孤独死で家が事故物件になってしまったときの対応｜予防・対策法まで

一人暮らしの高齢者が孤独死するケースが、ここ数年増えています。仮に賃貸物件で一人暮らしの高齢者が家の中で孤独死した場合、事件性がなくても、建物は売却が難しい事故物件になります。

そのような状況を避けるために、この記事で提案するのは、孤独死の予防や対処方法です。そして、賃貸のオーナーや高齢者を抱える家族に向けた孤独死防止に役立つサービスも紹介します。

孤独死で事故物件になってしまった場合の様々な影響

仮に住民の孤独死により、事故物件になってしまうとどのような影響があるか、以下の4点について解説します。

高齢者が増えているため、孤独死は避けられない問題です。スムーズな賃貸物件の管理のためにも、実際に孤独死によって生じる影響について知っておきましょう。

「心理的瑕疵」が生じる

住民の孤独死によって、心理的瑕疵が生じることは避けられません。心理的瑕疵とは、不動産契約をするにあたり生じる、心理的な嫌悪感のことです。人にもよりますが、たとえ事件性がないとはいえ、前の住民が孤独死を遂げた部屋や建物を契約するのは、抵抗があるものです。

このように考えると、事故物件であること、孤独死があったことを隠しておけばよいように思われます。

しかし、建物を売却する場合、売主には「告知義務」があるので、孤独死を隠すわけにはいきません。もしも隠したまま建物を売却し、後ほど孤独死による事故物件であったことが判明すれば、賠償問題になります。

「物理的瑕疵」が生じる

孤独死による事故物件は、物理的瑕疵も生じるものです。物理的瑕疵とは、孤独死によって生じる物質的な不都合を指します。

たとえば、発見されるまでに日数を要していれば、腐敗臭を感じたり、腐敗によって部屋が汚れてしまったりすることです。そうした状況になってしまったら、特殊清掃やリフォーム、場合によっては建て替えなどが必要になります。さらに遺品整理のために業者を頼む必要もあり、かなり費用がかかります。

売却価格が下がる可能性がある

孤独死による事故物件のために、売却価格は下がることが多いです。心理的瑕疵によって、孤独死のあった事故物件に難色を示す買取希望者は少なくありません。しかし、人によって考え方が異なるので、孤独死のあった事故物件でも特に気にしない買主も存在します。

したがって、一概に売却価格が下がるとは言えないでしょう。気になる場合は、事故物件に詳しい不動産業者に相談してみてください。

借り手や買い手が見つからない

人が亡くなった部屋や建物となれば、借り手や買い手が見つからない可能性があります。仮に家賃や売却価格が相場より安いとしても、心理的瑕疵により二の足を踏む人は多いのではないでしょうか。

賃貸物件や売却物件のオーナーにとっては、借り手や買い手が見つからない物件は大きな痛手です。もちろん、亡くなった方やオーナーには何の過失もありませんが、立場上、オーナーは特殊清掃や原状回復の費用を負担しなければならないので、かなり費用がかかってしまいます。

孤独死発生によって起きる様々な問題

孤独死発生によって様々な問題が起こります。ここで取り上げるのは、原状回復・特殊清掃費用の発生、発見の遅れによる遺体の腐敗です。

こうした問題点をきちんと把握しておくと、孤独死に関する知識が深まり、孤独死を避けるためにすべきことも見えてくるでしょう。

原状回復・特殊清掃費用の発生

孤独死が発生すると、原状回復・特殊清掃費用がかかります。費用はケースバイケースですが、それなりに高額な費用がかるものです。死臭を取り除くとなると、通常のクリーニングでは取り除くことは不可能です。そのため、実際に行うとかなり手間がかかり、特殊な薬剤なども使います。

こうした原状回復・特殊清掃の費用は、賃貸物件の場合、亡くなった借主の相続人となるケースが多いです。たいていは子供ですが、相続を放棄した場合は、連帯保証人が負担することになります。

発見の遅れによる遺体の腐敗

発見の遅れによる遺体の腐敗も大きな問題です。かなりの悪臭なので、ご近所が迷惑を被ってしまいます。この臭いの原因は体内の微生物や細菌が原因です。

主な悪臭成分は、アンモニア・トリメチルアミン・インドール・スカトール・メンタチオールなど多数の成分です。中でもカダベリンとプトレシンは、ものすごい悪臭で、動物も逃げ出すほどと言われています。こうした成分が遺体を分解し、耐え難いほどの臭いを放つと考えられます。

孤独死に対する予防・対策方法

孤独死は予防することが可能です。そのためには、いくつかの対策を実行する必要があります。ここでは以下の4つの予防・対策方法を紹介します。

見守りサービスを利用する

もしも、ご実家の親御さんが一人暮らしであれば、見守りサービスを利用する方法があります。以下にどんなタイプの見守りサービスがあるか挙げてみます。

こうした見守りサービスの型の中から、親御さんに合うサービスを考えてみましょう。

近所付き合いをする

近所付き合いは大事です。近所に知り合いがいれば、何か異変があった時にすぐに知らせてもらえます。できれば親子で連絡先を取り交わしておくと便利ではないでしょうか。

日頃から、近所の人にあいさつをする、ちょっとした言葉を交わすといったコミュニケーションを取るようにしましょう。親の知り合いだから関係ないと考えずに、親子で近所付き合いを心がけてください。体調不良の兆しのみでなく、震災のような自然災害が起こった時に安否確認ができます。

デイサービスを利用する

日頃からデイサービスを利用していると、体調の異変など普段との違いに気づいてもらえます。何かあれば、担当の職員から、すぐに家族に連絡がいくので、病院にかかるなどの対策を立てられます。

デイサービスに行けば、入浴介助、レクリエーション、食事など、家族ではできない介助をしてもらえるのも助かるところです。また、同じような立場の高齢者が通っているので、お互いに近況報告をするなど、話し相手ができ高齢者にとっても気晴らしになるでしょう。

SNSを始める

高齢者向きの携帯電話を渡し、SNSを始めるのも一つの方法です。高齢者は新しいシステムを拒否しがちですが、子供や孫の説得によって、SNSを始めるケースも多いです。

たとえば、家族でLINEグループを作り、日頃から連絡を取り合っていれば、返信がないことで異変に気付くことがあります。仮に親御さんが遠方に住んでいても、知り合いや親戚、福祉関係の職員などに頼んで様子を見てもらうことも可能です。万が一の事態を避けられるでしょう。

電球型見守りサービスを活用した孤独死予防策を紹介

ここでは、点灯状況がわかる電球型見守りサービスを紹介し、どのようにして孤独死を予防できるか考えてみます。これから紹介するサービスは、賃貸物件オーナーのみでなく、高齢の親御さんにも応用できます。

電球を、お知らせ機能がある物に取り換えるだけで済むので、簡単です。特別な専用機器、Wi-Fiの設定もいりません。たとえば、点灯がない、点灯したままといった、いつもとは違う状況があれば、電球内のSIMから、登録してあるアドレスに連絡が入るシステムです。

まとめ

高齢者による孤独死が増えている昨今です。孤独死によって、事故物件になってしまい、買い手や借り手がつかなくなる可能性は十分に考えられます。

そのような最悪の状況にならないためには、見守りサービス、近所付き合い，デイサービスといった対策が重要です。また、賃貸のオーナーであれば、各部屋に異変を知らせてもらえる電球を取り付けるといった方法もあります。孤独死を防げれば、事故物件の件数も減るでしょう。