高齢者が早食いをするのはなぜ？リスク・原因・対策方法について解説

「高齢者が早食いをするのはなぜ？」

「高齢者が早食いをするリスクや対策方法を知りたい！」

高齢者の早食いに関して、上記のような疑問を持っている方も多いでしょう。

高齢者の早食いは、消化器系への負担や肥満・糖尿病・誤嚥などのリスクを高める可能性があります。

健康的な生活を送るためにも、高齢者の早食いを改善するのが重要です。

本記事では、高齢者の早食いに関して詳しく解説していきます。

高齢者の早食いのリスク・原因・対策などについて詳しく紹介しているので、気になる方はぜひ最後までご覧ください。

高齢者が早食いをするリスク6選

高齢者が早食いをするリスクとして、以下の6つがあります。

• 肥満になる可能性が高まる
• 咀嚼力が低下する
• 消化器系に負荷がかかる
• 急激に血糖値が上昇する
• 糖尿病のリスクが高まる
• 誤嚥のリスクが高まる

それぞれのリスクを解説していくので、高齢者の早食いによるリスクを懸念している方は参考にしてください。

肥満になる可能性が高まる

高齢者が早食いをするリスクの1つ目は、肥満になる可能性がある点が挙げられます。

厚生労働省の調査結果によると、食べる早さと肥満度には関連性があり、自己評価で食べるのが早いと回答した方は、現在の肥満度が高い傾向にあることが分かっています。

早食いと肥満の関連性については、摂取エネルギー量や年齢、身体活動などの要因を排除した場合でも、有意性が示されているという点も重要です。

つまり、いくら運動をしたり食事から摂取するエネルギーが少なかったりしても、早食いをしているという要因だけで、肥満体型になりやすいことが示されています。

そのほか、早く食事をすると、満腹を感じるまでの間に、摂取する食事量が多くなるのが肥満になる原因として考えられます。

参考：速食いと肥満の関係 -食べ物をよく「噛むこと」「噛めること」 | e-ヘルスネット（厚生労働省）

咀嚼力が低下する

高齢者が早食いをするリスクの2つ目として、咀嚼力が低下する可能性が考えられます。

早食いの高齢者は、食べ物を噛む回数が少なく、食事のスピードが早くなっているケースが多いです。

あまり噛まない食事を摂取し続けていると、口周りの筋力が低下して、咀嚼力が弱まる要因になる恐れがあります。

咀嚼力が弱まると、柔らかい食べ物を食べる機会が増えて、さらに咀嚼力が低下するという悪循環につながりかねません。

消化器系に負荷がかかる

高齢者が早食いをするリスクの3つ目は、消化器系に負荷がかかる点が挙げられます。

小さく噛み砕いてから飲み込んでいる場合は、消化器への負担が少ないため、特に影響はありません。

しかし、食べ物を小さく噛み砕かないまま飲み込んでしまうと、胃や腸での消化に時間がかかってしまいます。

また、消化器系の器官は、加齢による機能低下の可能性が少ないとされています。

ですが、高齢者は病気の治療のために薬を服用しているケースが多く、副作用によって消化器系の機能が低下している場合も少なくありません。

機能が低下している消化器系に噛み砕かれていない食べ物が入ってくると、消化に時間がかかります。

高齢者が消化不良などの原因を起こす可能性が高まるため、高齢者にとって早食いはリスクがあると言えます。

急激に血糖値が上昇する

高齢者が早食いをするリスクの4つ目は、急激に血糖値が上昇する点です。

ゆっくりと時間をかけて食事を取れば血糖値の急激な上昇を防げますが、短時間で多くの食事を摂取すると、血糖値が急激に上昇する原因になります。

上がった血糖値を下げるために、体内ではインスリンという物質が分泌されます。

早食いで急激に上がった血糖値がインスリンの影響で急に下がると、血糖値スパイクという現象が起きます。

血糖値スパイクが起きると眠気を感じるため、食後に寝てしまう高齢者も少なくありません。

高齢者の方が寝てばかりいると、食事の摂取量が減少したり、転倒や転落などのリスクが高まったりする可能性があります。

高齢者が寝てばかりいることによる問題点や対策方法については、以下の記事で詳しく解説しているので、参考にしてください。

糖尿病のリスクが高まる

高齢者が早食いをするリスクの5つ目は、糖尿病になる可能性が高まる点です。

先ほど紹介したように、血糖値の上昇を抑えるために、膵臓からインスリンと言われる物質が分泌されます。

高齢者が早食いをして血糖値の上昇幅が大きくなると、膵臓が頑張ってインスリンを多く分泌しようとします。

これが繰り返されることで膵臓に大きな負担がかかり、インスリン分泌の働きが鈍くなって2型糖尿病になるケースも少なくありません。

糖尿病は、高齢者のQOL（生活の質）を下げる要因になる可能性も高いため、早食いを改善するのが重要です。

誤嚥のリスクが高まる

高齢者が早食いをするリスクの6つ目は、誤嚥をしてしまう可能性が高まる点です。

誤嚥を防ぐためには、食べ物がしっかりと食道を通るように、よく噛み砕いて食事をとるのが大切です。

しかし、早食いをする高齢者は、食べ物をよく噛んでいない場合が多くあります。

嚥下機能（飲み込む力）が低下している高齢者は、誤嚥が起きやすいとされています。

誤嚥によって、誤嚥性肺炎が引き起こされるリスクもあるため、高齢者の肺炎を予防するためにもよく噛むことが大切です。

高齢者が早食いになるのはなぜ？理由や原因を解説

「高齢者が早食いになるのはなぜ？」と疑問を持っている方も多いでしょう。

高齢者が早食いになる原因として、咀嚼能力の低下が挙げられます。

高齢者は、歯の本数が少なくなっている方も多いため、食べ物を噛みづらいと感じる方も少なくありません。

高齢者は食べ物を噛みづらいと、あまり咀嚼をせずに飲み込んだり、咀嚼が必要ない食事が増えたりします。

このような原因から、高齢者に早食いをする方が多いと言われています。

また、近年ではファストフードや加工食品などが増えており、手軽に摂取できる食べ物が多いです。

食事文化の変化から高齢者が早食いになっているという意見もあります。

そのほか、認知症の高齢者の場合は、記憶障害や満腹中枢の機能低下などが理由で早食いになっているケースもあります。

「早食いをする高齢者が認知症かもしれない」と感じる場合は、認知症の症状を詳しく解説している以下の記事も参考にしてください。

高齢者の早食いを対策する方法3選

「高齢者が早食いをするリスク」でも紹介したように、高齢者の早食いは、肥満になりやすかったり糖尿病のリスクが高まったりするなどのデメリットが多くあります。

高齢者が早食いをするデメリットを知り、対策をする必要があると感じている方も多いでしょう。

高齢者の早食いを対策する方法として、以下の3つがあります。

• 食材のサイズや種類にこだわる
• 一人で食事をする機会を減らす
• 利き手と反対の手で食べる

それぞれの方法を詳しく解説していくので、高齢者の早食いを改善させたいと考えている方は参考にしてください。

食材のサイズや種類にこだわる

高齢者の早食いを対策する方法の1つ目は、食材のサイズや種類にこだわることです。

高齢者を気遣って、咀嚼回数が少なく済むような食事ばかりを出していると、咀嚼力を鍛えることができません。

高齢者がよく噛んで食事に時間をかけられるように、少し硬めの食材を使ったり、大きめに材料を切ったりするなどの工夫がおすすめです。

しかし、あまりにも食べづらい食事になってしまうと、高齢者が食事を嫌うようになるリスクがあります。

高齢者の方とよく話し合ったうえで、食材のサイズや種類を変更してみましょう。

一人で食事をする機会を減らす

高齢者の早食いを対策する方法の2つ目は、一人で食事をする機会を減らすことです。

高齢者は、同居する家族がいない場合に一人で食事をするケースが多いです。

一人で食事をする場合は、簡単に食べられるものを摂取しがちになるため、高齢者の早食いの原因になりがちです。

しかし、誰かと会話を楽しみながら食事をとれば、高齢者の早食いを予防できます。

高齢者の孤食は年々増加傾向にあり、食事量の減少や栄養不足に陥る可能性などが問題視されています。

高齢者の孤食に関しては、以下の記事で詳しく解説しているので、気になる方はぜひ参考にしてください。

利き手と反対の手で食べる

高齢者の早食いを対策する方法の3つ目として、利き手と反対の手で食べることがおすすめです。

利き手が右の方は左手で、利き手が左の方は右手で、お箸・スプーン・フォークなどを持ってご飯を食べてみましょう。

いつもより不便に感じますが、食事をとる時間を多めに確保できるため、高齢者の早食いに効果的です。

さらに、高齢者の早食いを防止するだけではなく、脳を活性化させる効果も期待できます。

普段は利き手でご飯を食べることに慣れているため、無意識に食事をとってしまいます。

しかし、利き手と反対の手の場合は、器用に使う必要があるため、脳を活性化して認知機能の低下を予防できるのです。

高齢者の早食いの防止策としてはかなり効果的なので、ぜひ試してみましょう。

高齢者の早食いを防止して健康維持につなげよう

本記事では、高齢者の早食いについて詳しく解説しました。

高齢者は、歯が少なくなるなどの理由で咀嚼能力が低下してしまい、噛む回数が減ってしまうことがあります。

また、高齢者の早食いにより、肥満や糖尿病リスクの増加、血糖値スパイクなどのデメリットが引き起こされることも少なくありません。

そのため、高齢者の早食いを意識的に改善していく必要があります。

本記事で紹介した「高齢者の早食いを対策する方法3選」を参考にしながら咀嚼回数が増える食事をとったり、家族や友人と食事する機会を増やしたりするなどして、高齢者の早食いを対策していきましょう。