサービスを利用するのもおすすめです。

デイサービスは、決まった時間に来てくれ、健康状態や生活状況も相談できます。スタッフや他の利用者さんとの関わりもあるため孤独死の防止ができ、ご本人にとっても家族にとっても安心できるでしょう。

また、季節的なイベントやレクリエーションなどのさまざまなサービスも用意されているので、気分転換にもおすすめです。

電球型見守りサービスを活用した孤独死対策を紹介

最近では、家電業界も孤独死防止に着目し、家電で見守りができるサービスも誕生しています。

例えば、電球型見守りサービスの「ハローライト（HelloLight）」です。

ハローライトは、家庭にある電球を取り替えるだけで使用できる電球型の見守りサービスです。電気がON/OFFされることで、メールやLINEに通知が届き、安否確認できるという仕組みになっています。

リビングや廊下、トイレなど、毎日利用するライトに取り付けるだけで、工事、電源、WiFiなども不要なので、めんどうな手続きも必要ありません。

そのため、「ご近所付き合いが苦手」「誰かに頼りたくない」といった方にぴったりです。

まとめ

本記事では、孤独死によって引き起こされる問題について解説してきました。また、孤独死の原因や、予防や対策方法も紹介しました。

孤独死によって引き起こされる問題は、以下の3つです。

上記のような問題を発生させないためにも、紹介した予防や対策方法を実施していくことが大切です。