孤独死保険の選び方｜加入メリットや対策・予防方法まで

高齢化社会が進むにしたがって問題になっているのが、孤独死です。もし賃貸物件で孤独死が発生すると、家賃を回収できなかったり、原状回復に費用がかかったりと大家さんは金銭的損失も大きくなります。

その時のための保証として、近年注目を集めているのが今回紹介する孤独死保険です。

孤独死発生によって起きる様々な問題 

自分が保有している物件で孤独死が発生した場合、いろいろな問題が生じます。遺体が放置され、亡くなった人の持ち物もそのままなので原状回復や特殊清掃費用が発生するかもしれません。また遺体の発見が遅れると腐敗して、さらに処理が大変になる可能性も考えられます。

原状回復・特殊清掃費用の発生 

孤独死が発生すると、部屋の後始末を大家さん自身で行わないといけません。原状回復も必要ですし、残置物処理といって亡くなった人の持ち物の処理も行わなければなりません。日本少額短期保険協会では、「孤独死現状レポート」を発表しています。

そのレポートの中で、2015年4月～2021年3月に発生した孤独死のうち、原状回復費用に関するデータもあります。平均損害額は389,594円でした。中には150万円を超える損害を被ったケースもあるので、決して少額ではありません。

発見の遅れによる遺体の腐敗

一人暮らしの方が孤独死した場合、中には発見が遅れるケースも珍しくありません。すると発見されるまでに、遺体の腐敗が進む恐れもあります。すると部屋が汚れてしまいますし、臭い対策をしなければなりません。

遺体が腐敗していると、再度その部屋が利用できるようになるためには特殊清掃が必要です。遺体の状況によっては、特殊清掃をお願いすると100万円以上かかるケースも考えられます。さらに大家さんは大きな金銭的負担が強いられるわけです。

孤独死保険とは？

孤独死をされると、大家さんは原状回復や特殊清掃などいろいろな費用を負担しなければなりません。状況によっては、数百万円単位の費用負担を強いられる可能性も出てきます。このようなリスクを回避するために用意されているのが、孤独死保険です。

孤独死保険はいろいろな保険会社から発売されています。しかし大きく分けて2タイプに分類できます。それは家主型と入居者型です。

家主型孤独死保険とは

家主型とは、大家さんが自分の物件で孤独死が起きた場合の保険です。原状回復や特殊清掃のための費用、事故物件に伴う家賃の減額などの損失を補償するための保険です。日本少額短期保険協会によると、支払われた保険金額の平均は32万円程度でした。これだけの損失をリカバリーできるのは大きいでしょう。

ただし保険なのは、毎月保険料を負担しなければならないのはデメリットです。しかし1戸当たりの保険料は月々数百円程度なので、そこまで大きな負担にはならないでしょう。

入居者型孤独死保険とは

一方入居者型とは、部屋を借りている人が自分にもしものことがあった場合に補償してもらえる保険のことです。入居型の場合、火災保険の特約という形になるので火災や風災など広範囲の災害も保険対象になります。ただし入居者型の場合、入居者が亡くなった段階で保険金を受け取ります。つまり相続人が保険の手続きをするのですが、相続する人がいない場合保険金の支払われない可能性があるのはデメリットといえます。

家主型の場合、家賃損失に関する補償も含まれています。一方入居者の場合、家賃損失は補償の対象外になっている点も注意しましょう。

孤独死保険の選び方

孤独死保険は今では多種多様な商品が販売されています。その中で、何をポイントに比較すればいいかわからないでしょう。補償範囲や補償額、補償期間を比較して、絞り込みを行うといいでしょう。

補償範囲は？

孤独死保険は保証範囲が商品によって違ってきます。先ほども見たように入居者型の場合、火災保険の特約です。よって火災保険による補償も幅広くカバーできています。一方家主型の場合、家賃収入の損失の補填が可能です。

また孤独死保険が下りるのは、原則契約している部屋の中でなくなった場合というのが一般的です。しかし一部商品では、病室で亡くなるなど部屋の外で死亡した場合でも遺品整理のための費用は保険金で賄えるようなものもあります。

補償金額は？

他の保険同様、孤独死保険でも補償額の上限が設けられています。どの程度まで補償してもらえるのかも、選び方のポイントです。日本少額短期保険協会の孤独死現状レポートによると、残置物処理に平均23万円・原状回復に39万円程度かかるといわれています。よって60万円程度補償してもらえるような保険であれば、安心です。

一般的な傾向として、入居者型よりも家主型の方が補償限度額は高めです。経営リスクマネジメントのためにも、孤独死保険への加入を検討してみてください。

補償期間は？ 

家主型の孤独死保険に入る際には、家賃の補償期間がどうなっているかチェックしておきましょう。補償期間は商品によってまちまちで、半年程度のものもあれば、最小12カ月間補償されるような孤独死保険も見られます。

孤独死が発生すると事故物件になってしまう恐れもあります。すると家賃を引き下げないと入居者を確保できなくなるかもしれません。家賃の値下げによって発生する収入損失をどの程度カバーしてもらえるかという視点で比較しましょう。

孤独死に対する予防・対策方法 

入居者に孤独死されると原状回復費用や特殊清掃費用がかかるかもしれません。加えて、事故物件扱いになって家賃を引き下げるなど収入面で損害を受ける可能性があります。孤独死を予防する方法はいろいろとありますので、以下で見ていきます。

入居者と定期的なコミュニケーションをとる 

孤独死対策として重要なのは、密なコミュニケーションです。高齢者の単身世帯であれば、日頃から挨拶を交わすように心がけるおいいでしょう。そうすれば、「あそこの人は何日も見かけないけれどもどうしたのか？」と異変にもいち早く気付きます。

また定期的に地域のイベントに誘ってみるのもいいかもしれません。社会的に孤立している高齢者は孤独死してもなかなか気づいてもらえない可能性があります。孤独にさせないことが重要です。

見守りサービスを利用する

見守りサービスを活用するのも一つの方法です。見守りカメラの設置など、高齢者を孤独死させないためのサービスもいろいろと出てきているので活用しましょう。部屋の中の様子は、アプリで監視できます。アプリなら外出先でもスマホで逐一確認できるので、何かあっても迅速に対応できます。

その他にもヘルパーや宅配サービスの活用も有効な対策です。定期的に自宅を訪問してくれるスタッフがいれば、異変に早く気づけるでしょう。

保険に加入する

いろいろと対策していても、居室内で死亡するリスクはゼロにはできません。居室内で孤独死されれば、残置物の処理や原状回復費用を大家さん自身が負担しなければなりません。そこでやはり孤独死保険に加入しておくことはおすすめです。

ここでも何度か紹介していますが、少なく見積もっても原状回復に何十万円単位で負担しなければなりません。保険料の負担は発生しますが、いざというときのために保険に加入しておくと安心です。

電球型見守りサービスを活用した孤独死予防策を紹介

見守りカメラの設置だと、プライバシーがなくなるとして抵抗感を示す入居者もいるでしょう。そこでおすすめの方法として、HelloLightがあります。HelloLightは、照明のLEDライトのオンオフを通信で通知してくれるサービスです。

点灯と消灯を記録し、もし1日間全く点灯や消灯の記録がなかった場合、通知してくれます。1日の中で照明を操作した痕跡がなければ、照明をつけられない状態にあるかもしれないからです。

まとめ 

もし自分の収益物件の中で入居者が孤独死した場合、原状回復や残置物処理のためにまとまった費用がかかります。発見が遅れ遺体が腐敗していると、特殊清掃もお願いしなければならないでしょう。

このようなリスクに対応するために、近年孤独死保険が注目されています。家主型のほかにも自分にもしものことがあった場合のための、入居者用の保険もあります。大家さんに迷惑をかけないためにも加入を検討してみませんか？